高血圧や糖尿病でも、安心の治療を
個々に合わせた「有病者歯科」
ひばりの森歯科
(東久留米市/東久留米駅)
最終更新日:2024/11/15
- 保険診療
「有病者歯科」とは、高血圧や糖尿病、循環器疾患など、何らかの病気を持つ人に行う歯科治療のこと。社会全体の高齢化の進行とともに内科的な病気を持つ患者が増える中で、重要度が増している分野だが、どんな病気のときにどんなケアや配慮が必要なのかは、患者はもちろん医療機関の側にもまだ十分に知られてはいない。「ひばりの森歯科」の篠田宏文院長は、大学病院で約16年間口腔外科と医科の放射線科に勤め、医科と歯科の両面から患者を診てきた経験を持ち、早くから有病者歯科に取り組んできた歯科医師の一人。「有病者歯科も患者さんに合わせた治療をすることには変わりありません。薬の服用状況など注意すべき点を知り、内科の先生とコミュニケーションを取ることが大切」という篠田院長に、治療の実際について聞いた。
(取材日2016年10月19日/情報更新日2024年7月29日)
目次
丁寧なカウンセリングと内科の医師との連携、豊富な医療知識の蓄積が重要。口腔機能低下症にも早くから着目
- Q有病者の歯科治療・口腔ケアはなぜ重要なのですか?
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A
もともと有病者の口腔ケアが重視されはじめたのは大学病院のような大規模病院で、特にICUで人工呼吸器を付けている患者さんの多い超急性期の医療現場と余命数週間というような終末期医療の現場でした。口腔内の汚れが原因で肺炎になり、治療中の方、また余命を全うできずに亡くなられる方を少しでも減らしたいとの思いから口腔ケアが必要とされたんです。一方で、がんや循環器疾患などで入院中の方でも口腔内の状態の悪さから想定外の肺炎になる、薬の副作用で口腔内が荒れるなどの場合もあります。思わぬ事態を防ぐ「転ばぬ先の杖」としても、質の高い生活を送るためにも、有病者歯科・口腔ケアは患者さんにとって当然必要と考えています。
- Qどんな人が有病者歯科の対象となるのでしょう?
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A
心臓病のある方、高血圧や糖尿病などをお持ちの方、抗がん剤治療中の方など、何らかの基礎疾患をお持ちだったり薬を服用されたりしている方々です。ご高齢の場合、まったく医師にかかっていない、薬も使っていないという方のほうが珍しいので、ほとんどの方が対象になるとも言えますね。また、現在治療を行っている方だけに限らず、例えば過去に脳血管障害を起こしたとかがんの治療経験があるなど、何らかの病歴がある人も対象になります。
- Q通常の歯科治療とはどう違うのでしょうか?
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A
「患者さんに合わせた治療をする」という意味では、通常の治療と何も変わるところはありません。例えば、血圧は午前中に大きく上がり午後から安定するという変動サイクルがあります。高血圧の方を治療する場合は、午前中は親知らずの抜歯など患者さんがひどく緊張するような処置は避けるといったことですね。あと大事なのは飲んでいるお薬。例えばカルシウム拮抗剤という血圧を下げるための薬には、毛細血管を広げる作用があるため、副作用として歯茎の腫れや歯槽膿漏の悪化が出ることも。患者さんにそういう情報を伝えるとともに、歯ブラシやケアだけでは対応しきれないレベルなら、内科の先生と相談して薬を切り替えてもらうことも行います。
- Q「ひばりの森歯科」での実際の治療はどのように行われますか?
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A
まず今までの病歴や現在服用している薬についてきちんと伺います。例えば、血液をサラサラにするための薬を使っていると「治療中に出血が止まらなくなるのでは」と心配される方は多いです。ただ、口腔内の細菌が傷ついた血管に入り、心臓の弁や頸部の動脈まで運ばれることも問題です。このような場合、抗生物質で細菌を処理できれば治療可能ですので、抗生物質の必要性を一番理解している内科の先生に確認を入れてから治療します。また、当院では加齢や基礎疾患に起因する口腔機能低下症にも早くから対応してきました。口腔不潔や口腔乾燥だけでなく、食事の質が下がると全身の機能低下にもつながるため、積極的に検査・治療に取り組んでいます。
- Q院内の連携体制についても教えてください。
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A
毎週水曜日には症例検討会を開き、新しく受診された患者さんのカルテや飲んでいる薬の情報共有も行っています。日頃患者さんに接する歯科衛生士や院内のスタッフが、医療について知っておくことは大切なこと。抗がん剤治療中の患者さんも結構いらっしゃるので、歯科衛生士からがん治療の経過についても質問を受けることも多いです。抗がん剤は、味覚障害や嘔吐、粘膜の荒れなどを伴い、栄養摂取の入り口である口腔の機能に大きく影響を与えます。また、気持ち悪いのが収まって、食べようとしたら入れ歯が痛くて噛めない、ということもあります。症状の変化に注意しながら患者さんのQOL(生活の質)を上げることを第一に治療に臨んでいます。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。