後藤 匡史 院長の独自取材記事
ごとう歯科クリニック
(豊中市/蛍池駅)
最終更新日:2023/03/27

阪急宝塚線、大阪モノレール蛍池駅から徒歩3分、国道176号線沿いにある「ごとう歯科クリニック」は、2010年に開業した歯科医院だ。院長の後藤匡史(ごとう・まさし)先生は、現在は予防歯科に力を入れており、特に、小児の歯の治療・予防について、保護者と協力して取り組んでいる。この歯科医院を誰もが気軽に足を運べる蛍池のコミュニティースポットにして、地域に歯科医療で貢献したいと話す後藤院長に、開業に至るまでの経緯や、今後の診療方針について聞いた。
(取材日2017年10月26日)
気軽に寄れる歯科医院に
歯科医院のコンセプトを教えてください。

「ちょっと気軽に寄ってみたい」と思ってもらえる歯科医院がコンセプトですね。当院は基本は、予約がない方でも少しお待ちいただくか、時間をずらしていただくなどして、なるべくその日のうちに診療できるように調整しています。
大学卒業後は、大阪に戻られたんですね。
大学にいた頃から補綴の分野に興味があり、卒業後は大阪市北区にある歯科医院に勤めながら勉強を続けていました。当時は研修医制度がなかったので、ひたすら見て、聞いて、覚えて、そして怒られて(笑)、の繰り返しでしたね。僕自身、小学校から大学時代までずっとサッカーをしていて、クラブチームのセレクション(選考試験)を受けたこともあるほどのめり込んでいました。なので、選手たちを身近に感じることができてうれしかったですね。その後、兄が院長を務める大阪市鶴見区の歯科医院に勤務し、実家を継ぐか、自分で開業するか悩みましたが、兄の姿を見て、自分の力でやってみたいという気持ちも強くなり、開業に至りました。
どういう患者さんがよく来られていますか?

患者さんは、下は1歳から、上は90歳の方まで幅広い世代の方が来られています。お子さんを連れて来られたお母さんが待っていると、また知り合いの親子が来られたりと、待合室が親御さんたちの「団らん」の場所になっていることもあって、にぎやかなんですよ。高齢の方も多いですよ。お年寄りを診ていて思うのですが、歯がしっかり残っている方は、やはりお元気なんです。ご自身で歩いて通院されたり、メンテナンスも毎月来られたり、生活をとても楽しまれています。歯が抜けていくと、食べられない、元気がないなど行動範囲が狭くなるとされているんですよね。今、豊中市歯科医師会の活動で、介護施設の往診も担当しています。また、要望があればご自宅への訪問診療も行っています。
「8020」の達成には子ども時代からのケアが重要
患者さんとのコミュニケーションを大切にされていると伺いました。

歯科医院側の意見と、患者さんのご希望をすり合わせて、その中でもできる限り最善と考えられる治療を進めていくようにしています。例えば、詰め物、かぶせ物など、選択肢が広い治療がありますので、歯科医師側の意見を押しつける形にならないよう、こちら側からはあくまでご提案をし、患者さんに考えていただくというカウンセリングをきっちり行っています。何よりも、患者さんがご自身の口の中の状態を把握していただくことが大切だと考えています。
診療を続けながら、研究会や勉強会などで研鑽し続けていらっしゃるんですね。
研究会では勉強や講演を続けています。歯が抜けた、折れたなどの「歯のけが」についてを研究する会なのですが、折れた後、抜けた後などの治療について、症例や情報・知識の共有を図っています。地域の方々に、主に外傷歯について講演をすることもあります。歯科は情報がどんどん新しくなりますので、日々勉強は続けていかなければいけないと考えています。
予防歯科にも力を入れてらっしゃいますね。

はい。特にお子さんの予防に尽力していますが、お子さん自身にはあまり強く言わず、親御さんに予防について必要なことを伝えていきます。歯が完全に生え替わるまで、できれば10歳頃までは、歯磨き後のチェックだけはお願いしたいです。また、歯科衛生士からも、汚れがどこにつきやすいかを細かく指摘してもらいます。永久歯が出ていても、乳歯が抜けずに残っている場合があります。早めに乳歯を抜かないといけないのですが、意外と気づいていないことも多く、虫歯や歯並びに影響してしまうんです。親御さんがチェックすることで、お子さん自身も歯磨きに興味を持ちますし、定期検診に行くことで歯科医院を身近に感じてもらえるようになります。80歳で20本の歯を残す「8020運動」がありますが、70歳頃になってから意識する方も多いんですよね。「8020」のためには、小さい頃からの意識づけが重要なんです。
歯科医療でこの地域に貢献
診療の際に、心がけていらっしゃることはありますか?

「ここに来たら大丈夫になった」と、当院を出る際は笑顔で帰ってもらうことです。つらい痛みや思いをされて来院されていますので、患者さんには治療中は優しく接するように心がけています。当院は子どもの患者さんが多く来られますが、歯科医師や歯科衛生士がいろいろ細かく言っても、結局は親御さんやご家族から言われないと、自宅でのケアや生活習慣などを守ることは難しいんです。僕ら歯科医院ができることは、歯の健康への「きっかけ」だけです。患者さんと治療をともにしていくためのお手伝いをする立場だと思っています。痛みが取れれば終わり、ではありません。口腔内の健康状態を維持していただくことが何より大切だと思い、治療にあたっています。
今後、どういうふうに診療を続けていきたいですか?
誰もがちょっと寄ってみようかという、親しみやすく通いやすい歯科医院でありたいです。親御さんだけでなく、高齢者の方にとっても、この歯科医院に行けば誰かに会えると思っていただけるよう、蛍池のコミュニティ―スポットのような「寄り合い場所」にしていきたいんです。この地域はファミリー世帯が多いのですが、高齢のご夫婦の2人世帯も少なくありません。高齢の患者さんが予約時間に来られないと心配しますが、連絡を取ることでお元気であることが確認できます。医療という側面から地域のコミュニケーションの拠点となり、歯科医院に親しみを持ってもらうことができればと考えています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

「歯のお掃除だけで行っていいんですか」とよく聞かれるんですが、着色汚れを取りたいなどでもまったく構いません。気になることがあれば、自分の不安な気持ちを少し聞いてほしいというだけでも、いつでも気軽に立ち寄っていただきたいと思います。僕の願いは歯科医療でこの地域に貢献すること。その際に、僕が持っている技術や知識が、皆さんの歯の健康に役立つことができればうれしいですね。