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大瀧 隆博 院長の独自取材記事

整形外科おおたきクリニック

(大阪市都島区/都島駅)

最終更新日:2019/08/28

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大阪の代表的な河川であり、憩いの場でもある淀川。その流域、大阪市都島区の緑豊かな住宅街で、2010年から診療を続けている「おおたきクリニック」。打撲や事故、腰痛や肩痛などの痛みを取る治療を求めて、高齢者を中心に幅広い世代の患者が訪れている。院内に足を踏み入れると、医療スタッフだけでなく通院している患者からも気軽に話しかけられたのに驚いた。これは大瀧隆博院長の診療方針から導かれたものだと、後のインタビューで知った。壁やカーテンの仕切りを取り払った開放的な雰囲気の中で診察や治療が行われ、大瀧院長やスタッフのジョークに通院している患者たちの笑い声が響く。医療機関にありがちな固さのない、幸福感あふれるクリニックだと感じた。
(取材日2017年6月21日)

患者の心の居場所を作るのもクリニックの役割

靴のまま入れて仕切りが少なく、開放感ある院内ですね。

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整形外科のような医療機関では、閉ざされた空間というのは良い面ばかりでもないと思うんですね。足腰の良くない患者さまにとっては靴を脱いだり履いたりするのも一苦労ですから、このようにしました。開業しようと考えたときから、ファーストフード店のような、オープンな雰囲気にしたかったんです。当院には分院が3院ありますが、どこも同じように壁を取り払って、仕切りのためのカーテンも吊るしていません。僕もスタッフも患者さま同士もあいさつの声をかけあって、自然に会話が始まるような、明るいクリニックにしたいという理想がありました。特に高齢の患者さまに向けては、地域の居場所づくりにもなるかなと思っていますし、実際に毎日のように訪れる方もいらっしゃいます。僕もスタッフも冗談を飛ばしあっていますし、それを楽しみに通う患者さまもかなりいるそうですよ。

患者さんの傾向があれば教えてください。

一番若い患者さまが1歳くらい、最高齢の患者さまは102歳ですので、幅広い世代の方がいらっしゃいますね。性別では女性が多くて、60代から70代くらいの方が中心でしょうか。僕は午前中のみの診察ですし、若い方は一般的に午後から夕方に来院されるので、あまりお会いしないのですが。整形外科ですから、患者さまは体のどこかに痛みを抱えていらっしゃいますが、当院に通う60代以上の女性の患者さまは皆さんとても明るくて元気なんです。僕も楽しくおしゃべりをしながら仕事させてもらっています。

リハビリテーションを治療の一つと考えているそうですね。

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リハビリの施術自体は一般的なものですし、それで良いと思うんです。ストレッチや筋トレや歩行訓練、関節を動かす訓練もやっていますし、設備も用意しています。まず痛みを取るように医師が医療を行い、それから施術者が患者さまの体を動かしていきますが、一番大切なのは人と人とがコミュニケーションを取りながら、触れ合っていくことなんです。触ってもらうことで信頼関係ができて、体と心がともに癒やされていくのが重要と考えています。そして、オープンな雰囲気の中で、医療者と患者さまだけでなく患者さま同士のコミュニケーションがあります。すると、孤独な生活をしている方も「ここには居場所がある」と感じて、元気になっていきます。そういう場を作ることも、クリニックの役割の一つではないでしょうか。

受けた医療への不信感から、医師の仕事を志した

診療スタンスや日頃から心がけていることを教えてください。

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もともと僕はがんの専門の医師として、大学病院で働いていました。がんは診断がついたら標準的な治療方法が決まっているので、医師の手を加える余地が少ないんです。一方、整形外科の場合は痛みを取ることが最優先で、終末期のがんのように耐えがたい痛みがずっと続くものでもありません。腰が曲がったままでも痛みが取れて、スタスタ歩ける治療であれば、それで良いと思います。歩ける限りは寝たきりにもならないですしね。ここに来てよかった、楽しかったといっていただけるのが僕は一番うれしい。だから患者さまに対してもカジュアルな言葉遣いをするのが良いと思いますし、スタッフにもそう伝えています。他院の先生方には理解されにくい考え方ですが、患者さまから理解され、喜んでいただければ、それでいいんです。

医師を志したのはどんな理由からですか。

高校2年生だったある日、突然、血尿が出たんです。それも大量に。体は元気なのに、トイレに行くたび便器に赤い尿が飛び散り、すごく不安になりました。今と違って情報も簡単に入手できない時代でしたから、本当に不安でたまりませんでした。泌尿器科を訪れたのですが、その時の医師やスタッフの対応がすごく不愉快だったんですね。自分は死ぬんじゃないかと思い詰めている患者に対して、その態度なのかと感じる出来事がありました。そして、病院の帰り道には「医師になろう、夢中になって読んだ漫画の主人公の外科医のように、本当に患者さんの力になる医師になろう」と決めました。ちなみに、血尿の原因は運動のし過ぎによる横紋筋融解症の症状でした。運動にかけていた情熱を医学部受験に向け、阪神大震災で被災した年に、島根大学医学部に入学しました。

医師になってから開業に至るまでのご経験を教えてください。

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大学を卒業し医師になってからは、大阪市立大学医学部の附属病院やその関連病院で外科の医師として働いていました。その折、老年病院に派遣されていた時期があったのですが、そこでは入院患者の多くが寝たきりか、ほぼ動けない方だったんです。最後まで良い人生を送ってもらうためには、寝たきりになる前に医療が介入しないといけない。しかし、高齢で全身的に衰えている患者さまに、外科的処置で高度医療を提供することは患者さまにとって負担ばかりが大きいのではないか。そんなふうに考えた末、通ってくる患者さまがいつまでも歩けるような医療を、身近な場所で提供したほうが良いのではという結論になり、外科から整形外科に軸足を移して、開業を決意したのです。

心と体の痛みを取る「がんばらない医療」を広げたい

院内の雰囲気から診療方針に至るまで、先生のポリシーが感じられます。

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大学病院時代には、病院にいても派遣先にいても、本当にこれが患者さまのためになるのかと疑問に思う場面が多々ありました。企業にお勤めの皆さんと同じで、組織の方針と違うことは、いち従業員の力だけではなかなか実現できないんですよね。そういう経験も、開業を考えるきっかけになりました。当院の診療方針についても、医療者側の一般常識からかけ離れていると感じる先生もいると思います。スタッフにしてもそうで、採用したときは常識に凝り固まっている人もあります。さまざまな先入観や固定観念、ポジショントークをはずして、何が本当に患者さまの役に立つのか、力になるのかを考えて実行することが大切だと考えています。

読者へメッセージをお願いします。

30代から50代くらいの方では、肩こりや腰痛のお悩みで受診を検討中の方も多いと思います。でも、あなたのその痛みは、整形外科では治らないかもしれません。ぐっと我慢している人間関係や家族関係の悩みが、体の緊張を引き起こしているケースもあります。怒りがあっても表情に出せない、爆発できない、そういうものが体の痛みとなって表れている可能性もあります。整形外科でマッサージをしても、心療内科で薬をもらっても、原因となっている心の問題にも目を向けて謎解きをしないと、根本的な解決はできないでしょうね。特に女性は感受性豊かですから、悩みを痛みとして抱えやすい面があると思います。

今後の展望をお聞かせください。

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常識に縛られない、僕の考える「クリニック」の形を、もっと広げたいと思っているんです。院内レイアウトも患者さまと医療者の間も、できるだけ壁を取り払って、開放的で明るく、楽しく治療を進めていきたいですね。そもそも、クリニックのあり方に正しいも間違いもないと思いますし、さまざまな医療機関がある中で、こういうスタイルもありだと信じています。特に人生のラストスパートに差しかかった患者さまに対して、がんばらないと乗り切れないほど厳しい医療をお勧めすることはありません。おいしいものを食べて面白い話をして、最後まで幸福で充実した人生を送っていただくための医療を提供していきたいと思っています。

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