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藤田 富雄 院長の独自取材記事

ふじたクリニック

(大阪市中央区/日本橋駅)

最終更新日:2019/08/20

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母親のおなかの中で子どもが十分に育たない。何度も流産を繰り返す。こうした「不育症」という難題に30年以上にわたって取り組んでいるのが、大阪・島之内の「ふじたクリニック」で院長を務める藤田富雄先生。胎盤での血流不全に対するヘパリン療法を行い、不育症に対する内科的治療で博士号を取得。これまでに数多くの胎児の命を救ってきた。そんな藤田先生に、流産や不育症の原因と治療についての話、つらい流産体験を経てなお子どもを産みたいと願う母親と、おなかの中に宿った大切な命に対する思いなど、専門家ならではの興味深い話をじっくり聞いてみた。
(取材日2018年8月20日)

新たな命の誕生を支えるクリニック

こちらは2008年に開業されたと伺いました。

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はい、今年の10月でちょうど10周年です。私は大阪大学医学部の内科出身で、大学ではヘモグロビン異常症の研究などをやっていました。その後、大阪府立母子保健総合医療センターの母性内科に25年ほど勤めました。私が診ている不育症の患者さんのおなかにいる赤ちゃんの様子を自分で診るべきだという思いが開業のきっかけでした。現在、医師は私と長男の2人で、長男は土曜日のみの勤務。当院の患者さんの約8割は不育症や流産に悩んでおられる方で、クチコミなどで当院の話を聞いて直接来られる方と、産婦人科クリニックからの紹介が半々です。

院長が不育症を専門にしたきっかけは何でしょう?

母性内科にいた頃、おなかの中で何度も赤ちゃんが亡くなってしまう患者さんがいらっしゃいました。妊娠はするけれど死産を繰り返す、いわゆる不育症ですが、当時はまだ不育症という言葉はありません。死産は一人の人間の死です。なぜそのようなことが起こるのか、私は内科の医師ですからいろいろと調べていくと、赤ちゃんを育てる胎盤で血流が悪くなることがわかったのです。そこでヘパリンという薬を次の妊娠時に使ったところ、妊娠初期に3回の死産をされたその方は2人の赤ちゃんを無事に出産することができました。この方のほかにも2年間で2人、妊娠中期に何度も死産を繰り返す患者さんが受診されたんです。

その方々も原因はわからなかったのですか?

はい。ただ私は必ず何かあると思い、欧米の文献を調べ、抗リン脂質抗体にたどり着いたんです。この抗リン脂質抗体症候群は、妊娠初期・中期に死産を繰り返し、その胎盤で強い梗塞が起こります。母性内科ではその梗塞を防ぐため、ヘパリンを使い治療に成功しました。当時は世界でも珍しい治療法でしたが、今では保険適用になっています。これらの経験が不育症を扱うきっかけですね。

診療におけるコンセプトを教えてください。

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ここに分娩施設はありませんから、赤ちゃんが生まれる前、あるいは妊娠する前にいかにベストを尽くして対応できるかが私たちの仕事です。普通、医療機関というと、なるべく元気に育って元気で生活し、長生きできるようにサポートするというのが役割ですよね。当院は少し大げさに言えば、新しい命の誕生に寄与するクリニックです。不育症や流産で、「仕方がないですね。次回、頑張りましょう」としか言われなかった方が多いようですが、その原因をはっきりとさせて、ちゃんとお子さんを授かるようにしようというのが私たちの最大のコンセプトです。

受精した瞬間から人の命は始まっている

こちらでは胎児の検査も行っていますね。

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胎児の検査は大きく分類して妊娠初期と妊娠中期の2種類があり、初期は超音波検査によってダウン症などを検出することが目的です。妊娠中期は主に胎児心臓の検査です。心臓に異常があれば、疾患によっては大きな総合病院での治療が必要になります。こうした検査は、必ずしもお勧めするわけではありません。どんな子でも育てようという意志で検査を受けないという方もいらっしゃいますし、検査を受けてダウン症だとわかっても産む選択をされる方もいらっしゃいます。

不育症治療のポイントを教えてください。

皆さん、だいたい3回ぐらい流産したら諦めてしまう方が多いようです。しかし、実際には、3回流産をした方が次に授かる可能性は半分ぐらいあると言われています。つまり偶然の流産が3回重なることだってあるんです。ですから、その流産が偶然なのか、何か原因があるのかをいろいろな検査で見極めることが基本となります。特に重要なのは赤ちゃんを育てている胎盤で、病理検査をすれば、赤ちゃん側に問題があるのか、血流障害や感染症など、お母さん側に問題があるのかがある程度わかります。また、膣というのは腸と同様に善玉菌が必要で、善玉菌がいる人といない人で妊娠率や出産率が全然違う場合があるということが、この2年ぐらいでわかってきています。

不育症や流産と向き合う上で意識すべきことは?

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もう20年ほど前のことですが、ラジオ番組で不育症についてお話をしたことがありました。その時にパーソナリティーの人から「なるほど。赤ちゃんは受精した瞬間が0歳で、生まれたときが1歳なんですね」と返され、そういえばそうだと、あらためて気づかされたんです。実際、数え年ではそうでしたから、昔の人のほうが理にかなった感性をしていたわけですね。この意識があれば、おなかの赤ちゃんがいっそう一人の人間として見えてくるはずです。外に出てくることが命のスタートではない。お母さんのおなかの中で、ちゃんと生きているじゃないですか。逆にいえば、流産も一つの死。そう捉えれば、理解を深めていただけるのではないかと思います。

大切なのは、諦めず希望をつなぐこと

患者さんに対して、院長が心がけていることを教えてください。

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不育症に限らず、一番大切なのは、やはり患者さんの悲しみや痛みを理解することです。あとは、その患者さんと巡り会えたこと、人と人との出会いを大切にすることですね。なぜなら、私たち医師は患者さんから学ぶべきことが数多くあるからです。以前、12回も流産を繰り返し、それでもなお赤ちゃんを産みたいという願いがかなって無事に出産された方がおられました。12年で12回の流産ですよ。ほとんど毎年のようにチャレンジされていて、本当に頭の下がる思いです。出産にせよ流産にせよ、世間には何かにつけて運命として捉える傾向があるでしょう。しかし私は、運が悪いのにも何か原因があるんじゃないかと思うんですね。不育症の原因や治療に関しては、人の手で解明できることがまだまだあると信じています。

院長が医師になった経緯を教えてください。

うちは広島で代々続く医者の家系で、私の曽祖父は緒方洪庵先生が大阪に開いた適塾で学んでいたという話です。私は7代目ぐらいにあたるのですが、若い頃はサッカー少年で、高校2年生の時に中国地方代表、3年生の時にアジアユース代表に選ばれました。しかし、医者になるという父との約束もあって、父と同じ大阪大学医学部に進むことにしたんです。今、いろんな命を支えていることを思うと、世の中に貢献できる医師の仕事を誇りに思います。長男も産婦人科の医師、次男は小児科の医師で、三男は循環器内科の医師でイタリアに留学しています。今は妻と2人暮らしですが、時々孫も一緒に集まりますから寂しくはありません。当院で診た妊婦さんは、経過が良ければ分娩施設のある病院で出産となりますが、産後4ヵ月ぐらいで必ず赤ちゃんを見せに来てもらうんです。そのときに皆さんから感謝の言葉をいただけるのが何よりの喜びです。

今後の展望などがあれば教えてください。

私も70歳ですから、そろそろ長男が継いでくれればとは思います。彼も不育症や胎児検査の専門家ですし、クリニックの後継者としては誰より適任だと考えています。もう一つ、お母さんの子宮内にフィブリンと呼ばれる繊維状のたん白質や血栓ができて、それが問題を起こして流産、死産を繰り返すという方がまれにあります。それをどうすればいいか、まだ解決できていませんから今後のテーマの一つですね。また、血流に関わる遺伝子配列と流産との関連性もわかってきましたから、将来的には遺伝子異常を背景にした治療も可能になるかもしれません。

最後に、不育症に悩む方へメッセージをお願いします。

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もしあなたが流産を繰り返していたとしても、次に授かる可能性はあるとお考えください。今までうまくいかなかったり原因がわからないという場合でも、検査や診療を通して原因がわかることもありますから、希望を捨てずにご相談いただければ力になれると思います。自分には無理だと思い込んでいる方も、ぜひ当院に希望をつなげてもらえればと願っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

胎児検査(超音波検査)/3万2400円~、4Dエコー検査/5000円~

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