伊藤 直人 院長の独自取材記事
伊藤デンタルクリニック
(小田原市/小田原駅)
最終更新日:2025/06/04

小田原駅東口から徒歩5分ほどの場所にある「伊藤デンタルクリニック」。白壁が映える2階建てのクリニックは、エレベーター完備のバリアフリー設計。ゆとりを大切にした空間に、個室の診療室や手術室、アクティビティールームや滅菌室などが機能的に配置されている。歯科用CTや口腔内スキャナーなどの機器もそろい、精密な診療も可能だ。伊藤直人院長は、世界と日本の歯科医療のギャップを埋め、生涯にわたって歯を守るという歯科医療の本質を追求するため、2010年に同院を開業したという。「2016年に新築移転してきた当院は、まさに自分のやりたいことを形にしたもの。“歯科医療を0からつくる”という思いでつくり上げました」と笑顔を見せる伊藤院長に話を聞いた。
(取材日2025年2月4日)
疾病の根本原因に迫る、本質的な歯科医療を追求
クリニックの成り立ちと院長のご経歴から教えてください。

大学で歯科医療の基礎を修めた後は、各分野のスペシャリストの先生方を国内各所や世界で訪ね、治療技術を学びました。かぶせ物や詰め物、インプラント治療の技術を中心に身につけたのですが、学べば学ぶほど「どんなに良い治療をしても、再発により治療の繰り返しが必要となる」という現実に突き当たりました。「むし歯や歯周病といった疾病の根本原因に迫る、本質的な治療を提供したい」という思いがどんどん強まり、自分自身の追求する歯科医療を提供する場として、2010年に駅前のビルで治療用とメンテナンス用のユニット2台で小さなクリニックを開業したのが始まりです。その後、2016年に現在の場所に新築移転しました。この小田原では先祖代々医師をしており、小田原城の御典医を務めた家系だそうです。
空間づくりにはどのようなこだわりがおありですか?
歯科医療のあるべき姿を常に探求し、日々改善し続けていきたいんです。これまで米国、北欧を中心としたヨーロッパ各国、アジア諸国の歯科医療現場を訪問し、世界基準と日本国内の歯科医療環境におけるギャップを痛感しました。当院には、治療用、メンテナンス用合わせて16台のユニットがありますが、すべてプライバシーが守られる個室です。マイクロスコープやエックス線撮影装置などの機材も個室内に設置。診療室、手術室に加えて、滅菌室やセミナールーム、患者さんの指導をメインに行う診療台のない診療室など、すべて機能的に配置しました。もちろん、車いすやベビーカーでも容易にアクセスできる、エレベーター完備のバリアフリー設計です。グローバルスタンダードの歯科診療を提供することを大前提としています。
クリニックがめざす医療について教えてください。

歯を削って詰めることはもちろんですが、むし歯や歯周病の根本にある疾病リスクを取り除くことをめざした、予防歯科を基盤とした歯科診療です。例えば、自動車で事故を起こした際に、壊れた車を修理するのが従来の歯科治療だとしたら、ブレーキの不具合やそもそもの交通ルールへの理解不足など、事故の根本原因を探ってそうした問題を解決し、事故の再発を防いでいくのが本質的な診療と考えています。そのため、当院では診療の際にむし歯に関しては5つの項目をチェックし、必要に応じてリスク要因を取り除くための指導や処置を行っています。
初診から徹底サポートでむし歯・歯周病の進行を止める
5つの項目についてお話しいただけますか?

歯磨き、フッ化物、糖、酸、そして唾液量の5項目です。「自分はむし歯になりやすい体質だ」と思い込んでいらっしゃる方が意外に多いようですが、そもそもそんな体質はないと私は考えています。また、正しい知識を持つことで、「むし歯になりやすい状況」を「むし歯になりにくい状況」へと変えていくことは可能だと考えています。実際、歯科医師になってからむし歯にならなくなったという話をよく聞きますが、これは知識によって歯を守ることができるようになったという好例です。どなたでも正しい知識を身につけることで、5つの項目を改善し、歯を保つことができるようになるはずなのです。
歯周病に関しては、どのようにお考えですか?
歯周病もむし歯同様、かつては治療が終わればそれで良しとされていたんですね。むし歯は削って詰める、歯周病は歯石を取る、以上。ですがそうではなく、お口の中の常在菌をコントロールし続けることが、歯周病やむし歯を現状以上に進行させないことにつながるのです。「日本人の8割が歯周病」と当然のように喧伝されていますが、実際にはちょっとした知識とちょっとしたケアによって、発症リスクを抑えることがめざせるのです。私たちは診療の際、「歯のある未来と歯のない未来は選べる」と、患者さんにお伝えしています。といっても、皆さんが気づくのは、症状が現れてからです。最初の「あれ、おかしいな」という段階が、最もモチベーションが上がりますので、どの年代の方でも、歯茎の異変に気づいたら歯科医院を受診してください。
初診からの治療の流れを教えていただけますか?

当院では、すべての方に担当の歯科衛生士がつきます。現在、歯科衛生士は13人が常勤している体制で、まず、口腔内写真、エックス線写真を撮り、唾液量測定などを行って、データと画像を患者さんにお見せします。これらはすべて保険診療です。お口の中の現状をお伝えし、むし歯や歯周病になる原因をお話しします。そこから、歯石の除去、歯ブラシの使い方や、日常的な飲み物・食べ物の注意点の指導、噛み合わせのチェック、初期むし歯のケアを行います。それが終わると、今度は歯科医師の出番です。むし歯を削る治療や、歯周病であれば外科治療を行います。そうやって問題の改善を図ってから、メンテナンスに入ります。初診からの担当の歯科衛生士がずっとつきますので、経過を含め患者さんの日常やご要望を深く理解した上でケアを進めていきます。「一人ひとりを大切に、一つ一つを丁寧に」をモットーに掲げて私たちは患者さんに向き合っています。
生涯通して豊かな生活を歯の健康から
先生のもともとのご専門はインプラントと伺いました。

インプラントは、歯がない方や歯が折れた方、重度の歯周病で抜く必要のある方などにはご提案しますが、常にインプラントがベストとは考えていません。入れ歯やブリッジ、あるいは矯正など数ある治療法の一つと捉えています。いずれの治療法においても、めざすのは、患者さんが生涯豊かに暮らせるよう、お口の健康面からサポートすること。インプラント独自のメリットとして、周りの歯に負担をかけにくいという点がありますが、「インプラントをすればOK」ではなく、その後も通常の歯同様メンテナンスは必要です。現在行われているデンタルインプラントを開発したペル・イングヴァール・ブローネマルク先生はこうおっしゃっています。「インプラントを行う場合は、患者さんが亡くなるか、自分が歯科医療をやめるまで付き合うつもりでやりなさい」と。そうした覚悟を持って、可能な限り患者さんに負担の少ないやり方で行うのが当院の姿勢です。
歯科医師という仕事のやりがいについて教えてください。
何度治療を受けてもむし歯が再発して自分の歯が弱いと諦めている患者さんや、歯周病で次々と歯を失い悩んでいる患者さんがいます。私たちの役割は、そういった人たちに対し、再発予防は可能であるとお伝えすることだと考えています。歯を守るための正しい知識を身につけた上で、ご自宅でのケアと歯科衛生士によるメンテナンスを生涯続ける。そのプロセスをサポートすることでむし歯や歯周病にならない状態を維持し、患者さんの喜びにつなげたいと思っています。生涯にわたり、患者さんがより良く生きるためのお手伝いができる、歯科医師とは素晴らしい仕事だと思います。
最後に、今後の展望についてお聞きします。

医科の中での歯科医療、全身との関わりの中での歯科医療を実践していきたいですね。お口の中は人体でも細菌密度の高い場所です。近年では糖尿病や心疾患、腎臓病や低体重児など、歯科との関わりを意識しないような疾患についても、これらを引き起こす細菌の多くが口の中に由来するものの可能性が高いことも研究により判明してきています。歯科医院は医科のほかの分野と比較しても、患者さんとの距離が近い診療科だと思います。定期的にメンテナンスで通う場所ですから、患者さんにとっての医療の玄関口としての責任は重大です。また、当院ではマウスピース型装置を用いた矯正にも注力しています。今後も診療を通して歯を守ることを軸に、十人十色の豊かな人生を支えていければと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは【インプラント治療】
基本料/6万500円
埋入料/30万2500円
アバットメント代/3万6300円
上部構造代/18万1500円
小児歯列矯正
資料取り/3万7400円
初回費用/9万9000円~
毎回診察時に別途1万4850円~
マウスピース型装置を用いた矯正/55万円~99万円
※歯列矯正の詳細については、クリニックに直接お問い合わせください。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。