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二村 吉継 院長の独自取材記事

二村耳鼻咽喉科ボイスクリニック

(大阪市阿倍野区/西田辺駅)

最終更新日:2020/01/07

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地下鉄御堂筋線西田辺駅「二村耳鼻咽喉科」。声の診察や治療を行う、音声専門の外来を設けた同クリニックには、声の悩みを抱える患者が、遠方からも訪れる。自らもギターを愛し音楽活動を行う二村吉継(にむら・よしつぐ)院長は、丁寧な問診を通じて声に対する患者のニーズをつかみ、最適な治療法や治療ゴールを見出す。また発声のメカニズムに注目し、言語聴覚士による音声指導にも力を入れている。「声の不調でお困りの方は多いので、正しい声の出し方を知ってもらいたいですね」と誠実な姿勢で語る院長に、声の出る仕組みや治療について詳しく聞いた。
(取材日2017年11月29日)

声のトラブルを治療する「音声」専門の外来

音声についての専門の外来とは、どのような診療を行うところですか?

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この外来では、「声を出しにくい」、「声が枯れた」などの声の不調について、診察や治療を行っています。患者さんは仕事で声を使う方が多く、学校の先生や保育士、営業の方などなどいつも大きな声や長時間声を出さなければならない方、また歌や演劇など舞台に携わる方も多くいますね。真面目な人であればあるほど無理に声を出そうとすると、悪化して声がまったく出なくなるような場合もあります。逆に、高齢化社会の現在、退職や転居、配偶者の死別などで話す機会が少なくなったことで声が出にくくなる方もいます。声を出すためには筋力を使いますので、使う機会が減ると機能が弱ってしまうのです。このように声のトラブルを治療するのが音声専門の外来です。

そもそも、どのようにして声を出しているのでしょうか?

肺から出た空気が、声帯の粘膜を震わせることで、声が出ます。声帯は喉仏の裏側にあり、息の流れによって振動すると男性で1秒間に100回程度、女性だと200回程度震え、その波動が声になります。このため、声帯にポリープや結節・炎症があったりすると声帯の振動が悪くなって声が出にくくなります。また、声帯が出した音を響かせる口の形や動きも非常に重要です。楽器に例えると、声帯はリードで、口は楽器本体なんですね。楽器そのものに問題がなくても音を出す調節がうまくいかないと、声がうまく出せなくなるのです。さらに、歌唱の発声では共鳴のつくり方、音程のコントロールや感情表現も重要になり、人前でパフォーマンスをされる方は本番前の緊張など、精神面も大きく影響します。

診察の流れを教えてください。

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まず、問診で患者さんが困っていることを詳しくお聞きします。またVoice Handicap Indexという自分の声を評価する質問票で現在の声の状態をどのように感じているのかを点数で評価します。生活や仕事の中でどのようにお困りなのか、また患者さんが感じているのどの症状や、患者さんのお仕事や生活全般についても確認します。次に声帯の様子を確認します。のどの様子を見る内視鏡には口から入れるものと鼻から入れるものがあり、患者さんの状態に合わせて使い分けて、ポリープや声帯結節などがないか、声帯付近の形状の変化を確認します。さらに、声帯の震え(波動)の様子を観察するストロボスコープという特殊な機械を使います。声帯の波動は非常に高速で、目で見ることはできませんが、このスコープは声帯の動きを目に見える速さで再現しますので、声帯の細かな振動の状態なども確認することができます。

声に対する患者それぞれのニーズを見極める

治療はどのように行われますか?

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音声の治療には、薬物治療、音声治療、手術という3つの柱があり、声帯の炎症には薬を使うこともありますし、声帯ポリープなどで必要があれば、関連病院で手術をすることもあります。現在は済生会中津病院と連携しており、私が執刀しております。そして特に力を入れているのが音声治療です。クリニックには2人の言語聴覚士がいて、正しい声の出し方を指導します。声のトラブルがある方は、のどが詰まるような話し方になっていたり、のどに力を入れすぎている場合が非常に多いため、声が出る仕組みから説明した上で、腹式呼吸法やのどをリラックスさせる方法、口の形によって声帯が振動しやすい出し方などをトレーニングします。悪い癖によって声に異常をきたしていている場合もあり改善度合いは、患者さんの状態によってさまざまですが、トレーニングを続けることで、改善に向かうことが多いかと思います。

治療中は、あまり声を出さないほうがよいのですか?

一般的に声の調子が悪いときには「声を出さないで」と言われることが多いです。しかし患者さんの多くは仕事で話すことが多いので、声を出さなければなりません。そこで、治療の最初の段階で声の衛生指導を行い、声の代わりに代用できる方法や、日常生活全般の見直しなど、患者さんご自身で気をつけてほしいことをアドバイスします。また逆に、年齢的に声を使う機会が減って声が出にくくなった患者さんには、新聞の音読やカラオケなどもお勧めして、声を出す機能を鍛えるように指導します。声を出さないことによる弊害もありますので、その見極めは大切ですね。

診療において先生が心がけていることを教えてください。

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問診では、患者さんのバックグラウンドを引き出し、どのように困っているのかを把握することが大事です。声の不調は見てわかるものではなく、診察室で声を聞いても、問題があるようには見えない患者さんがいらっしゃいます。仕事中など限定したところだけで声が悪くなることもあるからです。悪くないと言ってしまえば、患者さんの抱えるトラブルは解決されないままです。特定の場面のみで声が出ない患者さんは、往々にしてメンタルの問題が背景にあります。このような場合、治療は容易でないこともありますが、音声治療をしながら悩みに寄り添うことも大切だと思っています。また、患者さんのニーズに応じた治療のゴール設定も大事です。客観的に声の質はあまり変わっていなくても、患者さんご自身が声を出しやすくなったと満足されて治療を終えることもあり得ます。良い声という判断は人によって違うので、患者さんの考えを尊重するように心がけています。

正しい声の出し方やケアの方法を知ってほしい

先生が音声の治療に関心を持った理由をお聞かせください。

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医師であった祖父の影響があり医学部に進みましたが、中学生の頃からギターを弾いたり歌を歌うのが好きで、大学では軽音楽部でバンド活動を楽しんでいました。また、学生時代には後に声楽家となった現在の妻と知り合い、声はどうして出るのか、歌はどうして話し声と違うのか、ますます興味をもつようになりましたね。大学卒業後は聴覚の研究で学位をいただいた後、済生会中津病院や国立病院機構大阪医療センターなどで耳鼻咽喉科の医師として勤務していましたところ、ご縁があり阿倍野区で長く音声診療をされていた文珠敏郎先生にご指導いただくようになりました。文珠先生も音楽がお好きであり、母校の軽音楽部の大先輩でもいらっしゃいます。そんなご縁もあって、先生のご協力をいただきこの場所で開業するに至りました。

それでは、現在も音楽活動を続けていらっしゃいますか?

アコースティックギターは1人でも楽しめますので、時間があれば演奏したり、ときには曲を作ったりして楽しんでいます。また、医師という仕事を反映した歌を作ることもあり、子どもたちへの応援歌のつもりで作った「ロックンロール中耳炎」という歌はウェブでも公開しています。また、帝塚山で開催されている帝塚山音楽祭には毎年出演させていただいています。

今後の展望をお聞かせください。

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「治療のおかげで声が出せるようになりました」と言っていただく喜びは非常に大きいものです。特に、仕事によっては声が出るか否かが人生を左右しているとも言えますので、その重みを常々意識しながら治療にあたりたいと思っています。また、音声の問題は患者さんごとに大きく異なりますし、患者さんの生活全般を把握して進める必要があるので、時間がかかりますが、やりがいも感じています。ただ、声は誰にとっても重要なコミュニケーションツールであるのに、正しい声の出し方やケアの方法はあまり知られていないようにも思います。声の調子が悪いからと言って、状態によっては黙っていればよいというわけではなく積極的に声を出したほうが良いこともあります。音声を治療する医療機関として、正しい知識やケアの方法が世間に広まることを願っています。

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