広瀬 真 院長の独自取材記事
ひろせクリニック
(大阪市阿倍野区/昭和町駅)
最終更新日:2021/10/12
「ひろせクリニック」は、御堂筋線・昭和町駅3番出口を出てすぐ左、または、大阪市営地下鉄谷町線・文の里駅4番出口から、南へ向かって徒歩約5分という、非常にアクセスしやすい場所にある。院長である広瀬真先生は、東住吉森本病院で循環器科医長を務めるなどのキャリアを積んだ後、2011年11月、同院を開業した。「もともとの専門分野である循環器の診断をしっかりと行うことはもちろんのこと、地域のホームドクターとして、患者のあらゆる悩みに応えていきたい」そう語る広瀬先生に、自身の診療に関する考え方や、患者への思い、プライベートな素顔の部分などについて、詳しく聞いた。
(取材日2017年9月14日)
かかりつけ医としてどんなことでも相談できる存在に
診療方針や、診療の際に心がけていることはありますか?
私はもともとは循環器を専門に診る医師でした。しかし現在は、患者さんが体のことで何か困ったことがあった時、また、どこの科を受診すれば良いかわからない時などに、気軽に相談してもらえる存在でありたいと思っています。ですから、地域のかかりつけ医として、これまで専門外だったことであっても、しっかりと対応できるよう、多くの知識を身につけていこうという思いは強いです。また、患者さんは医師を前にすると、言いたいことをなかなか言えない、ということがよくあります。患者さんがどんな人なのか、何を求めているのか、それを知るということは診察をする上でとても大切なことです。だから、いろいろなことを気軽に話していただけるよう、雑談や笑いなどを織り交ぜて、よく患者さんの話を聞くことを心がけています。
特に注力している治療や検査はありますか?
心臓や血管などの循環器疾患については、もともとそれが専門分野だったこともあり、特にきちんとした診療を行えるようにと思っています。「胸が痛い」など、循環器疾患が疑われる症状は、様子を見るのか救急搬送するのか、見極めが難しい部分もあり、近所のクリニックからその判断を要請されることなどもあります。また、訪問診療にも注力しています。大きな病気をして、退院したは良いけれど、その後の経過を見守ってくれるかかりつけ医がいない患者さんや、痛みをコントロールしながら家で最期を迎えたい患者さんなど、通院困難で訪問診療を必要としている方は多いです。私も、患者さんのご要望に答えられるよう、勉強会や講習会を通し、知識と技術の向上をめざしています。医学の進歩は日進月歩ですから、医師は常に勉強は欠かせません。大変ですが、やりがいも大きい分野です。
施設・設備に関するこだわりの部分は何かありますか?
設備としては、循環器の検査に必要な心電図、超音波装置、レントゲン、ホルター心電図、動脈硬化を評価するための血圧脈波(血管年齢)測定をする機械などを導入しています。施設面では、リハビリスペースがあるので、院内は一般的な内科よりは広めですね。待合室は、患者さんに落ち着いて過ごしていただけるよう、すっきりとした雰囲気にしています。壁にかけてある絵は、私が自分でセレクトしました。ポスターなどは少なめにして、必要な情報発信は、モニターを使って行うようにしています。ちなみにカエルの置物は、陶芸をしている叔父が「患者さんが元気に帰る」ということを祈念して作ってくれたものです。
できるだけ長く現役医師として地域に貢献したい
開業を決意した理由、また、開業場所に昭和町を選んだ理由を教えてください。
開業を決意したのは、定年まであと15年という時期になった頃、定年後のことを考えた時に「このまま勤務医を続けるのではなく、何か違う形で患者さんの力になりたい」と考えたのがきっかけです。定年すれば、そこで医師としての生活も終わりですが、開業すれば死ぬまででも医師を続けることもできます。できるだけ長く現役の医師でいたい、というのも開業することを決めた理由の一つです。この地を選んだのは、勤務していた東住吉森本病院から近くの場所で患者さんの力になりたいという条件で、物件を探す中、希望条件にぴったりなこの場所を見つけたことから、昭和町で開業に至りました。
患者層や主訴に何か特徴はありますか?
年齢層は、ご高齢の方が比較的多いです。ただ、当院は夜7時まで診療していますので、夜の時間帯は働いている若い世代の患者さんが増えます。主訴に関しては、私がもともと循環器科の医師だったこともあり、「胸が苦しい」「動悸がする」といった胸に関する症状が多いです。あと、高血圧の患者さんも割と多くいらっしゃいます。あまり知られていないことですが、循環器科は高血圧の治療が得意です。それまでなかなか血圧が下がらなかった患者さんが、当院でお薬を変えたら落ち着いた、ということもよくあります。
患者さんとのエピソードなどがあればお聞かせください。
例えば、心筋梗塞などで救急搬送されてきて、突然心停止した患者さんが、詰まった血管を流すカテーテル治療を施したら、すぐに回復されて、自分の足で歩いて帰られる様子を見た時などは「さっきまで心臓が止まっていたのに、すごいな」と感動したものです。カテーテル治療をやっていて良かった、これが醍醐味だ、と思える部分ですね。あと、「朝から肩が痛い」と受診された患者さんが、よくよく話を聞くと、痛むのは歩くときや階段を登る時など、運動した時だけで、じっとしていたら痛みは治る、とおっしゃる。これは、肩こりではなく循環器系の病気の特徴です。こういうこともありますから、患者さんの話をよく聞くというのは、本当に大切なことなんです。
リスクを管理し、予防するのもかかりつけ医の仕事
将来の展望についてお聞かせください。
この地域で、できるだけ長く現役の医師として地域に貢献し、患者さんから何でも相談してもらえる、かかりつけのクリニックになっていきたいと考えています。些細なことでも、体のことで困ったことがあれば気軽に相談していただきたいですね。また、当院は人にも恵まれていて、患者さんからよく「スタッフが優しい」「親切」というお言葉をいただきます。それが一番うれしい褒め言葉でもあります。皆、開院した時からのメンバーですが、このメンバーで、これからもずっとやっていけたらうれしいです。
休日の過ごし方を教えてください。
音楽が好きで、よく聴きます。若い頃はバンド活動をしていました。実は、1年前から「おやじバンド」を結成し、ライブもすでに2回やっています。バンドのメンバーは、娘のバンド仲間のお父さんたち。娘たちの演奏の指導に来ていた保護者同士が意気投合し、バンドを組んでしまったのです(笑)。メンバーの平均年齢は55歳で、ジャンルは洋楽のロック、月1回は集まって練習するようにしています。自宅には猫が4匹いるので、家にいるときはもっぱら猫と過ごしています。ニューヨークに留学していた頃は自炊もしていたので、料理も好きで、今も時々します。得意料理は麻婆豆腐とカレーです。カレーはスパイスから手間暇かけて作ります。
読者に向けて、メッセージ、アドバイスをお願いします。
血圧やコレステロールを下げるお薬を、きちんと飲まない患者さんがたまにおられます。今現在、特に不調を感じないのに、ずっと薬を飲まなくてはならないのは確かに嫌ですよね。しかし、血圧やコレステロールが高い状態というのは、心臓の病気を非常に発症しやすい状態なんです。それが薬を飲むことで、重大な病気を発症するリスクを、正常な数値の人と同程度まで下げることができます。健康診断前にだけ薬を飲んで数値を下げるのではなく、常にリスクの低い状態をキープしていくことが大切です。つまり、血圧やコレステロール値を下げる薬は、治療のためというより、病気予防のためのお薬なのです。当院では、こうしたこともきちんと説明し、患者さんが早めにリスクをコントロールできるよう、対応しています。昔は大きな病気にかかった人を助けるのが仕事でしたが、今は患者さんが病気にならないよう、予防に重点を置いています。