内耳性、中枢性、心因性と原因はさまざま
めまいの検査と治療
耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 ひらざわクリニック
(一宮市/尾張一宮駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
ぐるぐると地面が回転するような感覚、ぐらつきを感じて立っていられない状態、ふわふわして体の平衡が保てない……。めまいの症状に悩まされている人は、少なくないだろう。これらのめまいにはさまざまな原因があり、耳の奥の内耳の疾患が影響を与えていることも多い。「耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 ひらざわクリニック」の平澤良征(よしゆき)院長は、耳鼻咽喉科としてこうしためまいの診療に力を入れている。メニエール病や良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、突発性難聴などが原因となる内耳性のめまいをはじめ、それ以外の中枢性や心因性のめまいも含め、そのメカニズムと検査・治療について、平澤院長に解説してもらった。
(取材日2021年3月24日)
目次
めまいの原因は内耳性、中枢性、心因性などさまざま。内耳性めまいは耳鼻咽喉科で治療を
- Qめまいにはどのような種類があるのでしょう?
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A
めまいの症状、発症状況によって、いくつかの種類に分けられます。回転するようなめまいの場合は内耳性のめまいである可能性があり、所見により疾患を鑑別していきます。ふらつきや慢性的にめまいを感じる場合は、内耳性の他に脳に血流の循環不全であったり内科的疾患の場合もあるので注意が必要です。内耳性のめまいでは、メニエール病や良性発作性頭位めまい症、めまいを伴う突発性難聴などが疑われ、難聴などのめまい以外の症状がないかも重要となります。内科的な要因では、血圧の異常や貧血、甲状腺の異常、自律神経の乱れなどが考えられます。いつどこで、どのくらいの時間や頻度のめまいが起こるのかを詳しく医師に伝えましょう。
- Qめまいを感じた時は何科に相談するのがいいのでしょう。
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A
めまいの原因はさまざまなので、かかりつけの医師に見てもらうのも良いでしょう。一方で、内耳の疾患を原因としためまいも少なくないので、耳鼻咽喉科に相談するメリットは大きいと言えます。例えば、メニエール病は内耳の中のリンパ液の循環が悪くなり、むくんでしまうことで起こります。良性発作性頭位めまい症は、三半規管のセンサーに耳石などが異常な刺激をして起こる症状です。このような内耳の器官を適切に検査して治療するためには、専門的な知識が必要です。突発性難聴のように、めまいと耳の異常が同時に起こる場合も多く、そうした場合にも耳鼻咽喉科を受診したほうが良いでしょう。
- Qそのまま放っておくことのリスクはありますか?
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A
強烈なめまいと同時に、手足が動かなくなったり、強い頭痛を感じたり、ろれつが回らなくなったりした場合には、中枢性のめまいが疑われます。脳梗塞や脳内出血、脳腫瘍、小脳の異常などでめまいが起こっている場合には、後遺症や命の危険もあるため、すぐに受診する必要があります。突然起きためまいが軽快せず、強まるような場合には、絶対に放置せずすぐに病院へ向かいましょう。慢性的なめまいが続く場合、なかなか受診のきっかけがないかもしれませんが、検査を受けて原因がわかれば、治療によって軽快や寛解がめざせるかもしれません。気になる症状がある方は一度受診をお勧めいたします。
- Qこちらではどのような検査・治療を行いますか?
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A
まずは丁寧に問診をして、めまいが起きる状況や継続する時間、頻度、感覚について把握します。その後、赤外線センサーの眼鏡型装置をつけて眼振検査を行い、眼球が左右に振れていないかを診察します。さらに体のバランスを見るために、重心動揺検査を行います。専用の装置に乗って、目を開けたり閉じたりして確認する検査です。こうした検査の結果からわかった原因・疾患に応じて治療を進めていきますが、例えばメニエール病であれば服薬と生活習慣の見直しを図ることで、症状の緩和をめざしていきます。良性発作性頭位めまい症の場合は、服薬と並行して頭を動かす体操などを行います。
- Q日常生活で気をつけることはありますか?
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A
めまいを引き起こす原因によって、日常生活で気をつけることは変わります。メニエール病の場合は、利尿作用を高めるための服薬と同時に、水分を十分に取り有酸素運動を勧めます。良性発作性頭位めまい症は、起き上がったり寝返りなどの頭の位置が変わる場面でめまいが起こりますが、安静にするよりも頭を動かしてめまいを起こすことにより、症状の緩和・早期改善を図っていきます。これら内耳性のめまい以外に多いのが、心因性のめまいです。一度めまいの発作を経験し、再発を恐れるあまりめまいを感じてしまう人が実は少なくありません。ストレスや睡眠不足、疲労はめまいを含めた万病のもとですから、これらを解消できる生活を送りたいですね。