楠部 雅史 院長の独自取材記事
くすべ歯科
(岸和田市/東岸和田駅)
最終更新日:2023/07/12
阪和線東岸和田駅と下松駅の間を通る道沿いにあり、2012年から診療を続けているのが「くすべ歯科」だ。院長の楠部雅史先生は、開業までに複数のクリニックに勤務し、インプラント治療や予防歯科などさまざまな診療を経験。現在は日々予防の大切さを患者に伝え、幅広い歯科医療を提供できるよう自費診療のメニューも充実させている。また、開業当初は虫歯や歯周病の患者が多かったこともあり、「歯に対する地域の意識を高め、いつか予防歯科だけで済む診療を実現したい」と語る。ちなみに法人名の「仁音会」は、「医は仁術なり」の「仁」、そして自身の娘の名前にある「音」の字を組み合わせたものだそう。多くは語らず行動で示す誠実さと、人への情の深さを併せ持った楠部院長に、クリニックの診療体制や自身の強みについて聞いた。
(取材日2023年6月27日)
ユニットの半数以上を活用し、予防歯科に注力
先生のご経歴と、開業されたきっかけについて教えてください。
僕は1995年に朝日大学歯学部を卒業してすぐに歯科医院で働き始めました。もともと開業したいという気持ちはなかったのですが、同じ仕事をしている叔父から「親の目の黒いうちに開業しなさい」とアドバイスをもらい、次第に意識し始めるようになったんです。その後、叔父があちこち物件を探してきては「ここはどうか、こっちはどうか」と紹介してくれたこともあり、「やるなら今しかない」と決心しました。そんな時、ちょうどタイミング良くこの土地が空いていたんです。間口が広く、前の通りは並木道、周辺は落ち着いた住宅街という雰囲気も気に入ったのですが、何より僕がここ岸和田で生まれ育ったから、というのが大きな決め手になりました。
患者さんはどんな方が多いですか?
年齢層は0歳から90歳まで幅広いですね。お子さんは虫歯と歯並び、高齢の方は入れ歯、その間の世代では虫歯や歯周病以外に、歯を白くしたいとか、銀歯が気になるとか審美的なご相談が多いです。通院のきっかけは、お子さんが学校歯科検診、それ以外の方は虫歯や歯周病、歯並びのご相談がほとんどですね。勤務医時代は主に堺で働いていて、その時は審美歯科やインプラント治療などのご相談が多かったのですが、岸和田に帰ってくると虫歯の患者さんの割合が堺の時よりもかなり多い印象ですね。
院内設備のこだわりについて教えてください。
クリニックの内装は、僕の名前に「楠(くすのき)」が入っていることもあり、緑をイメージして設計士に作ってもらいました。院内はすべてバリアフリーで、車いすもベビーカーも入り口からそのまま診療台につけられます。ユニットは全部で7台。3台は歯科医師が治療のために使い、奥の4台は歯科衛生士が使用しています。というのも、患者さんの約半数が、歯科衛生士の担当する予防歯科をご希望の方だからです。また、当院では、かぶせ物を3Dで自動設計するための機械を導入しています。診療室はスペースが厳しいため、広めに設計した待合室に配置しました。機器の取扱業者から「新しい機材には興味を持ってくれる患者さんが意外と多いから、見えるところに置くと良い」とアドバイスをもらい、真に受けて待合室に配置しました(笑)。
患者の予防意識の向上が、歯科医師としてのやりがいに
クリニックとして力を入れているのはどんなことですか?
開業当初、虫歯治療を希望される患者さんがとても多かったこともあって、当院では予防歯科に力を入れています。たとえ今はお口の中に問題がなくても、大切な歯を末永く守っていけるよう予防目的で来られる方が増える、というのが僕の理想なんです。もし3ヵ月に1度きちんと通院していただければ、虫歯にもなりにくいでしょうし、たまに見つかってもすぐに治療が終わる程度で済むと考えています。もちろん、定期的にご案内のはがきを出したり、歯ブラシをプレゼントしたり、フッ素塗布を行ったりと、当院でもいろいろな工夫をしていますよ。フッ素塗布は子どもにだけ行っているケースも少なくないようですが、当院では大人の方でも希望されれば全員に行うようにしています。
インプラント治療についても、詳しく教えてください。
勤務医時代から培ってきたインプラント治療の技術を開業後も生かしていきたいと考え、当院では専用の手術室を備えました。さらに、手術の質を上げるため、歯科用の3DCTとサージカルガイドも導入しています。サージカルガイドというのは、インプラントを素早く適切な位置へ入れるために用いるマウスピースのことです。これを使うと手術のシミュレーションもできるので、術中のリスク回避にも役立ちます。一方で、マウスピースの作製には手間がかかるので、手術費用とは別料金にするケースも多いようですが、当院ではマウスピースの作製費用を手術費用に含めています。よっぽど不要と思える手術以外では、ほとんどのケースで使っています。インプラント手術は外科手術ですから、バイタルチェックができるよう生体情報モニターも配備していますし、手術中の不安や恐怖、痛みを軽減するための笑気ガスの吸入による鎮静法も実施していますのでご安心ください。
先生ご自身が得意とされている治療は何ですか?
かぶせ物の治療やインプラント治療などの自由診療は、勤務医時代から数多く対応してきたので、慣れていますし得意ですね。患者さんから「歯がきれいになった」「しっかり噛めるようになった」と喜んでいただけたとしたら僕もうれしいです。また、意識の高い患者さんが集まってくれるようになると、こちらもやりがいを感じますし、たとえ来院のきっかけが虫歯や歯周病だったとしても、通院を続けるうちに少しずつ意識を高めていただけたらやっぱりうれしいですね。もし痛みが治まっても、今度はもっときれいにしたくなって自費診療のかぶせ物やホワイトニングにチャレンジされたり、予防のために定期通院してくださったりする方が増えたなら、この仕事をやっていて良かったと思えるでしょう。
治療が不要になり、予防歯科のみで済む歯科医院が理想
スタッフ体制についても教えていただけますか?
僕を入れて歯科医師が4人、歯科衛生士が7人、それに受付のスタッフが2人います。歯科医師のうち1人は、僕と同じ年のベテラン先生。ほかの2人はもう少し若く、いずれも経験豊富な先生です。それぞれ特に専門を決めておらず、初診で担当した患者さんを専任で担当することが多いですね。歯科衛生士についても、痛みを感じにくいスケーリングが得意な者もおりますし、他のスタッフも経験を積んできている者ばかり。僕からあれこれ指示をするのではなく、みんなが自主的に行動してくれるので、よくやってくれているなと思います。僕は口下手ですし、うまいことを言ってスタッフを喜ばせるのは苦手なので、誕生日にプレゼントをしたり、院内環境を整えたりすることで感謝の気持ちを伝えていけたらと考えます。
休日はどのように過ごされていますか?
趣味はゴルフで、大学の同級生と楽しむことが多いですね。あとは、歯科医師会の自動車同好会のような集まりにも参加しています。先日は滋賀県に、その前は淡路島までツーリングをして、おいしいものを食べて帰ってきましたよ。日頃の息抜きは、夕飯での晩酌でしょうか。紙パック入りの日本酒が好きなのですが、最近はいろいろなお酒をソーダ割りにするのに凝っています。料理はまったくしないので、アテは妻が作ってくれる晩ご飯です。ちなみに、待合室の水槽にきれいな魚がいますが、患者さんに楽しんでもらおうと入れたもので、実は僕の趣味ではないんです。見るのは好きだけれど、魚の種類も全然わからなくて(笑)。
これからの展望と、読者へのメッセージをお聞かせください。
若い頃に働いていた歯科医院の院長から聞いた言葉に、「歯科医院は歯の修理工場じゃないんだよ」というものがあり、すごく納得した思い出があります。当院の軸も予防歯科ですが、実際にはまだまだ治療の必要な方が多いのが実情です。いつか治療が不要になり、予防歯科だけで事足りる診療ができたらいいなという夢はあります。痛くなってしまったら仕方がありませんが、そうなる前になんとか予防を頑張ってほしいですね。また、最近は患者さんの意識が高まっているせいか、矯正の必要な方やご相談も増えてきました。当院でも、今後マウスピース型装置を使った矯正を導入するなど、できる限り対応できればと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万5000円~、ホワイトニング/3万3000円~、セラミック治療/5万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。