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真野 利之 院長の独自取材記事

まの・すぎのここどもクリニック

(高槻市/摂津富田駅)

最終更新日:2021/10/12

真野利之院長 まの・すぎのここどもクリニック main

摂津富田駅より高槻市営バスの氷室停留所を下車して徒歩4分。7台の駐車場を備える「まの・すぎのここどもクリニック」は、今城塚古墳にほど近い閑静な住宅街の中にある。入り口に鮮やかに描かれたフクロウは、クリニックのマスコット的存在。院内にも随所に飾られて、子どもたちを見守っている。同じように穏やかな笑顔で子どもたちを見守る真野利之院長は、日本小児科学会小児科専門医だけでなく、日本小児神経学会小児神経専門医の資格も有する、高槻では多くない小児神経専門医だ。京都大学理学部を卒業して福祉の仕事に就いたのち、医学部に学士入学して医師になったという異色の経歴を持つ真野先生。高い志と多くの知見を持つ先生に、小児科専門医として地域医療に尽力する姿勢を聞いた。

(取材日2018年1月18日)

福祉と医療をつなぐ専門医をめざして

大阪大学医学部に入学される前に、京都大学理学部を卒業されているそうですね。

真野利之院長 まの・すぎのここどもクリニック1

物理系を専攻していた学生時代にボランティア活動に携わり、仕事として山科共同作業所の職員やボランティア協会の職員となりました。しかしさまざまな子どもたちとの関わり合いの中で、福祉における医療の壁は常に大きく感じられ、医学を勉強しようと思いました。福祉は人との付き合いですから、活動する上での手段になると考えたのです。小児科の医師となってからは小児神経を専門とし、大阪大学では、てんかんを含めた多くの神経疾患の患者さんとお付き合いをさせていただきました。大阪大学医学部付属病院や大阪府立の大阪急性期・総合医療センター、大阪府立母子保健総合医療センターなどに勤務したのち2012年にクリニックを開業したのは、ずっとお付き合いのある社会福祉法人北摂杉の子会の理事長に、地域医療との連携を深めたいと相談されたのがきっかけです。

高槻で開業されて、どのような患者が来院されますか?

大阪市内に比べて、3人以上のお子さんがいる比較的子だくさんなご家庭が多いと感じています。高血圧や糖尿病などを患うお年寄りと違い、小児科では一般的な外来診療で継続的に診るような疾患というのはあまり多くなく、感染症で来院される方が多いです。お母さんの年齢層もさまざまですね。福祉の仕事でも経験しましたが、子どものことにはやはりお母さんの理解が大切ですので、ご心配なことがあれば必要に応じて丁寧にお話しさせていただきます。

ご専門の小児神経の診療についてはいかがですか?

真野利之院長 まの・すぎのここどもクリニック2

地域の小児科専門の医師として、地元の方にうまく利用していただきたいですね。例えばてんかんという病気の患者さんは、100人に1人くらいの割合でいらっしゃいます。ただ、てんかんにもいろいろあり、かなりの患者さんは普通に発達し成長されています。しかし発作を起こさないためには、薬をずっと飲まなくてはいけません。そのような方は総合病院を受診されるよりも、通いやすいクリニックをかかりつけにすることも一つの方法です。大きな病院はお母さんと来院されることが多いのですが、思春期になると子どもは勝手にやめてしまうのですよね。時間的にも多少融通がきき、自発的に通いやすい身近なクリニックで治療を継続していってほしいと思います。

長期的投薬が必要なてんかんに地域のクリニックを

てんかんは大きな病院でしか対応できないイメージがあります。

真野利之院長 まの・すぎのここどもクリニック3

もちろん、はじめは総合病院などでどのような種類のてんかんなのかを診断していただく必要はあります。てんかんには、脳に何らかの障害や傷があることによって起こる「症候性てんかん」と、さまざまな検査をしても原因が不明の「突発性てんかん」があり、前者の場合は大きな病院にかかったほうがいいのですが、後者の場合は自分でコントロールをする意識をつけ、発作を起こさないための長い投薬が必要になるといわれます。発作を起こさないために飲むのですが、通院しながら疑問が出てくることもあるでしょう。そのような時にお話をさせていただきやすいのも、身近なクリニックだと思います。小児科の範囲は高校生くらいまでですが、特殊な疾患はずっと診察を続けていくことも可能です。

てんかんのけいれんについて、時間の測り方がわからないという声も聞かれます。

最初のけいれんが始まった時間がわからなくても、気がついたときからでいいのです。厳密なものでなくても、30秒単位なのか5分続くのかという感覚で知らせてください。親御さんがパニックになると10秒でもとても長く感じるものです。もちろんけいれんが治まらないなら救急車も必要ですが、まず落ち着いて、慌てずに様子を見ましょう。小児科とは地元の子どものなんでも屋です。わからないことはどんなことでもご相談いただいて、一緒に考えていきたいと思います。

先生は予防接種を推奨していらっしゃいますね。

真野利之院長 まの・すぎのここどもクリニック4

私は大学でのワクチン診療に関わったこともありますし、専門とする神経疾患でたくさんの患者さんを診てきたことからも予防接種は受けたほうがよいと考えています。例えばはしかも水ぼうそう(水痘)も、通常であればそんなにひどい状態にはなりませんし、かかってもどうせ治ると思っている方もいると思いますが、何か疾患がある場合は命に関わるレベルになることもあり得ます。水ぼうそうで脳梗塞になりやすくなることもありますし、インフルエンザでも重篤になることがあります。私は病院でたくさんの患者さんを診てきましたので、防げるものは防ぎたいというスタンスです。接種してもかかる人はかかりますが軽く済むことが多いですし、接種が少なかった時代より脳症で運ばれるような人が減っている印象があります。

地域医療を担う医師を子育ての味方に

予防接種は相談の時間も設けていらっしゃいますね。

真野利之院長 まの・すぎのここどもクリニック5

予防接種は数も多く、親御さんが1人でスケジュールを立てるのも難しいでしょう。クリニックでは、初めての赤ちゃんは最初は相談という形で予約を取って来ていただくことにしています。忙しい人はすぐにでも接種したい場合もあるでしょうが、お話しする時間は必ず取っていただくようにしています。リスクも評価しつつ、一緒にスケジュールを立てましょう。インフルエンザの予防接種のときに母子手帳を見ると忘れている予防接種がわかることもあるので、そのようなアドバイスもします。

高槻では小児神経専門医は少ないと聞いています。

今のところ、高槻で小児神経専門医は大阪医科大学付属病院の先生と私くらいではないでしょうか。福祉関係の施設は割と多いと思いますが、小児神経専門医となるとかなり限られてくるのです。患者さんの中には、大きな病院の医師のほうが経験を積んでいると思われる方もいますが、私の場合は20年以上総合病院に勤めましたし、開業医はそういった経験を踏まえて、かつそれぞれの専門を持っている医師たちです。開業している医師の知識や経験を、地域の方にうまく利用していただきたいですね。行政からも在宅医療の支援など、経験を生かした地域の連携を求められる傾向にあります。現在は忙しくて24時間対応の診療はとてもできませんが、複数人の医師で連携を深める体制ができていければいいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

真野利之院長 まの・すぎのここどもクリニック6

子どもの症状はさまざまですが、病気とうまく付き合ってあげてください。子どもは本当にすぐに熱を出したりするので、病気にかからないようにしても仕方のない面もあります。熱やけいれんなど病気と上手に付き合うことで成長していくお子さんを見守ってあげてください。アレルギーも過敏にならず、その子の様子をちゃんと見てあげた適切な対応が必要だと思います。ワクチンについてはたくさんあり、迷うことも多いと思います。当院では赤ちゃんのワクチンは初めに相談という形で来ていただいて、しっかりとしたスケジュールを立てています。地域の身近なクリニックを、上手に利用していただきたいと願っています。

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