“新しい命”を母親の腕の中に無事届ける
不育症の検査・治療
ふじたクリニック
(大阪市中央区/日本橋駅)
最終更新日:2021/10/12
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妊娠はするが胎児が育たず、流産や死産を繰り返す。これは広く知られる“不妊症”ではなく、今では“不育症”と呼ばれている。奇形や染色体異常など、胎児側にはっきりとした要因が見いだせる場合以外は、流産の原因は不明とされることが多かった。しかし現在は、そのいくつかが判明し、検査での診断が確立されつつあり、治療への取り組みが進んでいる。妊婦の責任論へと傾きがちな流産も原因がわかれば心理的な負荷は和らげられ、そして当然、次の妊娠・出産に向けての可能性を広げることができる。「ふじたクリニック」の藤田富雄院長は、不育症という言葉がまだ周知されていなった30年以上も前から、この難題と向き合い続けてきた。その藤田院長に、同院で行う不育症の検査や治療について、教えてもらった。
(取材日2018年10月10日)
目次
30年以上立ち向かい続けた不育症。積み上げた知識と経験で、子どもを望む切実な願いに笑顔を届ける
- Q不育症について教えてください。
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A
不育症とは、妊娠はするけれども赤ちゃんがおなかの中で十分に育たず、初期妊娠であれば流産を、また中期や後期まで妊娠が続いても子宮内胎児発育不全、子宮内胎児死亡などを起こす疾患の総称です。流産や死産を繰り返す場合、それが避けることのできない偶然の流産なのか、他に何か原因があるのかを見極める必要があります。もし何らかの原因が考えられるならば、次回の妊娠に備えて対処することができますよね。ですが、原因究明に踏み込むことなく、多くの場合が「また頑張りましょう」と励まされるだけというのがとても多いと感じています。もし2回以上流産を繰り返しているようなら、一度検査をしてみるべきでしょう。
- Q偶然の流産というものも多いそうですね。
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A
感染症や妊娠中毒症、妊娠糖尿病など流産にはさまざまな原因がありますが、避けることのできない自然の流産が起こることも珍しくありません。卵子に偶発的に発生した染色体異常で起こる流産がそうしたもので、治療や予防は困難とされています。これは女性の加齢による卵子の老化が主な原因で、流産リスクの筆頭といえるでしょう。受精卵には異常がないけれど、血流が悪くて酸素や栄養をうまく送ることができなかったり、血液が固まりやすくなっていて胎盤内で血栓が作られたり、また子宮の形の異常があるといった、赤ちゃんを受け入れるお母さんの状態に問題がある場合にも流産が起こります。それらの原因を探り出し、治療へとつなげていきます。
- Qどのような検査をするのでしょうか?
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A
これまでの妊娠歴や、また何週目での流産かなどの詳細な問診と、血液検査やおりもの検査などを行います。特に重要なのが赤ちゃんを育てる胎盤の病理検査。それらの検査を総合して問題が赤ちゃん側なのか子宮内の環境にあるのかなど、ある程度の原因を判断していきます。そのために、流産時の子宮内容物病理組織標本について産婦人科の先生へ依頼し、持参していただくようお願いしています。ただし、それでも原因が100パーセント判明するわけではありません。その場合は十分な説明の上、相談しながら治療方針を決定しています。検査の開始は、流産後少なくとも月経が1回来てからが良いでしょう。
- Q治療はいつから行うのでしょうか。
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A
治療は妊娠前からが原則です。これまでの検査でお母さん側の血流に問題がある場合、膣内細菌叢に問題がある場合、それらを改善するために内服治療を行います。喫煙と肥満も、重労働も望ましくありません。こうした生活習慣や就業スタイルも改善し、次の妊娠に備えることも必要です。妊娠してからの通院は、最初は1~2週間に1回、安定期に入ると1ヵ月に1回というのが基準。超音波検査で赤ちゃんの形態上の異常がないか、子宮動脈をはじめとした赤ちゃんへの血流の流れの検査などを定期的に行い、赤ちゃんが元気かどうか観察を続けます。
- Qクリニックを訪ねる場合の心構えはありますか。
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A
原因を調べるには、病理組織標本の見直しがとても重要です。けれど、検査結果や標本が残されていない場合もあります。流産時の手術の際は気持ちに余裕がないのは当然ですが、もし可能なら、産婦人科の先生に病理検査をお願いすることをお勧めします。ただ、先にも言いましたように、検査によって必ず判明するわけではありません。また、原因がわかっていない症例が多いのも事実で、だからこそ不育症に関する専門的な知識と十分な経験が求められます。どのようなケースでもきちんとした説明を行い、治療方針について納得のいくまで話し合うこと、そして何より、医師は患者さんの悲しみに寄り添うことが大切だと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは検査料/3万円~