いびきや日中の強い眠気に要注意
睡眠時無呼吸症候群の検査と治療
耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 ひらざわクリニック
(一宮市/尾張一宮駅)
最終更新日:2022/08/10


- 保険診療
睡眠中に呼吸が止まり、体内の酸素が不足してしまう、睡眠時無呼吸症候群。寝ている時に呼吸が停止するので、自分一人ではなかなか気がつかない疾病である。しかしこの病気を発見する大きなサインが2つある。その1つがいびき、もう1つが眠気だ。いびきがうるさいと指摘されたり、強い眠気や居眠りを繰り返すようだったら、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるという。「耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 ひらざわクリニック」の平澤良征(よしゆき)院長は、睡眠時無呼吸症候群の診療に力を入れている。生活習慣病との関連や検査・治療の実態、放置した際の疾病リスクや治療法について詳しく話を聞いた。
(取材日2021年3月24日)
目次
検査と治療で生活の質の向上と将来の疾病リスク軽減をめざす。生活習慣病の治療も並行しよう
- Qいびきがうるさく日中居眠りをしてしまいます。病気でしょうか?
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A
▲睡眠時無呼吸症候群についてきっかけはさまざまだそう
いびきが大きいと同居の家族から指摘されたり、旅行に行って同室の人に指摘されたりして来られる方、昼間会議中なのに眠ってしまったり、車の運転中に強い睡魔が襲ってきたり、異常な眠気を心配して受診される人がいます。これらの症状はどちらも、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。これは睡眠中に呼吸が止まってしまう疾患で、呼吸が止まった状態を長く放置することで体内の酸素が不足し、深い睡眠が取れなくなります。症状が進むと高血圧や不整脈、動脈硬化を促進するという報告もあり、脳卒中や心筋梗塞を引き起こすことも。大きないびきを指摘され、異常な眠さを感じたら、まずはかかりつけ医か耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
- Q女性や若者でも睡眠時無呼吸症候群になりますか?
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A
▲睡眠時無呼吸症候群のリスクは誰にでもありえる
睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病との連関が深く、中高年や太った人がかかる病気だと思われがちです。実際、糖尿病や高血圧症、肥満の人が罹患する場合も多いのですが、若年層や女性、痩せた人がかかることもあります。喉の骨格や舌の大きさ、鼻の内部の器質的な問題などが原因となって発症することもあるからです。女性はいびきに悩んで受診される方が多いのですが、調べてみると睡眠時無呼吸症候群であったと診断されるケースもよくあります。性別、年齢、体形や既往症を問わず、いびきや眠気がひどいと感じたら、誰でも睡眠時無呼吸症候群のリスクを疑ってもいいと思います。
- Qこちらではどのような検査を行いますか?
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A
▲CTの検査も可能
まずは喉の構造や鼻の中をしっかりと診察します。どの程度喉の空間があるのか、扁桃腺は肥大していないか、鼻のゆがみやポリープはないかなどしっかり観察し、必要に応じて内視鏡で声帯もチェックしたり、専用の機器を使って鼻にどれだけ空気が通っているか鼻腔通気度を測ったりすることもあります。その後、自宅でモニターをつけて就寝してもらい、この酸素モニターの情報と合わせて診断をします。さらに必要がある場合には、専門の装置を備えた病院を紹介して、就寝時の脳波なども確認します。無呼吸の状態には個人差があるので、検査結果から状況を見極めた上で、治療の方針や方法を決めます。
- Q治療法にはどのような種類がありますか?
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A
▲治療法についても丁寧に話してくれる院長
軽症の方は、専用のマウスピース型器具をつけて就寝します。いびき軽減のための鼻腔を広げる器具を、旅行時などに使用する人もいます。一方、比較的重症の方は、鼻に装着したマスクから空気を送んで睡眠中の呼吸をコントロールするための装置「CPAP(シーパップ)」を装着して眠ります。さまざまなピースを体につけて眠ることに違和感を感じる人もいますが、慣れてくればそれほど苦痛を感じることはないはずです。CPAPは睡眠時無呼吸症候群を完治させるものではありませんが、呼吸をコントロールすることで睡眠の質の向上を図り、日中の眠気やだるさの軽減をめざします。
- Q日常生活で気をつけるべきことはありますか?
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A
▲患者の希望にも沿いながら継続できる治療内容を一緒に考えていく
生活習慣病の改善は欠かせません。特に肥満の人は喉に脂肪がついて気道を圧迫している場合が多く、ダイエットが症状改善のための鍵となります。BMIが25を超えるような肥満の人は、CPAPの装着と並行して、体重を落として適正なボディーバランスに整える必要があります。アレルギーが原因で睡眠の質が落ちている人は、その治療も行ったほうがいいかもしれませんね。鼻呼吸ができないと睡眠の質が落ちて睡眠時間は確保できても寝足りない感覚になりやすいです。運動や食事で基礎疾患の改善をめざしながら、睡眠の治療も併せて行うことが大切です。心筋梗塞などの命に関わる状況を避けるためにも、ぜひ地道な生活改善と治療を続けましょう。