大川 洋二 院長の独自取材記事
大川こども&内科クリニック
(大田区/矢口渡駅)
最終更新日:2026/06/25
2000年に開業し、長年地域の子どもたちの健康を支えている「大川こども&内科クリニック」。大川洋二(ひろじ)院長がめざしているのは、「子どもに関わるすべてのニーズに応えられるクリニックをつくる」こと。クリニックでは、小児内科を中心としながら、患者の訴えをしっかり聞く、じっくり診療するための外来を設置し、子どもの発達障害や親の子育ての悩みまで幅広くサポートしている。さらに、病児保育室や子育て相談専門窓口「すくすく相談室」なども開設。最近では、特にこまやかなケアが必要になる小児科だからこそ、かかりつけ医をつくることが大切であると地域の人たちに伝えている。そんな大川院長に、小児医療に対する現在の想いを聞いた。
(取材日2026年3月24日/更新日2026年6月24日)
地域の子どもたちの健康を支えるために尽力
2000年の開業から多くの患者さんを診ている大川院長ですが、どのような想いで開業されましたか?

大学での30年間は白血病や免疫不全疾患を専門としており、特定の疾患を突き詰めていく研究や治療をしてきました。いざ開業をしてみると、専門だけではなく、地域に根差した医療を行うことが大切だと感じました。そのため、当院では地域の子どもの医療に関するニーズを理解し、問題を解決していく場所として、さらに高い医療レベルを追求した診療を提供していきたいとの想いで「子どもに関わるすべてのニーズに応えられるクリニック」をめざしています。いろいろな分野の専門家の協力を得て、提供する医療レベルを保ちつつ、守備範囲を拡大しています。
診療において大事にされていることを教えてください。
私は「やりすぎない医療」という考え方を大切にしています。必要最小限の医療を行い、できるだけ本人の免疫力で回復していただきたいと考えています。子どもの病気の多くはウイルス性の疾患なので、自然に治ることが見込める病気が多いんです。そういった疾患に無駄な薬、例えば、抗生剤を使うと腸内細菌も死ぬことが見込まれ、免疫が落ちることにつながる場合があるので、抗生剤は必要な患者さんにのみ使用します。もう一点、より専門的な医療が必要なときは、専門施設に速やかに紹介することも大事にしています。
診療の際、トリアージシステムを採用されているそうですね。

当院では「トリアージ看護師」と呼んでいる待合室にいる看護師が、来訪された方の重症度を判断し、重症の方から優先的に診るシステムを導入しています。一定の基準を設けており、例えば、熱が40度近い、熱性けいれんを起こしている、脱水を起こしているといった方は優先的に診ていきます。また、重度の発達障害の子は閉鎖空間で長時間待つことが難しい場合もあるので、早めに診るようにしています。そうなると、順番を抜かされる患者さんが出てきますが、重症のお子さんが優先ということは自身のお子さんが重症の際は優先されるとご理解いただけているようで、不満が出たことはありませんね。
専門の外来を多く開設し、患者一人ひとりに寄り添う
クリニックの特徴は、専門の外来が充実しているところですね。

ありがとうございます。専門の外来として設けているのは、アレルギー、夜尿症、内分泌、神経、発達についての外来などで、じっくり診療するための外来では不登園や不登校などを診ています。一般外来ではなかなか聞ききれない症状や悩み、例えば、夜尿症、チック症、起立性調整障害、立ちくらみなどですが、それらを抱えている人に向けて、15〜30分話を伺う外来です。ここでは、私が診察を担当しており、症状を聞いて、専門の外来などへの振り分けを行っています。院内にある児童精神科と連携を取って医療的なケアを行ったり、もしくはカウンセリングシステムへ回したりしています。また、お子さんだけではなく、子育てで悩んでいる親御さんへのサポートにも力を入れています。育児で悩んでいたり、子どもの発達について不安を持っていたりする方の相談に乗っています。
先生は、院外の活動でも発達支援に関する取り組みに注力されているそうですね。
はい。じっくり診療するための外来での診察で、必要があれば、トレーニングやカウンセリングなどを通した学びの場を提供しています。トレーニングやカウンセリングなどを通して学びの場を提供できるように、発達支援施設の開設に携わりました。この取り組みは2017年から始めたもので、もう10年近くになりますね。発達の凸凹や神経発達症などの多動傾向があったり、コミュニケーションが苦手な子にもきめ細かくケアをしていきます。「おとなしく家にいなさい」ではなく、われわれは、子どもが自身の力で社会生活ができるよう、自立と社会参加をめざしています。
医師・スタッフともに各分野のエキスパートが集まっていると伺いました。

当院には多様な専門の外来があり、専門知識を有する医師・スタッフが60人以上在籍しています。日本小児科学会小児科専門医の佐々木章人先生、日本アレルギー学会アレルギー専門医の大柴晃洋先生、小児科専門医、日本血液学会血液専門医の野上由貴先生をはじめ、各分野のエキスパートが集結しています。豊富な人材の知見を組織全体で生かすため、月1回のミーティングを行っており、今流行している病気や医療体制をどうするかなどを口頭で説明し、書面にまとめて全体へ共有しています。そこから看護師、保育士、発達の各部門の細かいところまで伝わるようにしています。医師のみならず、すべてのスタッフへの連携を徹底しているところが当院の強みです。
子どもだけではなく、親のサポートにも力を入れる
病児保育室も手がけられているそうですね。

はい。現代では共働きの家庭が多く、子どもが病気の時に、親は会社を休まないといけなくなります。その際に、病気のお子さんが過ごすのに適した、入院に準じる医療環境を提供し、保護者の方には安心して仕事をしていただきたいなと思ったのが開設のきっかけです。病児保育に預けることで、親はストレスなく仕事ができ、夜はわが子と抱き合って寝たり食事をしたりすることができると思います。子どもも落ち着いた環境で日中を過ごすことができますし、親の満足度も高くなると思います。最近は育児休暇が取りやすくなりましたが、それでも仕事を他の人に頼みにくい方だと、簡単に休めないこともありますよね。仕事を休むと、少なからずキャリアアップにも影響を与えることがあると思います。ですので、特に母親に対して、ジェンダー関係なく社会で活躍できるような環境を提供したいと思い、病児保育を始めました。
病児保育に対する地域の方の反応はいかがでしょうか。
利用を希望される方々から「病児保育がなければ子育てと仕事の両立ができなかったと思うから、感謝しています」という声をいただき、こちらも励みになっています。近年、共働き家庭の増加や核家族化が進んでいて、家庭内で看病を抱え込まざるを得ないケースは増えています。社会全体としても、子育てと仕事の両立を支える風潮は高まってきてはいますが、子どもの体調不良はコントロールできるものでもありません。保育園には預けられないものの、看病や入院が必要なほどでもない、というときも多々あるでしょう。そのようなときに病児保育を利用していただきたいですね。お困りの際は、お気軽にご相談ください。
今後の展望について教えてください。

今後も、お子さんの診療からご家族の育児相談まで、全人的なケアを続けていきたいと思っています。また、少子化が進行しているため、一人ひとりを大切に育てる傾向があり、こまやかな小児医療や育児支援を提供していくことが重要だと感じています。そこで、今年の4月から小児科かかりつけ医登録を始めました。0〜6歳児くらいまでの乳幼児に関しては、より丁寧な医療提供が必要なので、なるべくかかりつけ医に登録していただくことをお勧めしています。かかりつけ医にご登録いただくと、医療に関する各種サービスを受けやすくなりますし、予防接種をはじめ医療に関するプランを立てやすくなります。お子さんのいるご家庭では、ぜひ知ってもらいたいですね。

