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柴田 光太郎 院長の独自取材記事

愛和診療所

(府中市/北府中駅)

最終更新日:2019/08/28

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「庭の木が枯れたらどうしますか?」と取材時「愛和診療所」の柴田光太郎院長から問いを受けた。虫がついていないか、根は腐っていないか、と観察して原因を探り、取り除く。そう答えると、深くうなずいて「人間もそうあるべき」と言った。内科学から麻酔科学、精神神経科学、漢方医学まで幅広く学び、全身管理の重要性を訴える柴田先生が危惧するのは「枯れた葉に緑色のペンキを塗るような」局所的かつ暫定的な治療が蔓延していること。柴田先生は複合疾患を前提とした総合的な医療を実践してきた。遠方から訪れる患者も多い中、昼休み返上で地域の患者の往診にも足を運ぶ柴田先生に、「痛みの治療」を中心に話を聞いた。
(取材日2015年12月7日)

西洋医学と東洋医学の双方の見地から治療を提供

2年前に開業されたそうですね。府中市とは何かご縁がおありだったのですか?

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いえ、2年前の開業までは、縁もゆかりもない場所でした。当院が入っているビルはちょっと珍しくて、グループホームやデイケアサービス、障害児をサポートする施設などが集まっているんですね。この1階に病院を入れようという話になった時に、さまざまな症状を診ることができる医師に来てほしいというオーナーさんの意向があり、何人か面談をしたそうです。しかし、どの医師も見られる範囲が限定的だったため決定に至らず、私のところにお話が来ました。開業しようという意思はほとんどなかったのですが、「いろいろな患者さんを診てほしい」というところに魅力を感じ、お受けすることにしました。もしああいったかたちで打診がなければ、今でも勤務医として働いていたと思います。

いくつかの病院で勤務された後に開業されたのですね。

大学を卒業後、公立阿伎留病院(現・公立阿伎留医療センター)、福岡大学病院、東京愛成会高月病院などで勤務し、内科学、麻酔科学、精神神経科学などを学びました。患者さんの全身を管理し、総合的な視点で痛みを取るためには、循環器内科や内科の知識はもちろん、精神的なフォローも欠かせません。これまで勤務したそれぞれの場所では良い出会いがたくさんあり、特に精神医学、内科学についてはその道でも知られる先生方の教えを請うことができたので、非常に幸運だったと思っています。また、「全身を整える」という観点から鍼灸や五行理論、漢方医学にも興味があり、学生時代から独学で学びを深めてきました。東洋医学と西洋医学、双方の見地からより良い治療を提供していきたいと考えています。

来院される患者さんの多くは地元の方ですか?

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ほとんど紹介の患者さんで、埼玉県の川越市や鶴ヶ島市、千葉県、神奈川県、都内など、さまざまな地域からいらしていますよ。中には、名古屋から通っている患者さんもいらっしゃいます。いくつかの医療施設で検査と治療を重ねてきたものの症状が一向に癒えず、当院にたどり着いたという方が多いですね。小児科に来るのは近くにお住まいのお子さんたちですが、小児科でも全身管理を基本としていますので、発熱を繰り返す、慢性的な副鼻腔炎があるといった症状からへんとう腺肥大などの病気を見つけることも多く、症状がひどい場合は専門病院をご紹介しています。また、近隣の患者さんには、お昼休みの時間を使って往診も行っています。長年在宅診療に携わってきたので、当院でも当初の計画では在宅をメインにするつもりだったんですよ。実際に診療を開始してみると外来の患者さんが予想以上に多かったので、このようなスタイルに落ち着きました。

複合疾患を前提とした多角的な視点で痛みへアプローチ

先ほど「痛み」という言葉が出てきましたが、先生は疼痛の緩和に力を入れておられるそうですね。

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私は、過去に自分の痛みを理解して治療してくれる医師がいなかったことから、痛みを診たいと思い医師になりました。そのため、患者さんの全身を診て、精神的な側面も視野に入れつつ痛みを緩和していくことに力を入れています。痛みは、内科的な要因や骨・関節だけでなく、神経やストレスからくるものなどさまざまで、全身的かつ全人的な問題だといえるでしょう。当院では、それが神経障害性疼痛なのか、心因性疼痛なのか、その2つが融合した疼痛なのかをこまやかな問診と検査で原因を探ります。例えば「肩が痛くて、整形外科や整体にも通ったけれど良くならない」という場合、肩の痛みが心臓疾患によって誘発されることがあるという循環器系の知識を持っていると、動悸やめまいなど関連する症状が出ていないかお聞きしてエコーをします。肩だけを局所的にフォーカスして診るのではなく、多角的な視点から原因を探りトータルな治療を提案することが大切です。

複合疾患を前提とした診療が重要だということでしょうか?

そのとおりです。足がむくむと医師に相談したら「年のせい」と言われたけれど、実は高血圧の対策で飲んでいる薬が原因だったということもあります。重症の心不全で細かなケアが必要だったにもかかわらず、風邪で通院した内科で心不全への影響を考慮せず薬を処方されたことで、別の症状に悩まされることになった方もいるんです。こういった問題も、たいていの症状は複合的な要素によって引き起こされているという前提でアセスメントを取り、問題点を明らかにして治療計画を立てていけば防ぐこともできます。

痛みにもいろいろな種類がありますが、治療が必要か否かはどう判断すれば良いのか教えてください。

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痛みは体からのシグナルです。痛みがあるということは、程度の差こそあれ、体のバランスがどこかで崩れているということ。生活に何らかの支障があるようであれば、受診すべきだと思います。一方、生活に支障がないレベルの痛みは、多くの人が感じているものです。「若い頃と比べて体の動きが悪い」「何となく肩が痛いような気がする」といったような状態ですね。こうした場合には、痛みを完全に取ることに固執し過ぎず、日々健康に過ごせていることを体に感謝したいものです。体は、いわばその人にとっての従業員のようなもの。一生懸命働いているのに認めてもらえず、欠点ばかり指摘されていたら、人間だって嫌になってしまうでしょう。よく動いてくれること、食べておいしいと思えることを当たり前だと思わずに、体を労わってあげてください。

症状の裏に潜む根本的な原因を探る

診療ではどのようなことを心がけていますか?

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血圧が高いから血圧の薬を出す、頻尿だから頻尿の薬を出すといったような治療と薬の処方を私は行いません。その症状の裏に潜む原因は何なのかを考え根本的な解決を図る。先ほどから申し上げている複合疾患という考え方に基づいた治療が私のポリシーです。患者さんが生活や日常を取り戻していく姿を見せていただけることは、何ものにも代え難いです。

最も仕事にやりがいを感じる瞬間は?

どこへ行っても痛みが取れなかった人、痛みやつらさの原因がわからずに苦しんでいた人たちの、悩みがなくなっていくのを見る時です。以前、膝が痛くて歩くのもつらいという方がいらしたのですが、足を見せていただくとパンパンにむくんでいて、余分な重みが膝にかかっていました。服用している薬によるものだということがわかり、処置を施しました。ほかにも、老人性うつ病と診断されていた人の話を聞き、身体症状を診てエコーを取ったところ、心臓の疾患が原因でうつのような状態になっていたということもありました。診療をしていると、こういう瞬間がたくさんあります。患者さんから「診てもらって良かったです」という言葉をいただくことが、何よりもうれしいです。

最期に、今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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今後は、これまでどおりの診療と並行して、複合疾患を診ることができる医療を育てていきたいですね。これは私見ですが、本当のスペシャリストは、総合病院にいるのがベストだと思います。私たちのような町の診療所には、ゼネラリストとして幅広い診療ができる医師が適しているのではないでしょうか。もっと多くの医師が複合疾患を診られるようになり、適切な診断を下せる機関が増えていくことを望んでいます。医療や健康に関する情報が氾濫している今、その正誤を判断するのは非常に困難です。どのような治療も薬も、その患者さんにとっての良しあしは「時と場合による」といえるでしょう。適切な治療を適切な時に行えば、長年の苦しみから解放される可能性は十分にあります。これまでずっと治療を受けてきたけれど治らなかったという方、原因がわからないという方は、一度複合疾患を疑って来院してみてください。

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