船曳 信行 院長の独自取材記事
三宮フラワーロード矯正歯科クリニック
(神戸市中央区/三ノ宮駅)
最終更新日:2024/12/13

JR神戸線・三ノ宮駅や阪急神戸本線・神戸三宮駅から徒歩5分以内にある「三宮フラワーロード矯正歯科クリニック」。20代から40代の女性をはじめ、幅広い層の患者が訪れる矯正専門のクリニックだ。船曳信行院長は長年にわたり歯列矯正を専門に研鑽を積んできたスペシャリスト。中でも、船曳院長が得意とするのはマウスピース型装置による矯正。この装置には、目立ちにくい、着脱可能で食事や歯磨きがしやすい、痛みが少ないなどのメリットがある一方、適用が難しいケースも。そんなケースでも、ワイヤー矯正との併用で対応できる場合もあるという。2つの手法を併用した矯正にも力を入れる船曳院長に話を聞いた。
(取材日2024年11月28日)
患者の気持ちを知ろうと自身も2度の矯正を体験
矯正専門の歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。

きっかけは自分の歯並びが悪かったことです。高校生の頃、歯並びの凸凹や出っ歯が気になりだしました。その時に矯正という分野があることを知り、自分で学んでみたいと思ったのです。矯正学を学べる歯学部に進学し、その後師事した教授に刺激を受け、矯正の道を極めようと決意しました。卒業後は大学附属病院矯正歯科で3年間、矯正歯科専門クリニックで7年間学びました。当時はワイヤー矯正しかない時代でしたが、矯正器具の作り方や着け方、患者さんとの接し方、方針の立て方など矯正の基礎をたたき込まれました。マウスピース型装置を用いた矯正では対応できないケースもありますので、それを見極める力も重要ですし、必要に応じてワイヤー矯正を併用することもあります。ワイヤー矯正についてしっかり学べたことはマウスピース型装置を用いた矯正にも生かされています。
なぜ神戸で開業されたのでしょうか?
名古屋での勤務医時代から、出身地である神戸に戻って開業することを目標にしていたんです。15年ほど矯正歯科一筋に経験を積んできて、技術にも自信が持てるようになったタイミングで、小さな頃から親しみのあった三宮で開業しました。当時、先進の矯正法だったマウスピース型装置を用いた矯正の良さを知り、もっと広めたいと思ったのも開業理由の一つですね。実は患者さんの気持ちを知りたいと思い、ワイヤー矯正とマウスピース型装置を用いた矯正の両方を体験しているんですよ。身をもって感じたそれぞれのメリット・デメリットを説明した上で、患者さんにどの矯正法にするかを選んでいただいています。当クリニックでは約8割の方がマウスピース型装置を選んでいらっしゃいますね。
平日は20時まで、土日も診療されているのですね。

はい。神戸の中心街ですから平日仕事帰りに寄っていただけるように、お子さんは学校のない土日に来やすいようにと診療時間を設定しました。通いやすい場所や時間を提供することが、期間が長期に及ぶ矯正には重要だと考えるからです。20代から40代の女性をはじめ、小・中学生や大学生など幅広く来ていただいています。カウンセリング時には、審美面・機能面、ともに丁寧に説明させていただいています。
ワイヤー矯正も併用し、幅広い悩みに対応する
マウスピース型装置を用いた矯正とはどのようなものですか?

透明で薄い装置を歯に装着し、その装置を取り替えることで歯の移動を促していく矯正法です。状況にもよりますが、装着期間は約3年。開始直後は1ヵ月に1度通院し、その後は進行具合を見ながら数ヵ月に1度通院してもらいます。ワイヤー矯正と大きく違うのは、装置が目立ちにくいことの他、取り外しが可能で食事や歯磨きを今までどおりできる点です。痛みが少ないことも特徴ですね。ワイヤー矯正に比べ、通院頻度も少ないので、忙しい方には特にお勧めです。ただ、装置を1日20時間以上装着することが必要で、矯正を順調に進めるために患者さんの協力が不可欠な矯正法でもあります。
矯正の手順を教えてください。
まず歯型を採ります。当クリニックでは先進の3D口腔内スキャナーを導入しており、歯に光を10分程度当てるだけで精密なデータを採ることができます。シリコーンの印象材を歯にかぶせる従来の方法だと、型採りだけで約30分。嘔吐反射で気持ち悪く感じる方も多かったので、患者さんの負担を大きく軽減することができました。次に、歯型データをもとにコンピューターがマウスピース型装置を設計します。その際、AIが約600万人の実症例を参考にして、矯正をどのように進めていくか計画を提案してくれます。しかし、この時点では完璧ではなく、私が患者さんの最適な歯の噛み合わせなどを考慮して修正を何度も入れて完成させます。矯正終了までの歯列のシミュレーションを3D画像で確認していただけますので、ゴールのイメージがつきやすいと思います。
マウスピース型装置とワイヤー、2つの装置を組み合わせる場合もあるとか。

マウスピース型装置のみでは対応が難しいケースに、ワイヤー矯正を併用することもあります。ワイヤー矯正は120年もの歴史があり、優れた点も多い手法です。マウスピース型装置による矯正の経験を重ねたからこそ、改めてワイヤー矯正の良さも感じています。2つの手法を併用した矯正に、今後も力を入れていきたいですね。そういう意味では、矯正を受けようと思った際に、ワイヤー矯正も提供できるクリニックを選ぶ意義は大きいと思います。マウスピース型装置で思うような結果が得られず、当クリニックにワイヤー矯正を受けに来られる患者さんもいらっしゃいます。そうならないためにも、しっかりと説明を聞き、適切な矯正法を選ぶことが大切です。マウスピース型装置にも種類があります。それらの矯正に関する知識を、当クリニックは矯正専門歯科クリニックとして、初回カウンセリング時や診療を通して患者さんにお伝えしています。
矯正は歯科医師と患者の共同作業
期間が長期に及ぶ矯正で大切にしていることは?

矯正は長期戦かつ歯科医師と患者さんの共同作業です。患者さんの協力なしに成功できません。そのため、矯正が始まる前に歯列のシミュレーション画像をお見せし、最後まで一緒に頑張りましょうと伝えています。矯正前半は大きな歯並びの変化が望めますが、2年目以降になると細かな噛み合わせの調整がメインになり、患者さんのモチベーションが下がってしまうことも。しかし、この後半の調整こそがしっかり噛める歯にするために重要です。中には、1日20時間装着するという約束が守れなくなる方もいますので、そういう時は診療時間外でもカウンセリングの時間を設けて、患者さんの気持ちに寄り添うようにしています。
子どもの矯正ではどのようなことに気をつければ良いですか?
お子さんは7歳ぐらいから矯正することが多いですが、3歳ぐらいからでも可能です。受け口など、状態によっては早いほうが好ましい場合もあるので、早めに相談してほしいですね。とはいえ、矯正はしないで済むのが一番良いですよね。「予防的矯正」はまだ確立されていない分野かと思いますが、例えば、指しゃぶりや爪を噛む癖などは、できるだけ早いうちにやめられるように徐々に促すと良いと思います。お子さんの歯がうまく並んでいないと、しつけが悪かったのではないかと自分を責める親御さんも時々おられますが、現代人は顎が小さくなってきていることも大きな要因です。矯正で噛み合わせや見た目の改善を図ることができますから、ぜひ前向きに考えてもらいたいと思っています。
診療の際に心がけていることや今後の展望などお聞かせください。

私はどちらかというと穏やかなタイプで、プライベートでもほとんど怒ったりしないんですよ。中には患者さんのことを思って、時に厳しい指導をされる先生もいます。それもとても大事なこと。ただ、私はこういう性格ですので、患者さんとともに走るという感じで接しています。痛いとか嫌といったネガティブな感情を少しでも和らげたいと思い、患者さんに何でもお話ししてもらえるように、優しく笑顔で接するように心がけています。矯正は日々進化・発展しています。長時間の装着が必要など大変な面はありますが、目立つ、痛いといったことはかなり軽減されてきています。患者さんに矯正の知識を伝えることで矯正リテラシーを高めて、矯正に対するイメージを前向きなものに変えていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/88万円~、ワイヤー矯正/表側矯正:66万円~、裏側矯正:88万円~、子どもの矯正/44万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。