山中 幹基 院長の独自取材記事
やまなかクリニック
(大阪市福島区/野田阪神駅)
最終更新日:2025/09/08
野田阪神駅より徒歩1分の場所に「やまなかクリニック」はある。泌尿器科クリニックが少ないというこの地域で、日々多くの患者の悩みに耳を傾けているのは山中幹基院長。多くの病院で経験を積んできた泌尿器科のエキスパートだ。性機能の診療・研究の先を行くカリフォルニア大学サンフランシスコ校への留学経験もあり、性機能障害や男性不妊への造詣も深い。「一人で悩まずに、まずは気軽に来院してほしい。そしてなんでも相談してほしい」そう話す山中院長の笑顔には、優しさと自信があふれている。デリケートな悩みであるからこそ、一人ひとりに寄り添った診療を大切にしているという山中院長に、医師としてのこだわりやクリニックについて話を聞かせてもらった。
(取材日2018年5月11日)
泌尿器疾患を経験し、泌尿器科への入局を決意
医師を志したきっかけを教えてください。

子どもの頃から憧れていたというわけではなく、将来のことを具体的に考えるようになってきた頃に意識したのが最初です。僕はどちらかというと文系科目が好きで、中でも歴史や地理なんかに興味があったんです。でも地理に没頭してできる仕事って何だろう?と考えた時に、具体的なイメージが膨らみませんでした。そこで理系に進むことにしたんです。理系にももちろんいろいろとありますけども、どうせならコンピューターや機械とより人と直接関わる仕事がしたいな、理系で人と関わる仕事といえば医者かな?と思い、医師をめざすことにしました。大学は高校の修学旅行で行った北海道の夕日に魅せられて、北海道大学医学部に進みました。親元から独立したい年頃だったこともあり、北海道での学生生活はとても充実したものだったと思います。
泌尿器科をめざしたのはなぜですか?
人と接することに重きを置くなら、やはり内科系かと思いましたが、手術室で執刀する外科にも憧れがありました。そこに浮かび上がったのが泌尿器科でした。泌尿器科は内科と外科の両方の要素があり、初診で診た患者さんを最後まで治療できるし、専門性も高く、やりがいもあるのが魅力でした。そして自分自身が尿管結石を患ったことも決め手の一つとなりました。
大学の性機能についての外来部門の立ち上げにも尽力されたそうですね。

2年の泌尿器科初期研修の後、赴任した倉敷の病院でのことです。そこでまだ黎明期だった性機能障害の診療に携わる機会を得ました。当時自分はまだ若く、また、性的なことは公にするような時代ではなかったこともあり、60代、70代の方々が性機能のことで悩んでいるなんて考えてもみませんでした。しかし師事していた先生がそういった方々の悩みに耳を傾け、真摯に向き合っている姿を見て、自分がいかに思慮が浅かったかを思い知りました。若い自分にとっては他人事な悩みであっても、その人にとっては大問題なんです。せっかく医師になったのだから、その人たちの悩みに応えたいと思ったし、行き場のない患者をつくらないためにもこういう外来が必要だと思いました。大学に戻ることになったときに、当時の教授に相談したところ理解を示していただき、専門の外来を立ち上げることになりました。
男性の性機能や生殖に関する悩みにも対応
男性不妊の診療にも数多く携わってきたそうですね。

ひと昔前まで女性の不妊治療に比べると、進歩が遅く研究があまりされていない分野だったんですよ。時代背景もあり、不妊は女性の問題とされて男性は表向きには関係ないものとされていました。しかし、現代の研究結果からもわかるように、不妊の原因は女性側だけではなく、男性側にあることも少なくありません。子どもを望んだ時「もしかして?」と不安に感じても、男性が相談に行く場所は少ないんじゃないかなと思います。そもそもどこに相談に行ったら良いのかわからない方も多いんじゃないかな。当院は近隣のレディースクリニックなどとも提携していますので、男性で生殖に関する不安がある方は気軽に相談に来ていただけたらと思います。
開業を決意したのはなぜですか?
医師になり、一通りいろいろ経験をさせてもらい、自分がしたいことは何かな?と改めて考えました。実地臨床から基礎研究まで幅広く経験させてもらえて、アメリカへの留学の機会も得られた。これまでのすべてを振り返って考えてみると、自分は不妊、性機能を含めて患者さんのQOL(生活の質)に関わる治療をやっていきたいなと思いました。これらの病気は患者さんの悩みをじっくり聞いて、丁寧に向かい合い、時には長期間にわたって一緒に取り組んでいかなくてはいけません。そのためには大規模な病院の限られた診察枠では自分が理想とするような診療ができないなと考えたのがクリニックを開設した大きな理由です。
現在のクリニックはどんな患者さんが多いのですか。

ざっくり言って男性が7割、女性が3割の比率で、高齢の方や、若い方もいらっしゃいます。症状はさまざまで、膀胱炎や尿管結石のような頻度の高い疾患もありますし、性機能や男性不妊、性感染症の相談もあります。排尿に関わる疾患は毎日の生活に大きな影響を及ぼします。あまり我慢せずに、気軽に来てもらいたいなと思いますね。基本的には泌尿器科のほぼ全分野の疾患に対応していますので、どんな小さな悩みでも気軽に相談してみてください。また当科の近隣には泌尿器科スタッフが充実した総合病院が多くあり、緊密に連携していますので、安心して受診していただきたいですね。
自分も楽しみ、患者の人生を豊かにする手助けをしたい
診療の際、心がけていることはありますか?

泌尿器科はハードルが高い科だと思います。恥ずかしいと思う方が多いので、受診をためらう方も多いんです。ですから、まずはそのハードルを下げられるようにと思っていますね。問診の際も患者さんが言いにくそうなことは、先にこちらから言葉にしたりして、できるだけ話しやすくなる工夫をしていますね。それから過剰な検査をしないこと。心や身体の負担が大きくならないように、患者さんの状態やライフスタイルに合わせて、診療内容や検査内容を考えるようにしています。その人その人に合わせた対応をしていくことを大切に考えています。もちろん、いきなり内診や局所の診察をすることはないですよ。その点は安心してほしいなと思います。
先生のモットーを教えてください。
「まずは自分が楽しむ」です。「楽しむ」というと「手を抜いて楽(らく)をする」意味にとらえられることもありますが、決してそのようなことではなく物事をポジティブに考えていこうとする姿勢です。開業当初の頃はさまざまな業者さんとの交渉、人事・金銭管理など、勤務医時代には経験しなかった問題に直面してストレスをためることが多くなります。そんな時に先に開業していた先生から「せっかく自分が思い描いていたクリニックを実現しようとしているのだから、楽しまなきゃ損だよ」という言葉をかけられました。「面倒なこと」「やっかいなこと」を、今までしてこなかった社会勉強を楽しませてもらっているんだと考えると、肩の力が抜けました。やはり患者さんを癒やすことは、自分の気持ちにゆとりがないとできないからですね。
最後に今後の目標を教えてください。

特別なことじゃなく、気軽に来ていただけるクリニックにしていきたいですね。泌尿器科に関わる不調を感じた時、「よし、相談に行こう」と思ってもらえるようになれたらなと思います。そのためにもこの場所にしっかりと根を張って、しっかりと診療して、しっかりと治療する日々を大切にしていきたいです。しっかり治すことで患者さんの生活を豊かにし、患者さんが人生を楽しむ助けになれば、それは自分にとってもうれしいことです。楽しんで診療をし、患者さんと良いコミュニケーションを取って、患者さんが望む楽しい毎日に近づけるように頑張っていけたらなと思っています。一人でも多くの方々と出会えることを楽しみにしています。そして、一人でも多くの方の悩みを解決する手助けができればと心から願っています。

