早い段階での食事や運動などの対処が肝心
生活習慣病について解説
徳田クリニック
(名古屋市中村区/栄生駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
日本人の三大死因であるがん・脳血管疾患・心疾患の要因ともなる生活習慣病。その名のとおり、食事や運動、ストレスなどの生活習慣が発症に深く関係する病気である。認知症や寝たきりの原因にもなり得るなど、社会的にも大きな課題となっている。その多くは、発病してもかなり進行するまで自覚症状がほとんどないという共通点があり、健康診断などでリスクを指摘されても、「生活に支障はないから」と放置してしまいがちな傾向があるといわれる。「徳田クリニック」の徳田衛院長は現在の健康はもちろんのこと、10年後、20年後のためも、正しい知識を持ち、早い段階で治療を始めてほしいと語る。徳田院長に生活習慣病の予防や治療のポイントについて聞いた。
(取材日2020年9月24日)
目次
将来の健康のために、無理なくできることから始める
- Q主な生活習慣病の種類を教えてください。
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A
まず高血圧が挙げられますね。こちらは脳卒中・心筋梗塞の発症に最も関与していると考えます。塩分の多い食生活や運動不足が原因となり、まさしく生活習慣病です。次に糖尿病です。ほぼすべての病気に関係するともされ、「万病のもと」といえるでしょう。こちらは血糖値が正常に近い、早い段階で見つけて治療につなげたいです。なぜなら、糖尿病も心筋梗塞のリスク要因となりますが、実際に心筋梗塞で搬送された人の採血データをみると、血糖値は意外に高くないことも多いんです。そして脂質異常症ですね。こちらは、血液中の脂質の値で判断しますが、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低く、中性脂肪が高いというケースが多いです。
- Q生活習慣病は、どのように予防すれば良いですか?
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A
3つの病気ともほぼ同じで、食生活と運動不足の改善が基本です。食事はごはんをちょっとだけ減らしてみるなど、できることから始めましょう。栄養はバランスよくとることが大事です。糖質制限ダイエットというものもはやっていますが、炭水化物を食べないとエネルギー不足になり、かえって良くないです。運動はまずは歩くことをお勧めしています。ハードな運動は、体を壊してしまいがちですので気をつけてください。最初は頑張りすぎる方が多いので、10分程度からでも良いです。ただし、腰や膝などを痛めないよう、靴は専用のものを用意しましょう。食事も運動も大切なのは継続。最低3ヵ月、いかにモチベーションを保てるかがポイントです。
- Qこちらでの生活習慣病の治療方法を教えてください。
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A
健康診断のデータを見たうえで、まずは食事制限と運動を頑張りましょう、という話をします。いきなり薬を処方することは、あまりないので安心してください。処方するのは血糖値や血圧が異常に高く、命に関わる場合だけです。もちろん、希望されれば必要に応じて処方します。しかし「10年服用していて数値は変わらないけど、特に困っていないし」と、薬のみに頼ってしまう方も多いです。残念ながら薬のみでは根本的な改善にはつながりません。ただし、血圧はどれだけ薬を使ってでも、コントロールする必要があります。特に脳出血の発症を予防するには、血圧を抑えることがとても重要になりますからね。
- Q生活習慣病を放っておくと、どんなリスクがありますか?
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A
動脈硬化により血管が劣化することで、疾病リスクが増えます。特に脳卒中や心筋梗塞、狭心症は防がなくてはなりません。「症状がないのにお金を払ってまで…」という方もいますが、今ではなくて10年後のためと思ってください。高血圧は放っておくと1年以内に脳出血や心筋梗塞になる確率が高いとされても、血圧を下げることができれば20年後も健康ということが十分にあり得るんです。また、生活習慣病から重篤な疾患に至ったことで、寝たきりをはじめ、手足や目に後遺症を負ってしまった方もたくさんいます。これらを予防するためにも「せっかくだからやっておこう」と患者さんに伝えています。
- Q生活習慣病の患者に対して心がけていることは?
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A
患者さんに寄り添うことです。一言に寄り添うといっても、患者さんは十人十色。患者さんを尊重し、しっかりお話しして、納得いただいたうえで治療を進めます。それには、マニュアル的なものではなく、患者さんに合わせた対応が重要です。例えばデータを見せてご説明するにしても、あるものをすべて提示するのではなく、「この方にはこれ、あの方にはあれ」といった引き出しが必要です。響くデータが多ければ多いほど、納得感を持っていただけますので、医師として腕の見せどころだと思っています。できるだけハードルを下げつつ、健康に必要な知識は身につけていただく。それが一番大切だと思っています。