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竹内 剛 院長の独自取材記事

あぐい小児科クリニック

(知多郡阿久比町/坂部駅)

最終更新日:2019/08/28

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名鉄河和線・坂部駅から徒歩3分、田んぼの間を抜けると「あぐい小児科クリニック」がある。エントランスを入ると、吹き抜けの天井から恐竜の模型が吊り下がる。そして院内のあちらこちらに子どもたちの好奇心をかき立てる仕掛けが隠れている。院長の竹内剛先生は、生物学を専攻して大学院まで卒業した後、高校教師として活躍していた。教育現場に入り込める医師がいると教員だけでは手の届かなかった問題を解消できる手助けになると感じ医師を志した。病気を治す、安心してもらう、笑顔で帰ってもらう、この3つを柱に診療を行う傍ら、地元の学校教育現場への支援活動も多数。「子どもたちが笑ってくれることが一番のやりがい」と語るユニークな竹内先生へ、地域医療への取り組みなど聞いた。
(取材日2017年7月25日)

生物学者から高校教師、そして小児科の医師へ

医師になる前のことを教えてください。

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このクリニック周辺で育った私は、小さな頃から野山を駆け回り、海や川で魚やザリガニを捕ったり食べちゃったり、あらゆる生物に興味を持っていました。大学で生物学を専攻、大学院まで進んで生体制御機構について本格的な研究活動をしていました。高校教師になったのは、親族に高校教師がたくさんいて、仕事といえば高校教師という感じでしたので、自然な流れです。愛知県内の高校で5年間、生物と化学の教師を務めました。何でもまず「結果を出す」ことにこだわっていたので、全国模試で10番以内になる生徒を複数出すなど、自分で言うのも何ですが教え方はうまいほうだったと思います。天狗ですね……私。同時に、自分がワクワクすることが大好きなので、あっと驚くような実験を仕掛けたりと、楽しい毎日でした。

なぜ医師になったのですか?

教師をやりながら、世の中に学校教育の中に入り込める医師がいるといいなと思っていたのです。例えば、発達障害の子がいたとして、それを最初に見つけるのはたいてい幼稚園・保育園の先生です。でもそれを保護者に伝えても「医学の知識も何もない人がうちの子に文句をつけてきた」と解釈される。では教員免許を持っている私が医師免許も取れば、教育現場に貢献できると考えました。また、中学校や高校では職場体験学習などもカリキュラムの中にありますので、そうした生徒を受け入れられるようにもしようと思ったのです。また、学校の先生向けの医学の知識を持ってもらえるような働きかけもできたらいいなと思っていましたね。とにかく、医学と学校教育を結ぶような幅広い活動ができたらと思って医学の分野に飛び込みました。

開業するまでのことを教えてください。

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学校教育に入り込める医師になると決めたときから、自分で運営方針を決められる開業医をめざし、地元でやりたいと思っていましたので、地元の病院を知るために、半田市立半田病院を研修先として選びました。小児科を選んだのは、教育現場に一番近い科だからです。人間と他の生物の関わりあう「感染症」にたいへん興味をもって勉強していましたので、院内の多職種連携プロジェクトの一つであるICT(感染対策チーム)のメンバーとなり、積極的に活動していました。ほかにも、いろいろな動植物に詳しいということで、例えば「マムシに噛まれた」「毒にあたった」といった急患対応のサポートを他の科から求められたりと、ユニークに使ってもらっていましたね。辞めるときには、そうした動植物の毒に関する診断マニュアルを作っておいてきました。半田病院には救命救急センターの当番医として、現在も月1、2回勤務しています。

病気を治す、安心してもらう、笑顔で帰ってもらう

診療におけるモットーを教えてください。

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一番目はまず、病気を治してあげること。例えば細菌感染なら基本的に抗生剤を使って治療をしますが、どの抗生剤が効くかを的確に判断することが大切です。たとえ病気が特定できなかったとしても、何にでも効く強い薬をいきなり投与するのではなく、症状・年齢などに応じて適切なものを選ぶように心がけています。二番目は患者さんとご家族に安心していただくこと。三番目は、患者さんに笑顔で帰っていただくこと。笑顔が出るということは、本当に安心できているということでもあります。患者さんの笑顔を見たくて、ちょっとした手品など、いろいろなネタも用意しています。また、博物館で働ける学芸員の資格も持っていますので院内の展示なども博物館風にしてあります。知的好奇心をくすぐるクリニックになっていればと思っています。

患者さんに安心していただくために心がけていることは何ですか?

患者さんに安心していただくためには、病気の正確な診断と先を見越した情報提供が必要です。どうしてそう診断したのか、どんな薬でどのようにこの病気を治療しようとしているか、この症状でこの薬を飲んだらどんな変化が予想されるか、様子見で良いのはどんな場合か、どうなったら緊急対応が必要か、次はいつ頃症状を確認したいから診せてほしいか、といったことを、病気について何も知らない方でも対処できるよう、できるだけわかりやすく説明するようにしています。先のことがわかれば人は安心するものと思っています。

スタッフの方たちはどのように教育しているのですか?

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私は説明するのが大好きなので、つい長く話をし過ぎてしまうのですが、それでは他の患者さんの待ち時間が長くなってしまうので、スタッフにも私と同様の説明ができるように教育しています。院内の勉強会などもやっていますが、疾患ごとの注意点や、症状による対応方法の説明などは、知識として頭に入れるだけではなく、きちんと患者さんにお伝えできるレベルにしなければなりません。まずは実践してもらい、先輩スタッフがフォローして足りない分を補って、覚えてもらっています。スタッフ教育にも、私の教師だった経験は生かすことができていると思います。当院のスタッフは、看護師5人うち男性3人、事務4人です。結構ユニークな人たちがそろっていますよ。

子どもの笑顔のために、地域医療に取り組む

教育とは現在はどのように関わっているのでしょうか。

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今は、園医・校医など3ヵ所を受け持ちしています。また、お母さん向けの病気の勉強会を定期的に開いたり、学校関係者向けの講演のお話をいただいたり、学校授業の職場体験受入れであったり、直接子どもたちに教えることもあります。また、いじめ問題に医療機関からできることがないかと取り組み、学会発表も行ってきました。今後は学校内に入っての活動もしていきたいですね。

学校に貢献できたと感じる瞬間であったり、やりがいを感じることはありますか?

教師や保育士さん向けの講演会で小児の緊急対応について話をしたことがあります。異物をのどに詰まらせて呼吸困難な状況での対処方法を示し、「のどに詰まらせたものを一刻も早く出させてください。救急車なんて待っていたら死んでしまう。助けるのはあなたたちです!」と伝えました。その後、参加した先生の一人が実際に目の前で食べ物を喉に詰まらせて呼吸できなくなった子どもに遭遇したんです。彼女はパニックになりながらも実践した。そして偶然僕が待機していた病院に救急車で来た時、彼女は僕を見て涙をボロボロ流し「先生!私、思い出しながら一生懸命やりました。この子大丈夫ですか?」とその時、子どもは元気に救急車から飛び降りて走ってきました。あの講演をさせてもらえたことで間接的にあの子を救うことができた。現場にいられないと助けられない命だったと思いますので僕が直接助けたわけではありませんがとてもやりがいを感じました。

お母さんたち向けの支援もいろいろされていますね。

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2ヵ月に1回くらいのペースで、小さい子どもを持つお母さんたちのための勉強会を無料で開催しています。定員は20~25人くらいですが、いつも満席をいただいています。テーマは、「湿疹」であったり「夏の感染症」であったり。内容は、アトピー性皮膚炎に使用するステロイドのメリットと副作用についてとか、疾患の診断基準についてとか、どんな症状が出てどんなときに入院するのか、などです。保育士さんからはどういうときに感染が広がるのかとか、出席停止にする基準とか、自宅へ帰すべきか、知りたいというご要望もありますね。お母さんたちが話を聞いている間、お子さんたちは別室で当院スタッフと遊んでもらうようにしています。今後は、できれば病児保育も手がけていきたいと考えています。いろいろな角度から、子どもたちの笑顔のために、地域に貢献していきたいと思います。

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