歯科医師会でも取り組む
口腔がん検診を受けて早期発見を
岡田歯科医院
(横浜市西区/天王町駅)
最終更新日:2023/06/19


- 保険診療
がんに関心を持つ人は多いが、口腔がんは見落とされがちな存在である。しかし、がん全体の約1割は口腔がんである、といわれている点は見逃せない。「岡田歯科医院」院長の岡田とし江先生は口腔がん専門の歯科医師として、関東労災病院の口腔外科部長を務めた経歴を持ち、開業した現在でも病院と連携体制を取った高度な診療を続けている。口腔がんについてのプロフェッショナルである先生に、詳しく話を聞いた。
(取材日2015年10月22日/更新日2021年12月6日)
目次
神奈川県歯科医師会を中心とした、口腔がん早期発見の実現をめざして
- Q口腔がんとはどのようなものなのでしょうか? またその原因は?
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A
▲歯科医師会では、会員の先生への指導も行っているという岡田先生
口腔がんとは、お口の中にできるがんの総称です。口腔がんの中で最も多いのは舌がんですが、歯肉がん、口腔底がんと続きます。上顎や下顎にできたり、腫瘍が大きい場合は上顎から頬部・下顎にまで患部が及ぶこともあります。口腔がんができる要因として多く挙げられるのが喫煙・飲酒です。また、入れ歯が歯肉や頬粘膜に当たる、歯や詰め物が舌に当たるといった慢性的な機械的刺激も口腔がんを引き起こすきっかけになります。熱い飲食物によるやけどや口内炎、また刺激物が好きという嗜好性も、口腔内の状態によっては口腔がんの誘因となるため配慮が必要です。
- Q口腔がんを疑う兆候や症状はありますか?
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A
▲ちょっとした違和感があれば、すぐに検診を受けよう
例えば、口内炎が2週間経過しても治らない場合は、口腔がんを含め、何らかの異常がある可能性が考えられます。口腔内に腫瘤がある・腫れている・しこりがあるなどの症状があり、治療を試みても、それがなかなか治らないケースでも同じことがいえます。口腔がんの初期症状としては、腫れやしこりがある、口内炎があるなどさまざまです。また、口腔がんは他の疾病、例えば歯周病などと間違えられることもあり、判断が難しい症状の場合、専門の口腔外科歯科医師に診てもらうことで発見の遅れを防ぐことが大切です。できるだけ早期発見・早期治療が望ましいと考えられます。
- Q早期発見に対する取り組みはどのようなものがありますか?
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A
▲岡田先生は、病院の部長として口腔がんを専門に診療していた
例えば神奈川県歯科医師会では、口腔外科専門の歯科医師とともに、受診費用不要の口腔がん検診を実施し、早期発見はもちろん、県民の口腔がんに対する認知度向上にも力を入れています。神奈川県に限らず、同様の活動をしている歯科医師会は多いです。有料で口腔がん検診を実施している歯科医院もありますが、まだ数は少ないのが現状です。そのため、神奈川県歯科医師会は地域の会員の先生方に口腔がん検診の普及に向けて協力を呼びかけ、協力してもらえる歯科医師の増員にも注力しています。すべてのかかりつけ医が来院される患者さんのお口を診た際に、口腔がんを発見できる知識と技術を身につければ、早期発見、早期治療の可能性が広がります。
- Q口腔がん検診はどのようなことを行うのですか?
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A
▲検診の際には、視診だけでなく触診でもチェックする
口腔がん検診では、問診、視診、触診が重要です。まず、問診で過去の病歴はもちろん、お酒やタバコなどの嗜好物についても把握します。視診で見た目をチェックし、触診に移ります。触診では顔の外側である耳下腺、顎下腺、リンパ節は上から下へ移動しつつ、顎下、鎖骨上窩まで確認し、腫れやしこり、硬さがないか入念に確認します。口腔がんでは、比較的早期にリンパ節転移してくる可能性があるためです。次に口腔内を上唇、下唇、左右の頬粘膜、全体の歯肉、舌、口底までチェック。特に舌部分は良性の病変が見つかることがあるため、触診は必須です。検診は、通常10分ほどで終了します。必要がある時にはルゴール染色も行います。
- Qこちらではどのような取り組みを行っているのでしょうか?
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A
▲CTでの画像診断も行っているため、より早期での発見につながる
関東労災病院で口腔外科で部長をしていた経験は、開業した現在、当院での診療にも生かしています。具体的には、疑わしい患者さんのCT精査を即日行ったり、口腔がんの手術が必要な患者さんがいらした場合、ご要望に合わせてスムーズに病院へ紹介いたします。口腔がんを専門とした診療を病院部長時代から続けてまいりましたので、定期検診ではがんの有無を含めて口腔内を診察いたします。当院では、お子さんから高齢の方、全身疾患がある方や体が不自由な方でも安心してお任せいただける体制を整えております。