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永友 章 院長の独自取材記事

ながともクリニック

(横浜市西区/横浜駅)

最終更新日:2019/08/28

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COPD(慢性閉塞性肺疾患)はタバコ病とも言われ、昨年日本では1万6千人以上の方が亡くなられている。またCOPDは死亡率第三位の肺炎や癌死亡率第一位の肺癌の基礎疾患としても重要である。また近年若年者を中心とした気管支喘息の増加も見受けられる。こうした呼吸器疾患を中心に診療しているのが、横浜駅のほぼ西に位置する「ながともクリニック」。開院して今年でちょうど10年の節目を迎える。院長の永友章先生は、今後の高齢化社会に対応すべく開院以来、在宅医療にも取り組んでいる。在宅医療を進めるためには、患者はもちろん、家族の受け止め方、さらには医療者の意識革命も必要と話す。なぜなら、延命を図る積極的な治療よりも心身のケアが優先される場合が少なくないからだ。「人間を相手にするには、肉体の科学のほかに心を学ぶ学問も必要」と考える同院に、高齢化社会に向けた在宅医療の可能性を取材した。

(取材日2014年8月4日)

病は患者自身が癒すもの、医師はそれを手助けする「良き縁」

「呼吸器内科」とは、どのような治療を行う科目なのでしょう?

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当院では、「咳」や「息切れ」などの症状で困っている患者さんの診療や、予防としての禁煙外来などを主に扱っています。今まで何ともなかった坂道や階段が、息苦しく感じるようになってきたら、何かしら進行性の肺機能障害が起こっている可能性があります。長年の喫煙習慣や排気ガスなどの大気汚染が原因とされるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)も中高年で増えてきています。日頃から健康に無関心の方も多く、重症になってから来院されるケースもあるので、診療には細心の注意を払っています。例えば初診で進行した肺がんの患者さんに遭遇することもあります。肺がんは早期でないと、手術を中心とした集学的治療による治癒は難しくなり、延命を図るということが治療の中心となります。また近年では気管支喘息の患者さんも増えてきており、ゼーゼーやヒューヒューなどの音がしない咳だけの喘息も若い方を中心に多くなっている印象があります。

呼吸器ならではの難しい点などはありますか?

一般の外来診療では、救急車を必要とするような命に関わるほどの呼吸苦を訴えて受診される方はほとんどいません(時に喘息発作で受診されますが)。その手前の段階で来院される患者さんが対象になります。自覚症状としては、「長引く咳」「息切れ」などの方がほとんどです。一見同じような症状から、色々な疾患を考え、調べていくところが呼吸器疾患の難しい点といえるでしょう。さらに、複数の疾患が合併してくる可能性もあります。例えばCOPDの典型例だと判断しても、その治療を漫然と続けるだけでなく、肺がんなどの合併症が起こっていないか常に意識することも必要です。そのために、X線などの画像診断はもちろん喀痰検査や採血検査などを必要に応じて適宜行い、穴の無い診療を心がけています。また咳や喘息発作のコントロールがどうしても難しい患者さんは、総合病院や大学病院などに紹介してより詳しい検査をお願いすることもあります。

続いて、在宅医療の難しさもお願いします。

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基本的に在宅の患者さんはお一人での通院が困難な方が対象です。必然的に年を重ね、人生の終わりを迎える方もおられます。その過程では完治を目的とはできず、心と体のケアに注力することとなります。この場合大切なのはご本人が病をどう受けとめているかだと常々思います。病は年を取れば多くの方が患います。それを必要以上に不安や恐怖と感じ、その先にある死を受け入れられないと心が落ち着かず、痛みや苦しみも長引くように思われます。私はどれだけ命を長引かせるかではなく、患者さんが人生を閉じる時でも周囲の方々と穏やかに過ごせ、そして生かされてきたことに感謝の気持ちを持てるようになる、そのための良き縁になれればと願っています。やはり医者の立場ではこうしなさい、ああしなさいと指示することが多いのですが、それに止まらず、その先にどのような最後を迎えさせてあげたいのかということを常に思い続けることが大切だと感じています。

「最後までお付き合いしよう」を、自分の診療スタイルに

医師の道をめざそうとしたきっかけを教えてください。

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私は九州の出身で、博多で育ちました。幼少の頃から気管支喘息を煩い、発作を起こして度々近くの医院でネブライザーや点滴をしていたことを覚えています。そのため他の子どもと同じように運動することはできませんでした。私の父は戦争中軍医として働き、終戦後は自衛隊に入隊していました。私が小学生の頃一般の病院の外科医として働き始めました。母も結婚前は看護師で、その両親は医師になることを勧めていましたが、私はずっとその気になれませんでした。体力が無く、何でも消極的な自分が医者に向いているとは思えなかったのです。しかし、高校生の時自分の生き方を変えたいという気持ちが強くなり、早朝ランニングを始めると共に、医学の道を志すこととなりました。

呼吸器内科へ絞り込んだのはいつ頃でしょう?

大学卒業後は医局には入らず、その当時は珍しく各科をローテーションできる病院を探し、「横浜市立市民病院」へレジデントとして勤め始めました。そのとき最初に配属されたのが、「呼吸器科」でした。今考えると、不思議な巡り合わせだったと思います。この当時、同科は肺がんや慢性呼吸器疾患で亡くなる患者さんがとても多く、否応なく人間の死というものに向かわざるを得ませんでした。病気を治すために治療に一所懸命取り組みますが、それが無効となり、ただ延命のためだけに人工呼吸器や点滴に繋がされている患者さんは本当に幸せなのかという疑問を感じるようになりました。本人が願うなら自宅での治療も一つの選択肢ではないかと考えるようになり、その思いが今手がけている在宅医療につながっています。

独立を決意されたのも、そうした思いと関係していますか?

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病院には病院の役割があり、私には自分にしかできないことがあるのではないかと思っていました。私の場合、それは「できれば最後の時まで人生丸ごとお付き合いしたい」という診療スタイルです。私には大学生の頃に出会い、人生の師と仰ぐ方がいます。その方は「魂の学」というものを提唱され、人間の本質を分かりやすく教えてくださっていますが、私は病院の忙しさを理由に、学びから遠のいていました。私はずっと患者さんを一人の心ある人間として受けとめることができず、人と病気を切り離したデータ中心の医療をしていました。その後悔が在宅医療を含む開業へ向かわせる動機になったと思います。医療者が行う行為によって治癒に向かうだけでなく、患者さん自らが病気の意味を考え、自分の人生の一部として受けとめてゆく、それが自然とできるようになれば、体だけでなく心も癒され、本来の内に宿っている力が引き出されると思うのです。

本人の意思を無視しない、人生を尊重した治療

患者の受けとめ方が大事だと言うことですが、どのように接しているのでしょう?

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外来患者さんに対してはできるだけ生活環境を伺うようにしています。病気になるには“なるだけの理由”があります。喫煙を含む生活習慣の乱れだったり、「まあこれくらい大丈夫」という誤った健康常識だったり、どのような疾患でもその方の心の傾向が影響していると言えます。また在宅患者さんでは時期を見て本人あるいは家族に「延命治療を望むかどうか、最後はどこで迎えたいか」などたずねるようにしています。多くの場合、「今まで考えてこなかった」と答えられますが、相談の上病院での治療を望む方はできるだけその気持ちに添うようにします。一方、最後まで自宅で過ごしたいという方に対しては、在宅で過ごせるためのお手伝いをいたします。そのためには自分のクリニックだけでは不十分で、他業種との協力が不可欠です。その方にとって何が一番必要なのかを、常に考えていきたいと思っています。

他の業種との連携はいかがでしょうか?

一般の外来患者さんでは自院の看護師で概ね事足ります。しかし、在宅患者さんとなるとケアマネージャーや訪問看護師、介護ヘルパーなどとの協働が不可欠です。時には薬剤師や理学療法士、マッサージ師、介護用品を準備する業者なども協力していただいています。そして、デイサービスやショートステイを提供する事業所や在宅で療養困難となった患者さんを受け入れる入所施設など色々な人と場との関わりが必要となります。様々な人たちの力を借りて、一人の患者さんを支える、それが在宅医療の醍醐味ではないでしょうか。医者一人の力などほんの一側面でしかありません。私自身も多くの方々の願いとそこから生み出される力によって支えられている、その事を強く感じるようになりました。

最後に、これからの課題や展望を教えてください。

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外来に関しては、栄養療法を含めた診療技術の向上や最新設備の導入を進め、より個々に対応した医療ができるようにシステムを整えていきます。現在ようやくデジタルレントゲンが導入され、また喘息治療で有用とされる呼気一酸化窒素測定器も使用できるようになりました。在宅医療に関しては、地元医師会の協力機関と連携しながら、より良い医療を提供できるように努めてゆきたいと思っています。クリニックがある横浜市西区では2013年10月から、「在宅医療連携モデル事業」という試みが始まっています。これからの高齢化社会に対応した安心できる医療環境の整備を行っていくことは今後更に重要となってくるでしょう。最後に「ここに来れば体だけでなく心も癒される」 と思っていただけるクリニックを目指して頑張ります。

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