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河野 和彦 院長の独自取材記事

名古屋フォレストクリニック

(名古屋市緑区/南大高駅)

最終更新日:2019/08/28

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南大高駅から徒歩7分。東海道新幹線名古屋駅からも、中部国際空港からもアクセスでき、高速道路も集まる便利な立地にある「名古屋フォレストクリニック」は、全国の認知症の患者とその家族から頼りにされているクリニックだ。30年間、多数の認知症患者を診察してきた河野和彦院長の診察は、笑いを交え、楽しくおしゃべりしているうちに、患者とその家族の生活を第一に考えた最適な薬の処方を見極めるという。よく怖く見られがちだと言う河野院長であるが、実際に話してみると人間味と庶民性にあふれ、患者目線を大切にしていることに驚く。実際に親を診てもらい涙した人もいるというほどだ。「僕は介護者の味方」と言い切る河野院長に、認知症治療に対する熱意やその想いを聞いた。
(取材日2016年5月23日)

認知症治療に長く携わった経験を元に認知症患者に光を

先生が認知症治療に携わるようになったきっかけは?

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名古屋大学医学部大学院の老年科に所属していましたが、当時の主力研究は動脈硬化でしたし、認知症を専門にしようという雰囲気は実はなかったんです。認知症に取り組むきっかけは、大学院時代のアルバイトでした。豊橋に巨大な認知症の医療基地があり、週1回、10年間勤務したのですが、そこの病棟では250人の認知症患者を診ている病院でした。当直していると、昼に徘徊するのがアルツハイマーで、夜に徘徊するのが脳血管性認知症といった特性があることに気がついてその分野に興味を持つようになり、認知症に取り組むようになりました。

30年間、多数の認知症の患者さんを診てこられた蓄積は、ものすごいものがありますね。

そうですね。医者の経験というのは、同じ患者さんを長く診ていく中で、アルツハイマーの初期症状と進行した症状との比較から学んでいくのです。ですので、ちょっとした初期症状から、これは認知症だ、これは年齢によるものだ、という診断ができるようになるには、長年同じ患者さんを診続けていく経験が大切になってきます。患者さんの長年の変化を見させてもらうということは、医者としてとても大事なものを得ることになるんですね。私の場合、そういった長年の経験によるものから、これくらいの体重で、これくらいの症状で、興奮するのは何時間で、といった患者さんの症状から、ちょうどよい量の薬を処方できるようになりました。

先生が開発された独自の認知症薬物療法にも、豊富な診療経験が生きていますね。

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病理背景を基盤とした従来の治療では、精密な検査をしても、逆に興奮させる薬が処方されてしまったり、検査では正常範囲の初期の患者さんには薬を投与することができなかったり、という現実があります。それは介護者にとって非常に辛い結果をもたらしてしまいます。介護者の負担をできるだけ減らしたいという思いからコウノメソッドは生まれました。診断名は同じアルツハイマーでも、攻撃的なアルツハイマーには、人格変化や行動異常があるピック病の薬を出したほうがマッチすることがあるのです。コウノメソッドは、怒りっぽい人には興奮を抑える薬を、落ち込んでいる人には元気になる薬を与えるなど患者さんのキャラクターで分類し、一人ひとりに合わせた東洋医学的なアプローチで治療する方法です。医師の指導のもと、ご家族と協力して薬の量を調節したり、サプリメントを処方することもあります。

雑談で楽しく診察、患者や家族を救う最後の砦に

先生を頼って、全国から患者さんが集まっているそうですね。

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はい、すごくありがたいことですね。初診数は年間1200名で、ここ最近はネットで探して来られる患者さんがものすごく増えました。一番遠かった方はブラジルからです。フランスから画家の患者さんが来院されたこともあります。私は42歳のとき網膜剥離にかかったことがあるのですが、その時手術をしてくれた新進気鋭の女性教授には沖縄から毎月通院する患者さんがいらっしゃることを知って以来、私も沖縄から患者さんがいらっしゃるくらい頑張ろうと思いました(笑)。今では、日本全国、海外からも毎月当院に通う患者さんが見えるようになったことは、やはり医師として誇らしく嬉しいことですね。

「コウノメソッド」を実践する医師も全国に増えているそうですね。

コウノメソッドは2007年からネット上に無料で公開し、毎年内容を充実させています。コウノメソッドに賛同し登録している「実践医」は現在、全国に約350人います。最近、のれん分けのような形で、新横浜フォレストクリニックと千葉の市川フォレストクリニックができました。わらにもすがる状態の患者さんや家族を救う最後の砦として、みんな活躍しています。

大勢の患者さんがいらっしゃるなか、診察で心がけていらっしゃることはありますか?

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僕の診察はほとんど雑談しているように見えるかもしれません。CTをとる前に、話し方やしぐさ、表情、姿勢や態度で、診断のあたりをつけているんです。歩いてくるところから見て、しっかりとコミュニケーションをとり、濃密な診察を心がけています。診察も、根ほり葉ほり苦痛なことを聞き出すのではなく、世間話をしながら、知らないうちに知能検査をされていたというふうにしていかなければと思っています。長年通ってもらうためには、ここにいる時間が楽しいと感じてもらわなければいけませんから。漫才でいうところのボケ役に僕がなって、冗談を言いながら、患者さんにもご家族にも楽しい時間を過ごしてもらいたいと思っています。介護をしているご家族からも「ここへ来るとほっとする」とよく言われます。とても神経質で落ち込みがちなご家族には悲観的なことは言わないようにしたり、診察の間にご家族の性格も判断して対応しています。

治療も家族の気持ちを汲んで。介護者の味方でありたい

患者さんやご家族に伝えたいことはありますか?

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お互い楽にやりましょうということですね。「薬に頼らず人間的な介護を」というのが理想的だと考える人がいるかもしれません。しかし、介護をしている方はみなさん疲れていらっしゃいます。だから、薬で介護を楽にできれば決して悪いことではないのではないかと思っています。家族は最高の名医だ、ということも伝えたいですね。ご家族が「認知症かな?」と患者さんを疑われた場合、本当に認知症であることが多いんですよ。穏やかだった人が怒りっぽくなったりといった質の変化は、やはり一緒に暮らしている人にしかわからない。だから、家族は最高の名医だと私は考えています。また、治療に関しては、必ず介護するご家族の気持ちを汲むようにしています。僕は介護者の味方であろうとも思っているのです。もちろん患者さんを愛しているけれども治療をすることで、そのご家族である介護者を苦労させてはいけないと思っているからです。

先生のご趣味は?

大学時代は準硬式野球部だったこともあり、メジャーリーガーのグッズ収集が趣味です。日本人のメジャーリーガーのサインボールや実使用のバットもありますよ。実使用のバットをよく見るとゴロにしてヒットの確率を上げるために、ちゃんと芯から外したところで打っているその選手のすごさがわかります。その選手も最初は同じ背番号51のメジャーリーガーを目標にしていたように、すごい人には必ず目標とする人がいます。ですから僕も、世界一の人たちのグッズに刺激されて意識を高めるようにしています。あとは医療日誌のような感覚でブログを書くことも趣味です。

最後に、読者に伝えたいことがあればお願いします。

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高齢者の治療において、100人いる同じ病名の人に対して、100人ともに同じ治療をする医療には限界を感じています。高齢になるにつれて人の個体差が広がってくるのに、疾患に対して画一的な治療をすると、個体差によるズレのほうが大きくなり、副作用が生じてしまうのです。僕はずっと東洋医学、漢方に興味があって、認知症に取り入れてきました。今でこそ知られるようになってきましたが、日本は明治時代以降、東洋医学の勢いが衰えてしまっています。しかし、高齢社会においては、東洋医学的な発想で、患者さんのキャラクターと体質に合わせて薬を微調整し、一人ひとりを考えていく医療が必要だと思います。これから団塊の世代と言われる人たちが、高齢者になっていきます。そうなってくると、私一人では診きれません。認知症を診れる医師が一人でも増えるように、コウノメソッドを広めていきたいと考えています。

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