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山内 道士 院長の独自取材記事

山内メンタルクリニック

(尼崎市/武庫之荘駅)

最終更新日:2025/05/16

山内道士院長 山内メンタルクリニック main

武庫之荘駅から徒歩2分という好立地にある「山内メンタルクリニック」は、心療内科と精神科のクリニックとして、心の病気に対するさまざまな治療を行っている。これまで精神科でさまざまな経験を積んできた山内道士院長は、精神分析学について深く学び、そこで培った知識とこれまでの経験を生かし、一人ひとりの患者への適切な診療の提供をめざしている。「患者さんが求めるものを理解し、精神科の医師として役に立つことは何かを考え、選択肢を提案する」ことをモットーとする山内院長に、精神科医をめざしたきっかけや診療において注力している点など、さまざまな視点からじっくりと話を聞いた。

(取材日2025年4月10日)

親子関係に焦点を当てた心理療法で心の問題に対応

精神科の医師をめざしたきっかけや、これまでの経歴をお聞かせください。

山内道士院長 山内メンタルクリニック1

高校生時代に自分自身が悩みを抱えていた時期があり、その経験を生かせたらと思ったのがきっかけでしょうか。心の悩みを持つ人を助けたいという気持ちで医学部に入りました。医師になってからもさまざまな葛藤がある中で大学病院で働き、大阪で精神分析の勉強会に参加。その後もあるご縁から関東の病院で働きながら東京で5年間、精神分析学の専門的な学びを深めました。さらに神戸の精神分析を専門とする先生との出会いがあり、明石の病院に移って勤務医としての経験を積みました。開業を考えていた頃、学生時代の友人に開業を勧められたことから、その友人とともに2006年に尼崎で開業したのですが、診療を重ねる中で次第に個人で独立したいという気持ちが芽生え、2013年にこの場所に開業するに至りました。

患者層はどの年代が中心ですか?

精神科や心療内科の診療を必要とする世代は、サラリーマンや学生といった若い世代が比較的多いです。しかし、80歳のうつ病の方も来院されています。中学生で受診を希望する方もいらっしゃるのですが、詳しい検査を必要とするときに当院で行うことは難しいため、未成年であれば高校生から受診を受けつけています。

診療に取り入れているという精神分析的心理療法とは?

山内道士院長 山内メンタルクリニック2

「精神分析」を基本に、初診で40分から50分ほどの時間を取って、ゆっくりとお話を伺いながらその人のバックグラウンドを理解していくという方法です。精神科では症状だけを聞いて薬を出すこともあるのですが、精神分析的心理療法では症状の持つ意味を明らかにしようとします。例えば同じ「うつ」でも、「うつ病」と神経症性の「うつ状態」は異なるものです。神経症性のうつ状態であれば、背景に強迫的な性格傾向があることが多く、薬もその視点から選び提案します。現在の問題は、過去の親子関係の影響を受けている場合が多いため、初診では、その方の親子関係から現在に至るまでの人生についてお話を伺うようにしています。

クリニックは予約制だと伺いました。

初診で時間をかけてゆっくりとお話しすることが第一なので、初診の枠は完全予約に近い予約制にしています。タイムスケジュールを組んでスムーズに診療が行えるように予約制を取っているのは、当院の特徴の一つですね。その後は2週間に1、2回の頻度でお会いすることで、初診で得た理解を生かした診療を行っています。

患者のニーズを理解した上で診療を進めていく

診療の上で心がけていることを教えてください。

山内道士院長 山内メンタルクリニック3

まず何より大切なのは、適切な診断を行うことです。精神科では心の病気を診療しますが、その前に体に問題はないか確認した上で、患者さんが望んでいることは何なのかを考えます。診療を進める上では患者さんとのコミュニケーション、そして信頼関係が何より重要です。患者さんが求めるものは一人ひとり違い、例えば、精神分析的心理療法でじっくり話を聞いてもらいたいという方もいれば、薬物療法を中心にしてもらいたいという方もいます。患者さんの思いや希望を丁寧にくみ取り、その上で精神科の医師として何ができるか、どう役に立てるのかを常に考えながら、薬物療法や精神療法を提案していく方針です。

新型コロナウイルス感染症の流行を経て、患者さんの主訴などに変化を感じられることがありますか?

新型コロナウイルス感染症流行の影響で在宅時間が増え、生活リズムが崩れやすくなったことも一つの要因として考えると、不眠や不安感を訴える方が増えましたね。家にこもってじっとしていると、どうしても気分が沈みがちになりますから。流行前後に関わらず、人とのつながりはやはり大切で、まずは目的本位で動くことが心の健康において重要です。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が収束しつつある今もなお、その影響が残っている方が案外多くて、外に出る習慣がなくなってしまったり、人との距離感がわからなくなったりと、以前の生活に戻りきれていないように感じます。こうした変化はデータに出にくいですが、現場にいるとすごく感じますね。

そういった背景も含め、患者さんに対してどういったケアをされているのでしょうか?

山内道士院長 山内メンタルクリニック4

家に引きこもっていたり、限られた人としか関わらなかったりする生活が続くと、どうしても考えが内向きになり、偏りやすくなってしまいます。そうならないためにも、少しずつでも外の世界と関わり、治療のステップを踏むことが大切です。また、保健所、訪問看護、そして就労支援事業所など、多職種と連携することが年々増えています。さまざまな援助者がいることで、患者さんの孤独が改善し、精神科リハビリが進み、良い傾向だと思われます。外に一歩踏み出すことが難しい方には、まずは訪問看護などを活用して、そこから徐々に外に出る方向に援助することも多いですし、生活リズムの乱れた方が、精神科デイケアや就労移行支援事業所を利用することで、生活リズムの改善が見込め、就労につながりやすくなることも多いです。

悩みを伝えることは、病気を治療するための第一歩

先生は著書も出版されましたが、どのような内容なんでしょうか?

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神経症の症状を抱える方の多くは過去の親子関係に由来する強迫的な性格傾向が関与しています。強迫的な傾向とは、「自分がどうしたいか」より、親が言う「ちゃんとしなさい」などの「しないといけない」を選ぶ傾向をいいます。このように、親や他人の顔色を優先するために「自分がやりたいこと」がわからないという方は少なくありません。本来なら「自分がやりたいから」頑張れるものでも、「誰かに言われたから」を優先するあまり、頑張りが「無理」になって症状に現れてしまうのです。脅迫的傾向による症状の治療には、「自分のやりたいこと」に向かっていく「目的本位」の姿勢、また目の前にある「親に怒られる」といった不安感などにとらわれずに状況や目的に応じて行動する「行動本位」の姿勢が大切になります。この「目的本位」と「行動本位」を重視する治療法を「森田療法」といいますが、これと精神分析を組み合わせた治療について本に書きました。

精神科の医師として、診療を行う上でどんな時にやりがいを感じますか?

診療を終えて、「ありがとうございました」と患者さんに言ってもらえる時は、医師をやっていて良かったと感じる時です。また、通院を継続することで、患者さんの良い変化につなげられたら、とてもうれしいですね。クリニック自体は医師1人の診療所ですが、多職種と連携して、チーム医療を行っていると感じる時も良い時ですね。患者さんが孤独にならないように適切に行うためには私自身が孤独にならないことが大事だと思っています。私の診療を通じて、患者さんに良い変化のためのきっかけを与えられることは、医師としてやりがいを感じます。

今後のクリニックの展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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自分の学んできたこと、経験してきたことを今後も変わらず患者さんに還元していきたいです。「継続は力なり」といいますので、まずは継続を。その時は難しくても、何年か後に良くなる変化が望める方がいますので、継続することは患者さんへのメッセージにもなると思っています。患者さんに対しては、まず一人で悩まず相談してほしいということ。相談しない人は、そのたまった思いが症状として出てしまいます。伝えようという行動自体が治療につながりますので、患者さんが奥さまなら、ぜひご主人と医者に頼ってください。大事な人に頼ること、相談することが大切です。

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