土田 茂樹 院長の独自取材記事
菅田町土田整形外科
(横浜市神奈川区/横浜駅)
最終更新日:2022/10/31

神奈川区菅田町を通る菅田道路沿いに青い看板が立ち、少し入ったところに「菅田町土田整形外科」がある。アットホームな雰囲気が印象的な同院では、首、腰、各関節の痛み、外傷、骨粗しょう症など幅広い整形外科領域の症状に対応。子どもから高齢者まで多くの患者が訪れているという。そんな同院の土田茂樹院長は東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学の関連病院などで経験を積んだのちに、同院を父から引き継ぎ以来、地域の人々の健康に寄り添っている。「医師が病気を治すというより、患者さん自身が病気に立ち向かい治していくために寄り添いサポートをしていきたい」と気さくに話す土田院長に、同院のことや地域医療にかける思いについて話を聞いた。
(取材日2022年2月25日)
専門科の枠にこだわらず、寄り添い、健康を支える
クリニックをご紹介いただけますか?

もともと昭和50年代から北村整形外科という名前で診療を行っていました。2012年に北村先生より前院長、私の父である土田義隆が引き継ぎ、院名も現在の菅田町土田整形外科と変更、2017年からは父に代わり私が医業を継続しております。一般的に整形外科のクリニックは高齢の患者さんが多いかと思いますが、あまり交通の便が良くない場所柄、お子さんから若い方、高齢者まで幅広い患者さんに来ていただいています。首、腰の痛みや膝や肩などの関節痛、手足の痺れを訴える方、打撲、捻挫、骨折や切り傷など外傷のほか、骨粗しょう症の検査や治療で通われる方も多いですね。薬や注射、装具を使用しての治療、痛みを和らげるための温熱、低周波治療、マッサージなど物理療法によるリハビリテーションを中心に行っております。
アットホームな雰囲気ですね。
スタッフ、患者さんたちのおかげで非常に和やかな雰囲気で、アットホームな感じになっているのではないでしょうか。院長という立場ですが、スタッフの中ではかなり若輩者のため、周囲に助けられているおかげだと思っております。患者さんに対しても同様に、自然体で接することを心がけています。院内の雰囲気が良くないと、患者さんの治療の妨げになることは言うまでもありませんし、私どもの精神衛生上も良くありませんから、こうした雰囲気づくりも大切にしていきたいと思っています。
特徴はどんなところでしょうか?

患者さんやご家族の気持ちに寄り添い、つらいことや、原因を考えた上で方針を立て、説明し、患者さんとともに治療していこう、という考え、姿勢です。単にマニュアル的な治療ではなく、患者さん一人ひとりに歩み寄り、ご相談した上でその場で最善と思われる医療を行いたいと考えています。専門科に固執し患者さんの希望をはねのけるのではなく、必要に応じて専門科の垣根を越えて診察・治療を、もしくは状況に適した医療機関に紹介をするようにしています。明らかに脳神経外科や循環器科、消化器・呼吸器外科、内科など他科での診療や治療を優先すべきだと判断した時、また整形外科領域でも入院、手術が必要な時などは患者さん、ご家族とご相談の上、他の医療機関をご紹介しています。そうした姿勢からでしょうか、この地域では、何か体調不良があったらまずは当院へ、という方もしばしばいらっしゃいますね。
病気を丁寧に説明し、理解してもらうことを大切に
力を入れていることはありますか?

最近一般でも取り上げられるようになった、ロコモティブシンドロームやフレイル、そして特に骨粗しょう症などけがや骨折の予防をするための医学にも注力しています。骨粗しょう症治療は骨折しにくくなることだけではなく、筋力の低下の予防や痛みの改善にもつながります。骨密度の検査を定期的に行い、結果はその日のうちに説明し、必要であれば治療をするようにしています。私の出身校、東京慈恵会医科大学の整形外科は、現主任教授をはじめとしたチームで、骨粗しょう症に関する研究に力を入れ、またその成果を積極的に全国、世界に広めています。私もその本当に小さな末端の一員ではありますが、勉強させていただいたことを患者さんのご健康のために役立てたいと精進しております。
診療の際に心がけていることは?
出身校である慈恵医大の学祖といわれる高木兼寛先生のお言葉「病気を診ずして病人を診よ」、これを肝に命じています。疾患名にこだわらず、まずその原因を考え、その上で疾患や患者さんの状態を正しく診断すること、患者さんやご家族にわかりやすく説明すること、これらを常に意識しています。患者さんの日常生活にどんなことが必要か、など患者さんの気持ちに寄り添って話し合い、お互いに協力して治療をすることが大切です。そのためにも丁寧にわかりやすく説明し、ご納得いただくことで、より患者さんのお体、お心のためになっていくのではないかと思っています。
患者自身が病気を理解することが大切なのですね。

そうですね。患者さんとそのご家族、また医師、看護師や理学療法士などのコメディカル、受付を含めたすべてのスタッフも、みんなで協力して「輪」になって患者さんのご病気、おけがの治療にあたるという気持ちが大切だと思います。医師だけが病気を治すのではなく、あくまで医師は輪の一端として、患者さんが治っていくのを主導して手助けする立場だと思っています。ご自身の力で治すことを一番効率的にできるように、説明やアドバイスをし、ご理解いただいた上で治療にあたっています。そのため患者さんの待ち時間も長くなってしまい、申し訳ないと思っているのですが、お待ちいただいていた患者さんに懇切丁寧に接し、結果ご快方に向かっていただくことでご納得いただけるよう努めています。
院内処方をしているとか?
そうですね。場所柄、近隣に薬局が少ないこともあり、院内処方にしています。さまざまな薬をそろえていると自負しております。病院で診察・会計で待ち、処方箋を受け取って離れた薬局まで行き、またそこでお待ちになるよりは、そのすべてが当院で終わったほうが患者さんにとって良いことだと考えます。ですので、当院で多少待つことがあってもちょっぴりおおらかな目で見てもらえるとうれしいですね(笑)。
患者自身が病気を治すのを全力でサポートしていきたい
先生は、なぜ医師を志したのですか?

父が形成外科の医師で、私は子どもの頃から医局で実際の現場も見ていたためか、医療に対しての抵抗はありませんでした。患者さんを治療し、回復して喜ばれるということを見聞きしていて、子どもながらに医師という仕事に憧れ、そのまま医師を志しました。実は最初は、整形外科ではなく一般外科に進みました。がんなど命のかかった病に苦しむ患者さんを救いたいという気持ちがあったのですが、手術をしても助けられず、後に苦しみ亡くなる多くの患者さんを診たり最期を看取り続けるうちに、精神的につらくなってしまいました。自分のエゴイズムもありますが、患者さんが目に見えてもっと元気になり喜ぶ姿を見たいと思うようになったのです。患者さんのADL(日常生活動作)、普段の生活を良くしていくという目的に向かっていきたいと考え、整形外科に転科しました。
その思いのとおり進んでいるのですね。
ロコモティブシンドローム、フレイル、骨粗しょう症。予防医学の考えが進んできたこともあり、ADLが良くなることが整形外科領域にとどまらず、生活習慣病をはじめとする内科疾患の予防にもつながっています。医学の、それぞれの科ごとの境界がなくなり一つの輪になってつながってきていると感じるのです。そう考えますと、整形外科の医療を続けることで、命に関わるような病気のもとを断つ、防ぐという意味でもまた、患者さんを救うことにつながるのかなと思っていますね。今まで一般外科を含めたさまざまな現場で経験したことから少しずつ見えてきたことを診療に生かそうと考えています。
最後に今後の抱負とメッセージをお願いします。

少しでも多くの方々が幸せな生活を続けられますよう診療する気持ち、そのために必要な勉強をこれからも続けることです。けがや病気をしないことが一番で、それに対する予防が大切です。しかし、いくら予防をしていてもけがや病気にはなります。そうした時、どうしてそれが起こるのか、どう過ごせばそれに対処できるのかを理解すること。医師に任せて何かをしてもらうことより、患者さん自身でも普段の生活の中で考えて実践していくことが大切です。それに対して医師である私や当院のコメディカルが全力でサポートして、必要なものを提供して、その使い方やアドバイスをしながら、一緒に立ち向かっていきたいと思っています。