スタッフの心配りと温かいサポート
患者の安心を支える透析治療
松下クリニック
(松山市/大手町駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
腎移植をしない限り、期間が長期にわたる透析治療。1回あたり約4時間の透析治療を週に3回も行うとなると患者の負担は大きく、途中で治療を投げ出したくなることもあるだろう。「そんな透析治療だからこそ、来院して透析している間はできるだけ快適に過ごしてもらいたい」と話すのは、2011年に透析治療に注力したクリニック「松下クリニック」を開業した松下仁院長。透析中の居心地の良さを追求し、院内には1人1台利用できるテレビ、青空模様が広がる天井、マッサージ器などが完備されている。患者の苦痛が少しでも和らぐようにと、さまざまな工夫を凝らす松下院長と看護師の須崎さん、長生さん、黒川さん、そして臨床工学技士の宇高さんに、診療へのこだわりや大切にしていることを聞かせてもらった。
(取材日2019年8月30日)
目次
透析治療は一生の付き合い。工夫を凝らした院内設備や接遇で、患者のストレスを極力軽減
- Q安心して治療を受けてもらうために、心がけていることは?
-
A
▲毎月カンファレンスを行い情報共有を欠かさないという
【松下院長】当院は透析患者さんの看護について学んだ看護師と、治療に使用する機器のメンテナンスなどを行う臨床工学技士が複数人在籍しています。互いに協力しながら率先して業務を進めてくれる頼もしいスタッフばかりです。患者さんが透析治療を苦痛に感じないよう、院内設備を整えていますが、それ以上に重要なのが接遇面だと思っています。当院では患者さんときちんとコミュニケーションがとれるようなスタッフを採用して、患者さんが気持ちよく通院していただける環境づくりに努めています。また、私は常に連絡用の携帯電話を所持しており、何かあれば治療室にいる患者さんのもとへ駆けつけられるようにしています。
- Q患者さんと接する際に、どのようなことに気を配っていますか?
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A
▲アットホームな雰囲気も患者の居心地につながっているという
【看護師・須崎さん】透析治療は週に3回は来院する必要がありますので、少しでも患者さんが足を運びやすいクリニックになるよう、常に笑顔を心がけています。治療をずっと続けることに不安を感じてしまう方もいますので、そんな患者さんやご家族のメンタル面もフォローしたいと思っています。透析治療の患者さんとは長いお付き合いになりますから、人間関係が大切だと思っています。 【看護師・長生さん】患者さんと話すときには視線を合わせ、信頼関係を深められるよう心がけています。 【看護師・黒川さん】病気のことだけでなく趣味の話をしたり、採血検査の結果を見ながら食事や体調管理に関するアドバイスをしたりしています。
- Q特にやりがいを感じる瞬間は、どんなときでしょうか?
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A
▲患者が長く良い状態でいられるように配慮をしている
【看護師・須崎さん】患者さんが具合が悪そうなときもあれば、調子の良さそうなときもあります。私たちのサポートによって少しでも明るくなってもらえたときや、腎移植をした患者さんが訪ねてきて、経過を報告していただけたときはとてもうれしいです。 【看護師・長生さん】血圧に変化があったり、いつもより口数が少なかったりといった患者さんの小さな変化をキャッチして、脳梗塞など重篤な疾患を未然に防いだことがあります。 【看護師・黒川さん】患者さんの些細な変化を見逃さず、悪い事態を防ぐのも、ドクター以上に患者さんと接する時間が長い私たち看護師の役目だと思っています。
- Q臨床工学技士の具体的な仕事内容について教えてください。
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A
▲患者の居心地のためにはコミュニケーションが大切と語る
【臨床工学技士・宇高さん】工学分野の専門家として、透析治療に使用する機械の操作・点検などを行うほか、看護師と一緒に看護業務のサポートもしています。4時間という長い時間を週に3回も当院で過ごす患者さんに、少しでも快適に過ごしていただくよう努めるのも私たちの役割です。透析中に体位を変えたいけれど遠慮して言えない患者さんもいますから、そんなときは患者さんの状態をこまめにチェックして、こちらから声がけするようにしています。
- Q臨床工学技士として大切にしていることは?
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A
▲機器の数値を6人の臨床工学技士の目で複数回チェックを行う
【臨床工学技士・宇高さん】患者さんによっては、透析治療の時間を長くしたり、食事をもっと制限したりしたほうが良いケースもあります。しかし、それは患者さんにとってつらいことでもあります。患者さんの状態をよく見て、メンタル面にも配慮した上で、できるだけ患者さんの心や体の負担にならない形でアドバイスするように気をつけています。また、治療に使用する機械のメンテナンスに関しては、複数人でチェックする体制を整えています。何か気になることがあれば6人の臨床工学技士が集まって意見や情報を共有し、常にベストな状態で機械が使用できるようにしています。