宮内 智夫 理事長の独自取材記事
みやうち内科・消化器内科クリニック
(北足立郡伊奈町/羽貫駅)
最終更新日:2025/12/24
埼玉県伊奈町にある「みやうち内科・消化器内科クリニック」は、2013年の開業以来、地域住民の身近なホームドクターとして、体の不調を幅広く相談できる内科全般の診療を提供してきた。同院の理事長である宮内智夫先生は、自身にもスタッフにも「患者さんのために」の一言を厳しく課し、病気を少しでも早く見つけ出し、重篤化の回避にエネルギーを傾ける。千葉大学で医学博士を取得し、長年にわたり大学病院や三次救急の現場で専門的な医療に携わってきた宮内先生。多くの外来患者と接する中で一次診療の大切さを痛感し、開業に至ったという。今回は、宮内理事長にこれまでの歩みや、クリニックがめざす医療の在り方について語ってもらった。
(取材日2025年9月9日)
ホームドクターとして病気や病気の予兆をすばやく察知
先生は消化器内科をはじめ内科全般の経験が豊富とのことですが、開業を意識したのはいつ頃ですか?

医師になってからは、長らく大学病院や基幹病院の三次救急医療の現場にいました。重い病気で入院されている患者さんに対して消化器内科の手技を専門に行い、医師としてもやりがいを感じていました。その後、いくつかの病院を経て伊奈病院に入職し、外来の患者さんを診る機会が多くなり、自分の中で考え方が変わっていきました。もちろん、基幹病院の役割が重要であることは言うまでもありません。しかし、毎日大勢の外来患者さんたちと接するうちに、「病気にならないようにするための医療」「入院しなくていい体を保つための医療」も、同じくらい大事だと思えてきたんですね。もともと開業する気持ちはなかったのですが、そんな心境の変化が内科の一次診療を担いたい契機の一つとなりました。
病気にならないようにする医療とはどんなものか詳しく教えてください。
一言で言うなら、病気を見逃さない、全体を見渡した包括的な医療、ということです。当院の患者さんは、内視鏡検査を受けに来る方、高血圧症、糖尿病といった生活習慣病で通院される方が多くいらっしゃいます。でも、ただ血圧だけを見て終わり、という診察にはしたくないんです。もしほかに気になる症状があれば、その場でしっかり調べ、できるだけ早く見つけておきたい。そうすれば、通常だと長期入院が必要となるような重篤な疾患が見つかっても、短い治療で済ませることができるかもしれません。これが先ほどお話しした一次診療の役割、病気にならないようにする医療だと考えています。
患者さんに自覚症状がないような病気の危険性を早期に察知するのは難しいですか?

難しくはありますが、できることはあります。一番は診療時間中に患者さんからなるべく詳しい情報を得ることですが、それには内科全般の知識が必要です。どんな病気が隠れているかわからないので、こちらに気づくだけの知識がなければ始まりません。僕は開業するまで、消化器系の中でも特に肝臓の治療に多く携わってきました。けれど、患者さんから見たら医師は医師。専門が何かなんてことは意識しないと思うんです。どんな病気であっても診てもらえると期待しているはずで、それに対して「僕はできません」とは言いたくありません。当院で対応できない病気は近隣の信頼する病院を紹介させていただきますが、病気を見つけられる知識だけはしっかり持っていたい。そのため、医師になってからもさまざまな領域について勉強を重ね、今も学び続けています。
限られた診療時間を1秒たりとも無駄にしない
内科全般をカバーしている先生にとって、一番得意な分野を挙げるとしたら?

得意と言うのは少し気が引けますが、内視鏡検査でしょうか。現在、内視鏡検査はありがたいことに数ヵ月先まで予約が埋まっている状態です。多くの患者さんにご利用いただいている理由としては、やはり苦痛が少ない検査を心がけている点が大きいと思います。当院では、痛みが出やすい大腸内視鏡検査も、痛み止めをほとんど使わず、苦痛を最小限にして細心の注意を払って見落としのない検査に努めています。これまで数多くの内視鏡検査を行ってきましたので、安心して検査を受けていただければと思います。内視鏡検査の予約はいっぱいですが、もし緊急性がある場合はお電話ください。例外的に診療時間前から検査・診察を行うなど、柔軟に対応いたします。
診療時に大切にしていることは何ですか?
大事なのは「限られた時間をいかに有意義なものにするか」だと思っています。昨今の医療に対し「3分診療」という批判を耳にしますが、当院もたくさんの患者さんが来られる中、お一人あたりの診療が短くなったり、予約の時刻より遅れたりしてしまうケースがないとは言えません。実際、比較的混んでいない日であっても大勢の患者さんがいらっしゃるため、1人5分でさえ難しい状況です。待ち時間を少なくすることも常に課題ですが、診療時間も最後の1秒まで絶対に無駄にしたくありません。ほんの数分の間であっても、問診のやりとり一つ一つ、待合室から患者さんの様子に目を配っているスタッフのコメントなども生かしながら、「きちんと診てもらえた」と、患者さんに思ってもらえるような密度の濃い時間にしたいですね。
患者さんから情報を得るのに苦労することもあるのでしょうか。

そうですね。患者さんの中には、あまりご自身のことを話したがらない方もいらっしゃいます。ですがその場合は、どうすればその方の体調や生活背景をより深く理解できるか、その場その場で工夫しながら対応していますね。診療をしていると、「もう少しお話を伺えていたらもっと早く異変に気づけたかもしれない」と後から思うこともあるため、多少しつこくなっても、知りたいことはなるべくその場で聞くようにしています。いろいろお話しいただいて、喫煙の習慣があるとわかったら「この際、きっぱりやめませんか?」と禁煙を勧めることもあります(笑)。
信頼する仲間たち。チーム一丸となってこれからも
スタッフの皆さんについてもお聞かせください。

日々多くの患者さんを迎え入れ、地域医療の窓口として見落としのない診療を自分たちに課すことは精神的に負担が大きく、休憩する時間もほとんどないほどです。それでもスタッフたちは本当によく頑張ってくれていますね。多くの患者さんが当院を信頼して受診していただいている以上、その期待に応えたいという気持ちは僕もスタッフも同じだと思います。例えば内視鏡検査も、患者さんの様子を見て「この日に予定を入れたいです」と、僕より先にタイトなスケジュールを組んでくることも。現在ドクターは僕一人ですが、それでも手を抜かない診療ができているのは、いつも僕をフォローしてくれるスタッフたちのおかげ。クリニックとしては、スタッフの人数も比較的多いほうだと思いますが、今のチームには心から満足しています。
先生が考えるホームドクターとはどのような存在ですか?
医療のことを気楽に相談できる存在であり、場所である、ということではないでしょうか。体の調子が少し気になった時、多くの方は、「いきなり大きな病院に行くのはちょっと敷居が高い」と感じると思うんです。実際、今の医療制度の仕組みを抜きにしても、大きな病院での受診は心理的なハードルが高い。だからこそ、身近なホームドクターは、相談しにくいとか、緊張させられる、といった雰囲気がなく、気軽に足を運べることが何より大事だと思っています。当院もめざすところはホームドクターにほかなりません。診療を行う上で患者さんと医師の距離がぐっと近いのも、大きな病院にはない特色でしょう。診療ではかなりフレンドリーに対応しますので、「こんなこと聞いていいのかな?」と思うようなことでも、どうか遠慮なくなんでもご相談いただきたいですね。
最後に、今後の抱負をお聞かせください。

当院は、精度にこだわった一次診療を提供する町のかかりつけ医であり、診療や検査においても、スタッフの仕事ぶりにおいても、大きな病院に引けを取らないレベルだと自負しています。一方で、今後クリアしたい目標も頭の中にあり、それにはドクターの増員も必要かなと思うところはあるのですが、無理に大きくしてスタッフ間の連携を乱すことは避けたいので、まだ当分は一人で頑張るつもりです。おかげさまで長男が医学部を卒業して医師となり、長女も現在、医師をめざして勉強中です。ですので、近い将来、子どもたちが一人前のドクターになってここで一緒に診療する日がきたら、そこから当院も新しい段階に移っていける気がしています。そんな未来図をひそかに描きながら、これからもスタッフと頑張っていきます。

