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加地 彰人 院長、加地 明代 副院長の独自取材記事

あき歯科医院

(四国中央市/川之江駅)

最終更新日:2021/10/12

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歯科医院とは思えない和モダンな建物が印象的な「あき歯科医院」。加地彰人院長は愛媛大学農学部栄養科学科を卒業後、歯科医師をめざし改めて鹿児島大学歯学部へ入学。妻である加地明代副院長は、徳島大学医学部栄養学科を卒業後に歯科医師への道を進んだ、ともに異色な経歴の持ち主だ。同院では補綴治療および摂食嚥下障害の診療を専門分野とする院長が外来歯科診療と訪問歯科診療を担当し、管理栄養士の資格も持つ副院長が外来歯科診療を行っている。それぞれ異なる得意分野を持つ2人に、歯科医療を志した経緯から診療の内容など話を聞いた。

(取材日2020年12月21日)

それぞれ異なる世界から歯科医師の道へ

まずお二人が歯科医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

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【加地院長】愛媛大学農学部在学中に医療系ボランティアをしていたのがきっかけで歯科に興味を持ち、改めて鹿児島大学歯学部に入りました。僕自身は兵庫県で生まれ育ちましたが、両親の出身地であるここ四国中央市で開業しました。
【明代副院長】私は徳島大学医学部栄養学科を卒業して管理栄養士の資格を取得しました。でも栄養のことを考えていろいろな献立を作っても、それを食べられなければ意味がないと感じました。「それなら自分が歯医者になろう」と鹿児島大学歯学部で学び、歯科医師になりました。

それぞれ歯科医師になる以前に手がけていた分野が現在に役立っていると感じられることはありますか?

【加地院長】愛媛大学では栄養科学科だったので「食べる」という点では歯科と関係がありますね。ただその点では副院長のほうが実際に役立てられていると思います。
【明代副院長】患者さんのお話を聞くだけでなく、話し方や診察室に入ってこられる際の歩き方、姿勢、顔色などの見た目からも、いつもと違いはないか全身を観察し、栄養素の不足から不調が現れているのではないか、ある程度の推測を図ることもあります。血液検査の結果を見せていただくこともあります。口腔内も全身も血液でつながっています。口腔内に問題があれば、体のどこかに不調があり、体に不調があれば、口腔内にも問題が見うけられます。そしてその血液は食べたものから作られています。実際に長年ひどい花粉症で悩んでいた患者さんの栄養状態を調べ、栄養バランスのアドバイスをしたということもありました。

診療の内容などに何か特徴はありますか?

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【加地院長】僕は補綴と嚥下について専門に学び、外来歯科診療と訪問歯科診療を行っています。訪問歯科診療で診る患者さんは主に高齢者なので、自分の歯でしっかり噛んで食べられることを目標に治療しています。抜歯しなければいけない場合も入れ歯を作るなどして、できるだけ長く、理想としては最期まで自分の口から食事ができるようにサポートしていきたいですね。
【明代副院長】外来歯科診療は一般的な歯科医院と同じで、お子さんからお年寄りまで幅広く診ています。妊婦検診で来られた患者さんには、お母さんの栄養バランスがそのまま子どもにも影響するといったお話を。小さなお子さんのお母さんには、必要に応じて離乳食の与え方やお口周りの筋肉の発達を促す方法。ストレスが多いであろう働き世代には、ストレスで消耗する栄養や、栄養不足であらわれる口腔内の症状、全身の症状のお話を口腔内の状態と合わせて行います。

それぞれの得意分野を生かして多様なニーズに応える

診療においてやりがいを感じるのはどんなときですか?

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【加地院長】高齢者の場合、入院している間は入れ歯を外したままにしていることがよくあります。そうすると退院する頃には入れ歯が合わなくなっていて、よく噛めなくなっていることがあるんです。そういった方からの依頼で入れ歯を調整したり作り直したりするということはけっこうあります。きちんと噛んで食べるためのお手伝いができた時は、自分もうれしくなりますね。
【明代副院長】私は「歯医者が怖いところではなくなった」と言われると「よし!」と思います(笑)。例えばお子さんが泣かずに治療できて、誇らしげに帰ってくれたりしたときですね。その人が感じていた「歯医者のハードル」を低くできたということがやりがいになるんです。またそういった経験をした患者さんは、メンテナンスにもちゃんと通ってきてくれることが多いですね。

これまでの訪問診療の中で心に残っているエピソードはありますか?

【加地院長】高齢の患者さんの1人で、退院して食事がしにくいので入れ歯を確認してほしいと依頼されて調整したことがありました。その後しばらくしてから再び入院して、最期は病院で亡くなりましたが、治療の資料として撮影してあった写真や動画をご家族にお渡ししたところ、とても喜んでいただけました。やはり自分の口から食べるのと、栄養だけを注入されるのでは大きく違います。特に胃ろうをしている方は、口の中が乾燥しやすく状態が悪くなりやすいんです。僕の尊敬する先生に教わったことですが、「活」という字は「さんずいに舌」と書きます。つまり「舌が潤っていないと活力が得られない」とも解釈できるのです。これは患者さんにもよくお話をするんですが、自分も念頭に置いて診療をしています。

副院長はこれまでの経験の中で印象的な出来事などはありますか?

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【明代副院長】50代の男性の患者さんで、歯がグラグラし歯茎から出血しやすいという方がいらっしゃいました。仕事柄うどんなど短時間で済ませられる食事が多いということで、タンパク質不足を疑いました。でも好き嫌いで肉が食べられないと言うので、アミノ酸を定期的に取るように勧めたのです。と言うのも、歯茎の結合組織の約60%はコラーゲンでできてるんです。コラーゲンはタンパク質でできているので、タンパク質が足りないと歯茎が弱くなりやすいとも考えられるのです。そのためタンパク質を取ってほしかったのですが、肉が食べられないということで、タンパク質を構成しているアミノ酸を取ることを勧めました。そのときは管理栄養士としての知識が役に立ちましたね。

規則正しいケアで食べられる喜びをいつまでも

院長は摂食機能療法を専門的に学ばれているそうですね。

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【加地院長】高齢者を中心に近年急速に増加している摂食嚥下障害について、2020年から日本耳鼻咽喉科学会と日本歯科医師会とが連携して対応しようという動きが進みました。嚥下に関して咽頭や喉頭は医科の耳鼻科の診療領域ですが、口腔内は歯科が得意とする領域なので、それぞれお互いに協力して対応しようということです。こういった流れもあり、僕も摂食嚥下障害の治療に携わる者として、摂食機能療法に関する専門知識の必要性を感じたのです。これからニーズが増えていく分野ではないかと思います。特に訪問診療において専門性を発揮できるはずです。

それぞれ違う分野を得意とする先生がいらっしゃるのは患者として心強いですね。

【加地院長】僕たちの専門分野がすべての患者さんのニーズに合致するわけではありませんが、そのように思ってくれる患者さんがいらっしゃるのはうれしいですね。
【明代副院長】私がかつて好きな先生から学んだことで「口は命の入り口、心の出口」という言葉が心に残っています。それは「食べることで命をつなぎ、うれしいことや悲しいことを口からしゃべる」という意味なのですが、食事というのは、家族全員がおしゃべりをしながら食卓を囲むことが喜びなのだと思います。おじいさんおばあさんは歯が悪いから別のものを食べるというのではなく、全員で同じものを「おいしいね」と言って食べられる、そんな思い出をたくさん残してもらえるような治療をしていきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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【加地院長】気をつけていただきたいのは「だらだら間食をしない」ということです。これはお子さんだけでなく、現在増えている在宅ワークをしている大人の方などにもあてはまります。家にいると人目を気にせずについ間食をしてしまったり、出かけるときもマスクをするので歯磨きを怠ったりしがちです。そういったことから歯の状態も悪くなるので、家にいる時間が長くても、規則正しいケアを続けてほしいと思います。新型コロナウイルス感染症の流行拡大も心配ですが、当院を含め歯科医院では従来から消毒滅菌を心がけていて、現在はそれ以上に対策を取っているところが多いと思います。
【明代副院長】当院でもマスクやグローブなど、なくなると困るものは不足しないよう注意し、万全を期すことを心がけています。ぜひ安心していらしてください。

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