知識と技術で患者の希望に応える
血管専門家が行う下肢静脈瘤治療
梅田血管外科クリニック
(大阪市北区/梅田駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
重篤な血栓がなければ命に関わる病気とはならないが、自然に治癒することはない上、放置すると皮膚が変色したり潰瘍ができることもある下肢静脈瘤。血管治療ということもあり、「痛いかも」「怖い」との思いから、なかなか治療に踏み切れない人も多いのではないだろうか。「手術には鎮静剤を使うのでほとんど眠った状態で受けられます」と話す「梅田血管外科クリニック」の古林圭一院長。血管外科が専門で、心臓、循環器、救命救急分野にも精通。専門家としての知識と技術を駆使しながら下肢静脈瘤手術を行っている古林院長に、同院の下肢静脈瘤治療について話を聞いた。
(取材日2021年5月13日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q下肢静脈瘤の治療にはどのようなものがありますか?
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A
ファーストチョイスとして、カテーテルを用いた血管内治療があります。レーザーや高周波を用いたオーソドックスな血管内焼灼治療。そして医療用接着剤を使うグルー治療。このカテーテルを用いた3つの治療法に対応しているのが当院の特徴です。静脈を切除し引き抜くストリッピング手術という方法もありますが、カテーテル治療が発達したため最近は減少傾向です。ただ足の表面近くにある伏在型静脈瘤では、引きつれが起きる可能性もあるためストリッピングのほかに瘤切除、静脈に注射をして固める硬化療法などを選択する場合もあります。当院には2013年9月の開院から2021年4月までで、累計6925件の手術実績があります。
- Q手術には鎮静剤を使用しますか?
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A
痛い時はもちろん、「痛みが出るかも」と思うだけで、人の体は緊張し筋肉が収縮します。同時に血管もきゅっと収縮するので、術野が狭くならないように、できるだけ患者さんにリラックスしていただくために、当院では鎮静剤を用います。少しぼんやりとしたり、眠い感覚になりますので、痛みも怖さもほとんどないまま終了すると思います。私は血管外科の専門家として心臓や動脈のバイパス手術なども行ってきましたので、鎮静剤の量への注意はもちろん、もしもの場合の対応も経験してきています。術前に患者さんの病歴や基礎疾患についても詳しく伺い、適応かどうかも判断してから行いますので、安心して手術を受けていただければと思います。
- Qこちらで手術を受けるメリットや他院との違いを教えてください。
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A
手術というのは究極的な言い方をすれば、手先が器用であればできます。ですが、それと病気を治すということは違います。専門的な知識・経験といった頭の部分も大切だからです。私は当院を開業するまで循環器内科、心臓外科、救命救急センターに勤務してきましたので、心臓、循環器、血管の分野をトータルにカバーしていけるところが強みだと思います。術後の傷についても「なるべく小さく」と望まれれば、患者さんの希望と専門的知識をすり合わせて、着地点を探ります。常に患者さんの満足度が100%に近づくよう、よく話し合って方向性を決めるのが当院のスタンスです。専門分野であるのに「当院ではできません」とはしたくないですからね。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1初診・超音波検査
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受付で問診票を記入し、更衣室へ。検査着の5分丈パンツに着替えた後、診察が始まる。同院では、すべての患者に超音波検査を行う。来院患者の半分は足のむくみや皮膚炎、腰椎の疾患などの症状で、下肢静脈瘤ではないそうだが、「来られた患者さんの血管が、大丈夫かどうかも診てあげたい」と古林院長。超音波検査中に何に困っているかを丁寧に聞き、既往歴や基礎疾患も把握。短時間で充実した診察を心がけているそう。
- 2診察・手術説明
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検査結果は、すぐその場で説明がされる。実際に手術が適応なものなのか、適応であればどういう方法が良いのか。また、皮膚炎であれば皮膚の治療法、整形疾患であれば整形外科を紹介するなど、下肢静脈瘤以外でも、さまざまな対応法を用意してくれている。治療法や手術も押しつけるのではなく、患者がどうしたいかを一番に考えてくれる。手術をすることが決まれば、日時を相談し、術前の詳しい検査へと進む。
- 3手術
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予約日に来院。採血・心電図は既に済ませているので、当日は体温を測定し、術着に着替えて手術室へ。ベッドに横になると鎮静剤が入り、局所麻酔を行った後、うとうととした状態で手術が開始される。カテーテル治療であれば15分から30分程度。両足の手術であれば、この2倍程度の時間を考えておけば十分とのこと。施術後は腫れと出血を抑える弾性ストッキングを装着し、リカバリー室で15分ほど休憩後、歩いて帰宅できる。
- 4術後検査
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手術の翌日からは普段どおりの生活に戻り、入浴や運動も解禁となる。術後のアフターケアを行うために、1週間以内の来院を推奨している。再度、超音波検査を行い、血栓ができていないかを確認していく。「血栓が検出されなければ、もう安心です」と古林院長。手術後から着用していた弾性ストッキングが窮屈だと感じる人は、ここで使用を中止してもいいそうだが、普段使いを継続する人も多いそう。
- 5経過観察
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手術から3~4ヵ月後、半年後、1年後をめどに経過観察を行っていく。気になる症状がなければ、通院する必要もないそうだが、「本当に診たいのは1年後。再発することもあるので」と院長。心配で1年おきに検診に通う患者や、3ヵ月ごとに少しずつ手術を受ける人、「弾性ストッキングで頑張って様子を見ます」と言い続けて10年後に手術した例も。患者の細かな意向をくみ取り、根気強く希望をかなえていく。
自由診療費用の目安
自由診療とは弾性ストッキングによる圧迫療法/3850円~ (※圧迫療法で使用する弾性ストッキングの料金)