専門的な知見のある医師が診断
継続しやすい糖尿病治療でサポート
おおこうち内科クリニック
(稲沢市/森上駅)
最終更新日:2025/05/14


- 保険診療
糖尿病は、病名を知らない人はいないぐらい知名度の高い病気。周囲にも持病として治療している人も少なからずいて、病気であっても普通に生活しているように見えるのではないだろうか。入院や手術をする病気ではないだけに軽視しがちで、健康診断で指摘を受けていても日々の忙しさから検査をしない人が多いと聞く。「周囲の人が健康そうに見えるのは、適切な治療を受けているから。早い段階で医療の介入をしないと、糖尿病には合併症という怖い側面もあります」と話すのは、「おおこうち内科クリニック」の安田康紀理事長。糖尿病治療で豊富な経験を持つ、日本糖尿病学会糖尿病専門医の安田理事長に、同院で行っている糖尿病治療について話を聞いた。
(取材日2025年3月24日)
目次
こまやかな薬の調整や一人ひとりの状況に合わせた治療法の選択で、無理のない継続治療をサポート
- Q治療に力を入れているという糖尿病とはどのような病気ですか?
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A
▲生活習慣を見直すためのさまざまなサポートを行っている
糖尿病には大きく分けて1型と2型があり、1型糖尿病は膵臓にあるβ(ベータ)細胞が破壊されるためにインスリンが出なくなってしまい、2型糖尿病は食生活や運動などの生活習慣の乱れで発症します。治療は、1型糖尿病はインスリン治療、2型糖尿病は食事・運動療法と薬物療法を中心に、インスリン治療も行います。当院には糖尿病療養を専門的に学んだ管理栄養士が在籍しており、医師とは別の視点から患者さんの背景に合わせた適切な栄養指導をしています。2型糖尿病の治療方針としては、個々の患者さんの根本解決を目的とした生活改善を始めた上で、できるだけ薬を増やさないオーダーメイドな治療を心がけています。
- Q1型糖尿病について教えてください。
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A
▲注射製剤の治療が始まる際は、看護師が丁寧に指導してくれる
1型糖尿病は、年齢層が幅広く、小児からでも発症する病気で、原因の一つとして、自己免疫によって膵臓のβ細胞が破壊されることがわかっています。その破壊スピードの違いによって、発症からインスリンが必要になるまでの期間に違いがあり、3タイプに分かれています。1週間前後かかるタイプ、数ヵ月かかるタイプ、半年から1年以上にわたりインスリンが必要でない状態が続く、ゆっくり進行するタイプ。2型糖尿病と診断されて食事管理や運動を頑張っていたけれど、途中からゆっくり進行するタイプの1型糖尿病だとわかることもあったり、高齢者で急性に発症する1型糖尿病もあるため、変化を見逃さないよう、専門的な見極めが必要です。
- Q新しい薬や治療法なども積極的に取り入れているようですね。
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A
▲リアルタイムで血糖値の測定ができ、患者に合わせて治療ができる
週に1回で治療ができる注射製剤があり、積極的に取り入れています。独居の高齢者の方は、週1回の通院で注射を打っていただけるので継続治療がしやすくなります。また、指先に頻回に針を刺さずに腕などに装着したまま24時間自由に血糖を測定できるデバイスも普及し、血糖の変動データがより詳細に取得できるようになりました。スマホなどと連動して血糖値を確認できるので、インスリン投与が必要な患者さんも、インスリンの量を細かく調整できるようになっています。内服薬の方も、1日のどこで血糖値が高くなっているかのデータがわかれば、それに合わせて投薬ができるため、無理なく継続治療をしていただけるよう取り入れています。
- Q糖尿病教室も行っていると伺いました。
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A
▲9人の管理栄養士が在籍し、栄養の相談に乗っている
数ヵ月に1度、管理栄養士や医師が講話をしています。毎回満員で、終了後の質疑応答でも参加者が積極的に質問されていますね。通院治療の継続はもちろん、実は受診時以外の日常がとても重要です。教室では、日常生活内の取り組みへのサポートや、モチベーション向上につながる内容を提案しています。例えば、「血糖値が高くなることで歯周病になりやすい」というテーマでは、相互に悪影響を与えていることをご説明したのですが、なぜ歯科の受診が重要かを知ることで、1年に1回だった歯科受診の回数を増やし、より丁寧に歯を磨くなどの行動変容につながりました。意識や行動を変えるのは簡単ではありませんが、そこを支援しています。
- Q途中で治療を断念した方も受け入れているのですか?
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A
▲患者の事情を理解し、それぞれに合った治療法を提案している
当院または他院で治療を中断された方の双方を受け入れていますが、最も大切なことは再度、治療中断をしないことです。糖尿病診療ガイドラインでは治療の目標値が掲げられていますが、夜勤であるとか、脳梗塞で注射を打つ腕が使えないなどそれぞれ事情があり、全員が同じ治療ができるわけではありません。「これなら続けられる」という目標を個々に応じて決めるのも、医師の技量だと思っていますし、患者さんとしっかりお話をして治療法を決めていく柔軟さが必要です。糖尿病は一生涯の病気ですので、血糖値のみにこだわりすぎることなく、合併症予防を長期的な視点でフォローし、患者さんが無理なく継続できることを最も大切にしています。