通院が難しい理由があれば可能
心身の負担を減らせる在宅医療
たにぐちファミリークリニック
(三郷市/新三郷駅)
最終更新日:2024/07/12
- 保険診療
これまでクリニックに通院していたものの、加齢による体力的な問題から受診が途絶えてしまうケースは少なくない。また病院から退院し、住み慣れた自宅に戻ってもさまざまな問題と隣り合わせで暮らしている人もいるだろう。そんなときこそ在宅医療に頼ってほしいと、「たにぐちファミリークリニック」の谷口聡理事長は呼びかける。同院では毎週水曜を訪問診療専用の日とし、緊急時も谷口理事長が24時間体制で対応。家族の負担にも配慮しながら、誰もが幸せになれる医療の実現をめざす。現代には入院以外に在宅という選択肢もあり、利用するまでのハードルは決して高くないという。そこで在宅医療が好ましいケースや診療開始までの流れ、実際の診療内容、さらに谷口理事長の在宅医療に対する思いなどさまざまな話を聞いた。
(取材日2024年7月1日)
目次
通院や介護の悩みは一人で抱え込まず、地域全体で解決するのが理想。在宅医療を希望する場合は気軽に相談を
- Qどのような場合に在宅医療を受けられますか?
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A
在宅医療を始めるにあたり、絶対にこうでないといけないという基準は特にありません。当院にご相談いただく内容として多いのは、足腰が弱って歩けなくなった、ご家族の事情で患者さんを医院に連れて行けなくなった、認知症が進行して一人での外出が難しくなったなどです。ほかにもさまざまなケースがありますが、通院できなくなった理由があればお問い合わせいただければと思います。病状はそこまで重くなくとも、ご家族だけでサポートできなくなった場合も立派な適応です。また、半径16km圏内であれば訪問診療が可能ですので、今まで通っていた医院に通えない状態で病院から退院した方や、訪問診療が必要な施設の職員さんもご相談ください。
- Q実際に訪問診療を利用する場合の流れを教えてください。
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A
利用をご希望の場合は直接当院にご連絡ください。ご相談にいらっしゃる際は保険証をお持ちいただき、ご本人が難しければ、ご家族だけでも構いません。そして訪問診療を行うことが決定したら、毎週水曜に医師と看護師がご自宅や施設に伺い、それ以外の曜日も必要に応じて対応をいたします。診療内容は点滴や高カロリー輸液の投与、胃ろうの管理、人工呼吸器の定期点検、尿道バルーンカテーテルの交換など多岐にわたります。検査機器もハンディタイプのものを持ち込める体制があり、特殊な処置を除いて一通りのことが可能です。
- Q同院の在宅医療の特徴は何でしょうか?
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A
訪問先の介護施設において、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーといった難病の方や脳梗塞で寝たきりの方に対し、診療から難病申請の更新手続き、看取りまで幅広く行っていることです。一方、当院に定期的に通院されている方には私の電話番号をお渡しし、何かあったら24時間連絡がつながる体制を敷いているのも特徴です。私は幼少期のさまざまな経験から、昔ながらの何にでも対応する医師に憧れ、外科をはじめ幅広い分野で研鑽しました。在宅医療に関しても、最低限やらなければいけないと思ったことはできる限り自分で担当するようにしています。
- Qスムーズな診療のために心がけていることはありますか?
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A
まず、院内での情報共有を大切にしています。看護師は医師よりも患者さんと接する機会が多く、もともと通院していた方の場合は在宅に切り替わっても基本的に同じ看護師が診療時に伺います。常日頃から患者さんを診て、お体の状態などをより詳しく把握しているからこそ連携は不可欠で、いつご連絡をいただいても全員がきちんと対応できるよう多職種間で密に連携しています。加えて訪問看護ステーションとの連携も重視していますね。こちらも状況に素早く対応するために訪問看護師と積極的にコミュニケーションを図っています。必要に応じて訪問診療後に訪問看護師と治療方針などを話し合うこともあります。
- Q先生のご家族への寄り添い方も教えてください。
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A
自宅での介護をご家族だけで完結するのは難しい部分がありますので、「ご家族が介護保険をどのように使うのが望ましいか」という観点からのサポートを意識しています。地域包括支援センターとの連携はもちろん、重症度に応じて利用できる介護サービスの内容が変わってくるため、それらを余すところなく使えるよう介護保険の主治医意見書も積極的に書きますね。あと、認知症の患者さんの場合は薬物療法のほか、デイサービスで人との関わりを持つといった行動も治療につながります。そしてご家族にはデイサービスの時間帯に家のことを済ませていただくなどして、お一人で抱え込まず地域全体で患者さんを診れる状態に持っていけるよう努めています。