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西村 昌雄 院長の独自取材記事

西村ハートクリニック

(上尾市/上尾駅)

最終更新日:2019/08/28

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上尾駅東口、シティタワー上尾駅前の2階にある「西村ハートクリニック」。利便性の良さもメリットだが、外来診療以外に在宅医療も注力しているのが同クリニックの特徴だ。院長の西村昌雄先生が経営する「西村ハートクリニック歯科」が隣接し、両院で在宅医療患者のケアに当たる。西村先生は循環器を中心に、753床ある上尾中央総合病院で10年勤務した後、2007年に同クリニックを開院した。開院の背景には、2006年に始まった在宅療養支援診療所制度によって、大きな病院は患者を在宅療養診療所へ任せるよう推進する動きが始まったことがある。西村院長に在宅医療にかける思いなどについて話を聞いた。
(取材日2015年5月25日)

数多くの臨床経験があるから聴診器1本で勝負できる

先生が在宅医療を始められたきっかけを教えてください。

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在宅医療は、私の勤務していた上尾中央総合病院の理事長から依頼されたのがきっかけです。実は上尾中央総合病院では、2006年以前にすでに在宅医療に取り組んでおり、息苦しいなど心不全の症状を訴えて通院困難な患者さんに在宅医療を提供していました。しかしながら、2006年4月、厚生労働省が第3の医療機関として在宅医療支援診療所の制度を設置したことにより、上尾中央総合病院等の病院は在宅医療を実施することができなくなりました。そこで私どもは、在宅医療を行っていた150人の循環器患者さんの大半を近隣の医療機関や介護施設に紹介しましたが、重症の60人が行き場がなく困っていました。この状況をどうにか改善したいと考え、2007年にこのクリニックを開院して、在宅医療を始めるようになったのです。

開院されて感じたことはありますか? 

病院では検査設備が整っているため、医師は各種検査を依頼するだけで、病気は半自動的に診断されます。診断が確定すれば、治療方針を立てるのは容易です。在宅医療では血液検査と心電図検査は実施できますが、一般的には聴診器1本で診察します。そのためには内科診断学と高い医療技術を持つ臨床経験豊富な医師であることが必要です。私は49歳まで大学で勤務し、循環器内科学の診療、教育、研究に従事していました。その後10年間は、上尾中央総合病院で第1線の臨床医として診療に明け暮れる生活を送っていました。この勤務医時代の経験があるからこそ、聴診器一本で勝負できると自負しています。聴診器はとても大事で、聴く耳を持たなければ装飾品にもなりません。私の医学の集大成が在宅医療です。

在宅療養支援診療所について教えてください。

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在宅療養支援診療所は全国に1万3000件あります。国は、在宅療養支援診療所に対して、24時間365日応需の診療体制を義務付けています。しかしながら、2015年7月に発表されました厚生労働省の在宅医療実績報告書によりますと、実際はその半数しか在宅医療を実践していません。日中の定期訪問診療は行うが、夜間、深夜の往診は電話対応に終始し、看取りの場合には救急車で病院受診を勧める診療所があまりにも多いことが挙げられます。従いまして、厚生労働省は良質な在宅療養支援診療所であるか否かは、緊急往診回数と看取り実施数で評価できると、国民に提案しているんです。当クリニックでは、年間の緊急往診回数は1479回と190件以上の看取り件数は、両者ともに埼玉県内でトップレベルを誇っています。

クリニック名の由来は、心が通う医療と循環器へ思い

このクリニックの診療体制を教えてください。

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24時間365日対応するため、当直体制も万全です。私と娘夫婦で常勤医師が3人、非常勤医師が15人います。看護師7人・理学療法士3人・臨床検査技師も勤務しています。在宅療養支援診療所制度では、在宅医療圏は診療所から半径16km以内と定めていますので、私共は上尾を中心として、さいたま北部・桶川・北本・伊奈町・白岡・蓮田まで訪問しています。基本的には30分以内で訪問可能な患者さんを対象としています。在宅医療では、患者さんの不安を取り除けるように努力しています。症状が悪化していく患者さんは昼夜を問わず往診しますが、定期的訪問診療をきちんとこなしていれば入院しなくても在宅医療で対応できます。

看取りが必要な在宅医療への思いはありますか? 

看取りは、人生の終焉です。在宅医療のクライマックスです。私共はこの最期の時を見据えたシナリオを描きながら、患者さんとご家族との信頼関係を構築しなければなりません。どのご家族も、患者さんには1日でも長く生きてもらいたいと思っていらっしゃいます。患者さんとご家族の身になり、寄り添える診療を行うのが在宅医療のあるべき姿です。決して安易な気持ちで看取りをお引き受けはしていません。私自身、努力して患者さん一人ひとりと向き合いながら、在宅医療を行っているんですよ。お引き受けする前にはじっくりお話をし、病院と在宅医療の違いを説明し、納得していただくことが大切です。住み慣れたご自宅で、ご家族と最後の時を無限に共有し、思い起こすことなく、ご家族に見守られながら最期を迎えたいと願う患者さんの気持ちに在宅医療でお応えできるよう尽力しています。

クリニック名の由来をお聞かせください。

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私がこのクリニックを開院した際に掲げたのは、「心と心の通う医療」です。クリニック名を考えた時に、西村在宅クリニックの方が患者さんにとって分かりやすいかなとも思いました。しかし、私は循環器一筋でやって来たので、循環器から離れるのに抵抗を感じたんです。心臓と心のハートを掛け合わせて、「西村ハートクリニック」と命名しました。私の娘も循環器医ですので、私のクリニック名に馳せる思いには同じ意見を持ってくれましたね。

医療・介護・看護の三位一体で在宅ケアをしていきたい

隣接する歯科医院を経営されているのはなぜですか? 

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在宅医療を始めた時、食事による誤嚥性肺炎が余りにも多いことに気づきました。当初は、胃ろう造設で対応しましたが、数箇月か1年後、今後は唾液による誤嚥性肺炎を発症することが分かりました。口腔内を患者さんご自身あるいはご家族が歯磨きをするだけでは不十分であるため、歯科医師や歯科衛生士による専門的な診療、口腔ケアを導入しようとしましたが、私共内科医の要望を十分理解される歯科医はいませんでした。そこで、自院に歯科を開設した次第です。歯牙欠損の治療で、食事摂取の再開が可能となった方、口腔マッサージ等で誤嚥が減少した方、口腔ケアで誤嚥性肺炎が減少した方など、歯科導入の効果は高いと評価しています。現在、常勤の歯科医師2人・非常勤歯科医師1人・歯科衛生士6人の体制で、毎日在宅歯科診療、口腔ケアを行っています。

先生の理想とする在宅医療はどのようなものでしょうか? 

近年は、老老介護や独居の方が増えています。介護施設入所には費用もかかるため、住み慣れた自宅で、家族の愛に囲まれて、自己の尊厳を維持しながら、最期まで自宅で過ごすことを希望される高齢者が徐々に増えています。在宅医療は入院医療と比較すると、経済的負担が軽減されますが、その反面、ご家族の介護負担が加わります。そこで、在宅医療では、医療・介護・看護が三位一体となって患者さん、ご家族を支えないと、成功しないと思われます。私共は患者さんのみを対象とするのではなく、ご家族を含め総合的に医療・介護・看護体制を構築することが肝要と考えています。私共が英知を集めれば、皆さまのご満足がいただける在宅医療を提供することが可能です。皆さまのご満足が私の理想とする在宅医療です。

在宅医療を検討している方へアドバイスをお願いします。

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慢性疾患をお持ちの方で、単独で病院通院が困難な方は年齢を問わず、在宅医療の適応となります。良質な在宅医療機関の選定方法として、厚生労働省は年間の緊急往診回数と在宅看取り件数を挙げています。私共の診療所では、診療要請にすべて応需した結果、年間の緊急往診回数は1449回、190件以上の看取り件数でした。これを参考にしていただければと存じます。その他、在宅医療では、看護、介護との協力体制も重要です。医師は患者さんの病気を診るだけではなく、医療と介護・看護の包括システムを患者さん・ご家族に構築する必要があります。このネットワークを患者さん・ご家族にどのように提供できるかを見極めて、納得の上、在宅医療導入を決定する必要があります。病気のことで先々が不安の方、ご相談をお待ちしています。

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