糖尿病、生活習慣病や甲状腺疾患と
睡眠時無呼吸症候群の深い関連
辻堂金沢内科クリニック
(藤沢市/辻堂駅)
最終更新日:2024/09/13
- 保険診療
寝ている間に呼吸が浅くなったり、止まったりしてしまう睡眠時無呼吸症候群。無意識である就寝中に起こることから、本人は自覚を持ちにくい疾患だ。そんな睡眠時無呼吸症候群と、糖尿病、生活習慣病の関連を指摘し、トータルな治療に取り組んでいるのが医療法人みなとみらいの一拠点である「辻堂金沢内科クリニック」。對馬史博(つしま・ふみひろ)院長は「血糖と睡眠を同時に管理することで、大きな改善が見込める患者さんは多いです」と話す。長く糖尿病診療に取り組んできた経験を生かし、睡眠時無呼吸症候群を含めたトータルな生活習慣病診療を実践する對馬院長に、糖尿病と睡眠時無呼吸症候群の関わりやそれぞれの治療について、詳しく聞いた。
(取材日2024年8月20日)
目次
実は恐ろしい睡眠時無呼吸症候群。血糖と睡眠を同時にコントロールして改善を図るアプローチの方法とは
- Q睡眠時無呼吸症候群は、糖尿病と関わりが深いそうですね。
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A
睡眠時無呼吸症候群は肥満体型の方に多い傾向があり、これは糖尿病と共通する傾向です。両者を併発している患者さんは少なくなく、改善を図る方法として、血糖値とともに睡眠も同時に管理していくというやり方があります。睡眠の障害は日中の仕事効率が悪くなってしまうほか、血糖値や血圧の上昇が進行したり、認知機能が低下したりしてしまうケースも見られます。また、睡眠時無呼吸症候群と甲状腺機能低下症との関連も指摘されており、特に橋本病の患者さんは、睡眠時無呼吸症候群を合併しやすいといわれています。無呼吸による酸素低下は全身の血管に悪影響を及ぼし、脳卒中や心不全のリスクも高まります。
- Q睡眠時無呼吸症候群の検査と治療について教えてください。
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A
睡眠中の無呼吸症状を自覚することは困難で、家族に睡眠時のいびきや呼吸停止を指摘された、夜間に何度も目を覚ましてしまう、日中のだるさや眠気、仕事効率の低下を感じて医療機関を受診するケースがほとんどです。まずは自宅でできる簡易検査を行い、その結果を受け、必要に応じて就寝中の脳波、呼吸、心拍などを測る精密検査をお勧めします。一泊での睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)が必要な場合は、当院の系列である「みなとみらいクリニック」で検査を受けていただきます。睡眠時無呼吸症候群と診断されれば、当院主導のもと、マスクから陽圧の空気を送って気道を広げることで睡眠中の呼吸停止の軽減を図るCPAP治療を行います。
- Q糖尿病の合併症について教えてください。
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A
糖尿病はインスリンの作用不足などの原因により、血液中のブドウ糖が増えてしまう病気です。早期ではこれといって自覚できる症状がないのですが、この状態が長く続くことで全身の血管に負担がかかってしまうことでさまざまな問題が生じます。糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害の三大合併症がよく知られていますが、ほかにも動脈硬化が進むことで脳梗塞や心筋梗塞といった大血管障害のリスクを高めてしまうのです。くも膜下出血などの脳卒中や心不全は突然起こり、生命を危険に晒してしまいます。これらの恐ろしい病気で突然取り返しのつかない状況に陥る前に、適切な治療で血糖をコントロールすることが大切なのです。
- Q糖尿病の治療について教えてください。
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A
糖尿病の治療は、「合併症の予防」と「合併症の進行抑制」を目標に行います。ここ十数年で治療は劇的に変化しており、例えば血糖の上昇に伴ってインスリン分泌を促す「DPP-4阻害薬」、尿に糖を出して血糖の低下を図る「SGLT2阻害薬」、膵臓に働きかけてインスリンの分泌を後押しする「GLP-1受容体作動薬」、糖新生や糖の吸収を抑えるための「BG剤(ビグアナイド薬)」など、薬の選択肢も広がっています。個々に合わせて有用な治療を選択しやすい時代になっているのです。また、当院では薬での治療と合わせて、生活習慣の改善もアドバイスしています。一人ひとりのライフスタイルに合わせ、続けやすい方法をご提案可能です。