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高尾 成久 院長の独自取材記事

八重垣レディースクリニック

(松江市/揖屋駅)

最終更新日:2021/10/12

高尾成久院長 八重垣レディースクリニック main

東出雲インターチェンジを降りてすぐにある「八重垣レディースクリニック」。市内外からのアクセスに便利な好立地に位置しながらも広々した駐車場を確保した敷地は、まわりに高い建物がなく空が広く感じられる開放的なロケーション。外観のデザイン・色合いからも温かみが伝わるこのクリニックで不妊治療をメインに月経困難症・子宮内膜症など幅広い産婦人科診療で訪れる人を支え続けるのは長年、不妊治療に携わってきた高尾成久院長。「体と経済面への負担が少なく、また効果の見込める提案を心がけています。不妊のことも月経の痛みのことも、我慢せずにご相談ください」と穏やかな笑顔で呼びかける高尾院長に、不妊治療に関することを中心に話を聞いた。

(取材日2021年2月22日)

勤務医時代から長年実績を積んできた不妊治療が柱

先生が産婦人科医になられたきっかけを教えてください。

高尾成久院長 八重垣レディースクリニック1

今思えば、父の闘病する姿を間近でみていたことが医療関係の仕事に就くことを意識し始めたきっかけだったように思います。産婦人科に興味を抱くようになったのは、鳥取大学医学部で医師をめざし学んだ最終年次の頃ですね。当時日本では生殖医療の創成期を迎えていました。そんな中、同大学の産婦人科は新しい分野を切り開いていくために精力的に取り組んでいましたから、その姿勢に心が動かされたのでしょう。そして、やはり新しい命の誕生の神秘にふれたことが私にとってはとても大きかったのだと思います。

どういった経緯で開業されたのでしょう。

私が産婦人科の研修医として勤務していた頃、派遣先の病院で生殖医療に取り組んでいるところは、そう多くありませんでした。ですが私の場合、産婦人科の手術やお産を担う傍ら、外来で不妊治療をご希望される方の診療の中で途切れることなく生殖医療に携わる機会は頂けていました。そのような中で「生殖医療に特化した診療がしてみたい」という思いが次第に強くなっていったんですね。とは言っても、病院では診療全般に力を入れるべきで、特定の分野だけに専念するわけにはいきませんので、不妊治療を主とした、現在のクリニックを開業した、というわけです。

不妊治療では妊娠何週目までこちらで診てもらえるのでしょうか?

高尾成久院長 八重垣レディースクリニック2

出産予定日がわかる、妊娠9週~10週目までは当院で、その後は安心してお任せできる施設に紹介させていただいています。無事に赤ちゃんの顔を見るまで、「ここまでくれば安心」と言い切ることはできませんが、流産など特に注意を払う必要がある妊娠初期を当院でフォローすることで、少しでも患者さんの不安を軽減できればと考えています。順調にいけば、妊娠5週目くらいには胎囊という赤ちゃんを育てる袋が出てきて、6週目に差しかかると心拍が確認でき、そして9週目に入ると体が2cmほど、鼓動もより強いものになってくれます。こういった過程をきちんとたどっていくかを、専門家としてしっかり見守らせていただきます。

年齢や原因など背景に応じて最適な不妊治療を

不妊治療について詳しく教えてください。

高尾成久院長 八重垣レディースクリニック3

排卵が自然周期で生じているなら、「タイミング療法」をはじめのステップとしています。卵管内での精子の寿命は約3日、さらに卵子の寿命は排卵後24時間ほどといわれており、私はよく「排卵日の前から1~2日間のタイミングが大切なんだよ」とご説明するのですが、その間の妊娠しやすい期間に夫婦生活を持つようにしていただく治療です。排卵がうまく生じていない場合などは、排卵日に合わせて、内服薬や注射で排卵の働きを促し、この療法に臨んでもらうこともあります。この次のステップが「人工授精」で、これは活発な精子だけを集めて、卵管に届けるという方法です。この人工受精までが「一般不妊治療」と言われるものになります。

一般不妊治療の次のステップは?

タイミング療法も人工授精も4回を一つの目安に、当院の場合は35歳未満なら、タイミング療法を4回ほど、その後人工授精を4回ほど行って、結果が出なければ次のステップである体外受精へ進ませていただきます。年齢によっては、早いステップアップもお勧めしていますね。また、検査で不妊の原因がわからない方や、若い方でも卵管が詰まってしまっていたり、不妊期間が3年ほどと長く続いていたりする場合は、治療結果を見ながら早めのステップアップや、体外受精から始めるなど、その方に合わせたプランを考えていきます。そのほかに、精子の活動性が極端に低い場合や、卵巣予備機能検査(AMH)の結果から卵巣が備える妊娠する力が低いと判断された場合も同じく、どのようなステップで進めていくべきか慎重に見極めていきます。

不妊治療で心がけていることを教えてください。

高尾成久院長 八重垣レディースクリニック4

その方に合った治療をご提案することですね。悩まれている期間や原因はもちろん、生活スタイルや生き方も、一人ひとり異なります。ですから、不妊治療のステップの中のどこから始めればいいか、どこでステップを切り替えたほうがいいかは本当にケースバイケース。例えば、タイミング療法で妊娠が望める人に、体外受精を提案するべきではありませんし、逆に、体外受精を視野に入れたほうがいい人には、早めにタイミング療法からそちらに切り替えていただく必要があります。その見極めはとても難しく、悩ましいところですが、当院に来てくださったからには、その期待に応えたいと強く思います。そのために、その方にとって最も効果が見込め、そして心身や人生にとって負担が少ない治療ができるよう、日々努めています。

月経困難症など婦人科疾患にも幅広く対応

不妊治療を始める目安が知りたいです。

高尾成久院長 八重垣レディースクリニック5

「妊娠を望んでいるものの、1年間かなわない」というのが不妊症の定義といわれています。それを一つの目安に、夫婦生活を持てているにも関わらず、1年を超えて妊娠につながらない場合、「何らかの原因があるのかも」と考えてほしいです。しかし、あくまで目安ですから、生理が2~3ヵ月に一度しか来ない、あるいはまったく来ないといった、別にご心配なことがある場合は、1年を待たずに受診し、検査を受けた上で必要な治療に臨んでいただければと思います。あと、年齢も一つの目安。30歳未満なら結婚されて1年ほどで、35歳以上なら半年したら、40歳以上ならもっと早めに相談をと呼びかけています。

妊娠に向け、生活スタイルについてアドバイスすることも?

それ自体がストレスになってしまうのも良くないと思うため、基本的に、無理に生活スタイルを変えましょうと言うことはありません。男女問わず、タバコや過度なアルコール摂取は控えてくださいね、とご提案する程度でしょうか。妊娠を望むご夫婦に向けて、体のコンディションを調べる「プレコンセプションチェック」も行っているので、ご希望の方には、こういった検査からご自身の状態を知り、健康な生活を送ることが、ひいては妊娠につながっていきますよ、とお話しすることはありますね。

若い方の月経の悩みもご相談にのっていただけるそうですね。

高尾成久院長 八重垣レディースクリニック6

はい。月経のお悩みで多いものに「月経困難症」があるのですが、その背景に「子宮内膜症」があることも少なくありません。子宮内膜症は生理痛のほか、排便時の違和感や性交痛などを引き起こすつらいもの。低用量ピルを処方して、そうした症状を緩和していきます。また、若い時に月経困難症で受診された際には子宮内膜症がなくとも、結婚‧妊娠期に発症する可能性もあります。低用量ピルは、初経以降は処方できる薬ですので、一人で我慢せずに早めにご相談いただきたいです。排卵前にイライラや不快感が生じる、月経前症候群の改善にも低用量ピルの応用が期待されています。一昔前は、月経は毎月あるもの、痛みはあって当たり前とされていましたが、今は低用量ピルを活用して、月経をコントロールしていく時代になった、と知っていただきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

まず不妊症治療ですが、いきなり「内診を、検査を」ということはなく、しっかりお話をお伺いし、その患者さんによって一番いい治療方法を一緒に探していきますので、男性女性問わず、気兼ねなくお越しいただきたいです。婦人科の治療に関しても同様ですね。もし、月経にまつわる症状で悩んでいる中高生のお子さんがいるなら、親御さんが連れてきてあげてほしいです。「生理は我慢するもの」という固定観念は持たず、低用量ピルをはじめとした改善を見込める方法もご活用いただければと思います。また、当院は市の子宮がん検診にも対応していますので、その機会にもぜひご活用ください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

人工授精/1万7000円~、顕微授精/37万円~、体外受精/32万円~、卵巣予備能検査(AMH検査)/5000円、プレコンセプションチェック/2万6000円〜、排卵誘発剤(経口クロミフェン)/110円/錠、排卵誘発剤(注射 hMGまたはFSH製剤)/1640円〜1780円/本、排卵誘発剤(注射 hCG製剤)/630円〜1550円/本
※一般不妊治療での排卵誘発は原則保険適用です。
※体外受精での卵巣刺激(排卵誘発)はすべて自費となり、症例や状況により量や回数が異なります。

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