正 健一郎 院長の独自取材記事
眼科やまなか医院
(神戸市東灘区/御影駅)
最終更新日:2024/08/09
阪神本線・御影駅南出口のすぐ目の前。複合施設のメディカルフロアの一画にある「眼科やまなか医院」は、日々の目の病気やトラブルに対する診療から白内障をはじめとする眼科手術まで、幅広く対応する地域密着の眼科クリニックだ。院長を務めるのは、大学病院や関連病院での長い経歴を持つ医学博士であり、網膜硝子体の専門家でもある正健一郎(しょう・けんいちろう)先生。その穏やかで丁寧な語り口から、誠実で優しい性格が伝わってくる。大学病院にも匹敵する高いレベルの医療をめざす同院では、どのような設備やチーム体制で診療を行っているのか、自身の考えや本院との連携を含め、その秘密にじっくりと迫ってみた。
(取材日2024年7月17日)
一般眼科診療から手術まで、気軽な雰囲気で出迎える
まずは医院の概要と、先生が院長に就任された経緯をお聞かせください。
当院はJR神戸線・住吉駅の駅ビル内にある山中眼科クリニックの分院として、開院しました。私が副院長として入職したのが2016年で、その後院長を継承し、2022年に現在の場所に拡大移転しました。それまで私は関西医科大学の付属病院や関連病院に20年間も勤務して助教や医長などを務めていました。そんな中で学生の指導や雑務にも追われるようになり、自分のやりたい医療がなかなか実践できずにいました。しかし私の本分はあくまで臨床家。もっと力を発揮できるところはないかと探したところ、偶然にもこちらの法人との出会いがあり、前任の院長や現在の理事長である山中昭文先生の人柄に惹かれ、入職することになりました。
広々として落ち着いた、すてきな空間ですね。
当院にはさまざまな先進的医療機器がそろっていますが、それを強調することなく、誰もが安心して過ごせるようなリラックスした空間というのが山中理事長のコンセプトです。内装は温かみが感じられるよう全体にアメリカンチェリー材を使用し、待合には音楽CDや絵本のディスプレーがあります。診療スペースには2つの診察室や明暗の検査室のほか、手術室やリカバリールームも備えています。リカバリールームは前室も兼ねており、ゆったりとしたシングルソファーを2台置いています。鍵つきのロッカーも特注で、こちらも木目調の高級感のある造りです。主人公はあくまで患者さん。そんな理事長のホスピタリティーが、こうした細部にまでしっかりと込められています。
現在の診療体制について教えてください。
住吉の本院は手狭で手術室がなかったため、手術までしっかり提供できる施設というのが当院の設立の動機でした。話によると、当時はまだ東灘区に眼科の日帰り手術ができるクリニックが不足していて、「認知症の妻を置いて入院はできない」と、ご年配の男性から強く切望されたことがきっかけだったと聞いています。現在、手術に際しては理事長の他、さまざまなスペシャリストを招いてここで治療を行ってます。スタッフは看護師2人と視能訓練士が3人。その他を含め、総勢10人という体制で院内を切り盛りしています。大学病院のような大所帯ではありませんが、チームとして十分に能力を発揮してくれるため、私もストレスなく仕事ができて感謝するばかりです。
大学病院レベルの先進機器と診断技術でニーズに応える
先生は網膜硝子体の専門家だとお聞きしています。
私が入局した関西医科大学の眼科教室が網膜に関する専門性が高く、それで私もその分野を専門とすることになりました。例えば加齢黄斑変性の治療ですが、当時はまだ外科的な手術治療しかなく、治療のかいなく視力を失ってしまう方もおられました。「病気を治せたとしても患者さんを治せていない」というのは、まさにこのことです。これに対して新たに登場したのが、メディカル・レチナという非手術的な網膜治療の概念です。硝子体注射(抗VEGF療法)を用いれば低侵襲で進行抑制を図れる上、従来の視力を確保することが期待できます。当時はまだ一部の大学病院でしか行われておらず、その進化とともに私も歩んできたわけですね。ちなみに前任の院長も、進歩的な網膜硝子体手術の日本におけるパイオニア的な医師として知られています。
こうした先進的な治療を実現するには、どのような設備が必要でしょうか?
メディカル・レチナは手技的に複雑なものではありませんが、それに先立つ高い診断技術や理論的思考に基づいた診断計画が要求されます。それを実現するのが眼底三次元画像解析装置(SS-OCT)という検査機器で、通常のOCT(光干渉断層計)より奥まった部分まで見える上に、造影剤を使わずとも血管造影と同様の診断が可能です。一般的には通常のOCTを導入している医院も多いのですが、当院では機器の更新のタイミングで大学病院と同等の眼底三次元画像解析装置の導入が実現しました。ほかにも当院には光学式眼軸長計測装置や波面収差解析装置、手術室には超音波白内障手術装置や術中ガイドシステムといった大学病院以上ともいえる設備が整っています。一般の方には難しいかもしれませんが、地域の開業クリニックにもこうした設備環境があることを、ぜひ知っていただきたいですね。
診療時に心がけていることは?
言葉使いや態度には十分に注意して、できるだけ丁寧に接することです。ここはアクセスも抜群ですから、さまざまなバックグラウンドを持った患者さんがいらっしゃいますが、誰に対しても平等に接するのが医療の鉄則ですから、心は許しても砕けすぎず、いつも襟を正してお迎えするよう心がけています。あとは皆さん、目に不具合があって来られていますから、ご高齢の患者さんに限らずいろんな配慮が必要です。説明時には難しい言葉は使わず、ゆっくりとわかりやすく行うことも大切ですね。どんなに専門的な知見を備えていても、地域のホームドクターという重要な役割を忘れてはならないと肝に銘じています。
地域で一番と呼ばれる眼科クリニックをめざして
先生が眼科医をめざした理由を教えてください。
私はこの隣の芦屋市の出身で、祖父から父、私へと3代続く眼科医の家系です。そのことはもちろん意識していましたが、物理が好きだったので最初に入った大学は理学部でした。3年生になって就職活動が始まりましたが、そこでいろんな職業に目を向けているうちに医師という仕事が気になり始めたんですね。自分も医師になって家業を継ぐのもいいのではないか。そう考えて卒業後に金沢医科大学の医学部に入り直しました。その後、関西医科大学大学院へ進み、博士号も修得して手術や研究、後進の指導などに明け暮れることになりました。当院において、私自身の強みを生かした診療を提供したいと考え、メディカル・レチナの治療にも注力しております。
現在もこの地域にお住まいとのこと。
はい。今も家族と近隣のエリアで暮らしており、息子はまだ小学生です。私から勧めたことはありませんが、本人は眼科の医師をめざしてみたいと口にしています。代々眼科医師なので、そう感じさせているのかもしれません。休日は家族と出かけることもありますが、普段はもっぱら家事の手伝いです。ただ、昔からジャズドラムをちょっとかじっており、今は自室のサイレントドラムで吹奏楽の練習などに精を出すこともあります。そんな過ごし方ができるのも、ワークライフバランスにも配慮した法人の方針があればこそ。当院で働くことができて本当に良かったと、いろんな意味でつくづく感じます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
まずお子さんですが、今はスマホやタブレット、ゲーム機などの影響で近視の子がすごく増えています。当院ではオルソケラトロジーも行っていますから、ちょっと見えにくい、眼鏡をつくりたいという理由でも構いませんので眼科に連れてきてください。現役世代が気をつけたいのは眼精疲労やドライアイですね。市販の点眼薬だけに頼らず、ぜひ一度眼科にお越しください。ご高齢の方は、とにかく定期検査が大事。3ヵ月から半年に1回、定期的に眼科でチェックを受けることが安心につながります。どの世代であっても、気になる症状があれば絶対に放置せず、信頼できる眼科を速やかに受診してください。皆さんに、少しでも健やかに過ごしていただきたい。そんな思いを忘れずに、地域で一番といわれる眼科クリニックをチーム一丸でめざしていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー
・初期費用
検査代、レンズカスタム費用及び使用料
検査代 1万1000円
レンズ(両目の場合) 6万6000円
レンズ(片目の場合) 3万3000円
・治療費
両目 8360円(月額)
片眼 6160円(月額)