水城 安尋 院長の独自取材記事
整形外科みずきクリニック
(糟屋郡粕屋町/柚須駅)
最終更新日:2026/10/07
糟屋郡粕屋町の住宅地に、長年親しまれてきた「整形外科・形成外科 よしだクリニック」が10月より「整形外科みずきクリニック」へと名称を変更し、リニューアルスタートした。2026年4月、同院を継承して新院長に就任したのが水城安尋先生だ。九州大学整形外科教室に入局後、北海道から九州まで各地の病院で腕を磨き、肩と足の領域で専門性を確立。佐世保共済病院では整形外科部長を長く務め、手術症例数を大きく伸ばした実績を持つ。前院長が築いた地域との信頼関係は大切に守っていきたいと語る。「こっちが元気を出してあげないと、患者さんは元気にならないでしょう」。2人の師匠から受け継いだこの教えを胸に、温かな笑顔で患者と向き合う水城院長に、継承に込めた思いや肩・足の専門診療について聞いた。
(取材日2026年8月26日)
2人の師匠との出会いを経て、地域のクリニックを継承
先生が整形外科の道に進まれたきっかけを教えてください。

高校時代に、小・中学校からの同級生を病気で亡くしたことが医師を志した原点です。それまで将来について漠然としか考えていなかったのですが、人の役に立ちたいという気持ちが芽生えました。当初はがんを治療したいという思いで医学部に進みましたが、学んでいくうちに外科系の分野に惹かれるようになっていきました。中でも整形外科を選んだのは、学生時代のラグビーの影響が大きいですね。自分自身がケガをすることが多く、整形外科がとても身近な存在だったんです。手術の種類が豊富で、外傷からスポーツまで扱う領域が幅広い。その奥深さに魅力を感じましたし、ラグビー部の先輩にも整形外科に進んだ方が多かったこともあり、気がつけば自然とこの道を歩んでいました。
肩と足のご専門はどのように深めてこられたのですか?
さまざまな病院で研鑽を積む中で、大きな転機となった経験がいくつかあります。北九州の障害児療育センターでは、歩行が難しいお子さんをどう歩かせるかという課題に取り組み、人間の体の構造を深く学びました。肩の専門性を磨くきっかけとなったのは、北海道の登別にいた時期です。整形外科病院に通い、師匠と呼んでいる先生から肩の手術を一から教わりました。もう亡くなられましたが、私の医師人生の分岐点となった方です。足の領域は、九州労災病院時代に師事した先生の影響が大きいですね。非常にタフで患者さん思いの方で、今も交流が続いています。その後、佐世保共済病院で整形外科部長を務め、2人の師匠から学んだことを糧に肩と足の手術に取り組み、手術症例数を大きく伸ばすことができました。
こちらのクリニックを継承された経緯についてお聞かせください。

前院長の芳田先生とは、私が医師になって間もない頃に佐世保の病院で一緒に働いたご縁があり、その後も交流が続いていました。2018年頃からは月に1度、こちらで肩専門の外来と手術を担当させていただいていたんです。そうした中で芳田先生から「継いでくれないか」とお声がけをいただきました。福岡出身でいつか戻りたいという思いがありましたし、近隣の連携施設で手術も続けられる環境が決め手になりました。2026年4月に院長に就任し、芳田先生と一緒に引き継ぎを進めていました。10月に「整形外科みずきクリニック」へ名称を変更をしましたが、芳田先生が築いてこられた効率的な診療の仕組みや地域との信頼関係は、大切に受け継いでいきます。
長引く痛みの原因を見極め、適切な治療へつなげる
肩の痛みで来院される方には、どのようなケースが多いですか?

肩の領域で手術が多いのは、腱板断裂という肩の腱が切れてしまう病気です。厄介なのは、いわゆる五十肩と発症する年代や症状がよく似ていて、一般の方には区別がつきにくいこと。五十肩だと思って治療を続けているのに1年、2年経っても治らないという場合があります。そうした方をなんとか救いたいという気持ちで診療にあたっています。五十肩であれば、ブロック注射と組み合わせたサイレントマニピュレーションという処置を日帰りで行い、早期の改善をめざします。一方、腱板断裂は腱が自然にはつながらないため、症状が続く場合は手術が必要です。「肩が痛い」と一口に言ってもさまざまな原因がありますので、なかなか改善しないときは、ぜひ一度専門の医師に相談していただきたいですね。
足の疾患ではどのような方が受診されますか?
足は、一般にあまり知られていない疾患が多い領域なんです。専門の医師であればすぐに見当がつく症状でも、複数の医療機関を回ってようやくたどり着いたという方が少なくありません。よくある例として、外反母趾だと思って来院された方を診察すると、実は強剛母趾という軟骨がすり減る別の病気だったということがあります。同じ場所が痛くても原因が異なれば、治療法もまったく変わってくるんです。私はもともと「この人はなぜ痛いのか」を突き詰めて考えるのが好きで、足のようなマニアックな領域を深く学んできました。その知識を診療に直接生かせることに、やりがいを感じています。痛みを年齢のせいと思い込まず、早めに専門の医師の診察を受けていただくことが、生活の質の向上につながると思います。
クリニックで受けられる治療や体制について教えてください。

院内では、ばね指や手根管症候群、陥入爪、小さな腫瘍の切除など、局所麻酔で行える日帰り手術に対応しています。また、エコーガイド下の選択的神経根ブロックなど各種ブロック注射にも力を入れており、外来でできる限り痛みを和らげたいという思いで取り組んでいます。入院が必要な手術は、車で5分ほどの連携施設で実施できる体制です。リハビリテーション部門には理学療法士が1人在籍しており、腰痛の改善のための運動療法にも積極的に取り組んでいます。さらに私の専門である肩・足に加え、膝や股関節を診る専門の医師も外来を担当しています。患者さんの希望をしっかり伺った上で、手術が必要であればご提案し、リハビリで対応できるならリハビリへ。漫然とした治療にならないよう、適切な判断を心がけています。
「元気を与える」診療で、地域の信頼を守り育てていく
クリニックにはどのような方が来られていますか?

0歳のお子さんから100歳近い方まで、幅広い年齢層の患者さんが来院されます。基本的にはなるべくお断りせずにお受けする、というのが当院の方針です。このあたりは子育て世代が多い地域で、お子さんのスポーツ障害での受診も目立ちます。中高生の部活中のケガはもちろん、小さなお子さんが転んで切ってしまったような外傷や縫合にも積極的に対応しています。保護者の方に喜んでいただけると私もうれしくなります。スタッフも皆子ども好きで、泣いてしまうお子さんにもニコニコしながら声をかけてくれるので、とても助かっています。一方、最も多いのはご高齢の患者さんで、膝や腰、肩の痛みを抱えていらっしゃるケースが中心になりますね。
患者さんと向き合う上で心がけていることをお聞かせください。
私が尊敬する2人の師匠に共通していたのは、患者さんに元気を与えるという姿勢でした。「こっちが元気を出してあげないと、患者さんは元気にならないでしょう」と言われたことが深く心に残っています。難しい症状を抱えている方もいらっしゃいますが、それでも来院して良かったと感じてもらえるように、笑顔を大切にしながら診療しています。説明の際にはなるべく専門用語を使わず、簡単な言葉や例え話でお伝えするようにしています。わかりやすい説明と元気をお届けすること、この2つは常に意識していますね。プライベートでは筋トレを習慣にしています。読書やドローンなど趣味はいろいろありますが、今はなかなか時間がとれず、体を動かしてコンディションを整えています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

まずは芳田先生が長年にわたって築いてこられた地域の信頼と、患者さんとの関係を、しっかりと育んでいきたいと考えています。その上で、私が得意とする肩や足の専門的な知識と技術を地域に還元し、皆さんの生活の質の向上に貢献できればうれしいですね。肩と足の両方を専門的に診られる医師はそう多くありませんので、長く治療を続けても改善が見られないという方には、ぜひ一度ご相談いただきたいと思います。当院では専門の外来体制を整えています。漫然とした治療にならないよう適切に見極めることを大切にしていますので、痛みや不調で気になることがあれば、どうぞお気軽にお声がけください。皆さんの毎日が少しでも快適になるよう、力を尽くしていきます。

