後戻りができない歯科治療
適切な診断と治療順序の決定
椿歯科クリニック
(岡山市北区/岡山駅)
最終更新日:2022/11/30


- 保険診療
虫歯治療を受けたのに治療を繰り返し、結局抜歯に至った経験のある人も多くいるのではないだろうか。歯も身体の一部、治療には診断が必要。診断とは治療の根拠を明らかにするもの。検査から現状を把握し、治療目標を決め、そこで初めて治療手段、順序が決まる。ここを間違えると後戻りができないのが歯科治療の特徴。歯科治療の目標は、生体侵襲を最小限に抑えてリスクを回避し、治療を何度も繰り返すことなく、きれいで機能的な結果を得ること。そのためのCTスキャンやマイクロスコープといった先進機器は「現代歯科治療の必須機器だと考えています」と話すのは木庭茂治院長。歯科先進国だという米国で学んだ経験から、同院ではマイクロスコープを使った治療に注力している。
(取材日2022年10月4日)
目次
歯科治療の特殊性
- Qセカンドオピニオンについて教えてください。
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A
▲根管治療において研鑽を積んできた木庭院長
セカンドオピニオンとは、病気の診断や治療方針について他の歯科医師に第2の意見を求めることです。主治医には治療を始める前に、その治療を進める理由をはっきりと確認しておくことが重要です。それぞれの治療方法のメリット・デメリット、放置していた場合の予後を聞いておいてください。歯科では最初の治療内容がその後を大きく左右します。特に痛みの治療は注意が必要です。自分の体です。安易に考えないで治療を開始してください。当院にセカンドオピニオンで来院される方で多いのが、歯の根の治療で「半年以上通院しているが治らない」とおっしゃる患者さんです。
- Q特に専門とされている根管治療とはどのような治療でしょうか。
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A
▲肉眼では見れない部分も鮮明に見えるマイクロスコープ
一般的に「歯の神経の治療」や「歯の根の治療」と表現されるのが、いわゆる根管治療(歯内療法)です。大きな虫歯で神経を取る治療を「抜髄」、神経を取る治療がうまく行かず歯の中が感染し、感染した組織を治してゆく治療を「感染根管治療」といいます。感染が広がり、歯の根の外に病変ができると治療はたいへん困難になり、抜歯になるケースが多いのが現状です。抜髄、感染根管治療とエビデンスのある適切な処置が必要となります。
- Q米国でマイクロスコープを駆使した根管治療を学ばれました。
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A
▲セカンドオピニオンやリカバリー目的での来院も多い
はい。マイクロスコープは肉眼では見えない部分まで鮮明に見ることが可能ですが、マイクロスコープが治すわけではありません。根管治療の専門的知識・技能はもちろん、治療が正確にできる設備・環境がそろっていなければなりません。米国の根管治療の専門医は、マイクロスコープを高い水準で操作できなければなりません。当院では、米国で学んだ根管治療を保険適用で行っています。ご心配の方はぜひ一度相談に来ていただきたいですね。
- Q根管治療の注意点を教えてください。
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A
▲綿密な治療計画を立てて治療を進めていく
根管治療の原則は、治療で感染を起こさせないことです。そのためにも神経を取る治療(抜髄)は原則1回を基本とします。抜髄後何らかの理由で感染を引き起こした際に行う感染根管治療は非常に高度な専門的技術を必要とします。間違った治療が繰り返されれば抜歯に至るケースもあり得ます。そうしたことが起こらないよう、当院では抜髄を1回で終えられるようにしています。歯の根の治療に何ヵ月も通うことはありません。
- Q先生が精密な治療にこだわる理由をお聞かせください。
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A
▲患者とともに理想の口腔内環境をめざす
元来人間の身体は驚くほど精緻につくられています。失った組織を修復材料で元どおりに戻す事はできません。虫歯も細菌感染です。治療後また治療したところへ細菌が侵入しないよう精緻な治療が必要なのです。現代歯科医学は驚くほど進歩しています。私たち歯科医師は常に進歩する歯科医学・技術を研鑽するとともに、マイクロスコープなど近代治療機器を駆使した精密治療を行うことのできる診療体系を敷いておかねばなりません。精密治療は医療の大原則です。