内田 剛也 院長の独自取材記事
内田歯科医院
(川崎市中原区/元住吉駅)
最終更新日:2026/08/07
東急東横線元住吉駅から徒歩3分の交通至便な立地で、1990年から地域の歯科医療を支えてきた「内田歯科医院」。院長の内田剛也先生は、歯周病や噛み合わせ、顎関節症を専門としながら、近年は口腔内だけでなく全身の健康まで見据えた診療に力を注いでいる。大学病院や地域の歯科医院から紹介される難症例にも数多く対応し、診療を通して得た知見を勉強会や講演活動、後進の育成へと還元。歯周病を専門とする歯科医師をはじめとするスタッフとともに、一人ひとりの10年後、20年後の健康を見据えた医療を実践している。インタビューでは、患者だけでなく医療人までも支える内田院長に、「人を診る歯科医療」への思いと、これからの歯科医療に求められる役割について話を聞いた。
(取材日2026年07月15日)
歯科医療の本来の役割は「口ではなく、人を診る」こと
こちらを開院されたのは、もう30年以上前なんですね。

1990年に開業し、地域の皆さんのお口の健康を支えてきました。当院は歯周病治療や噛み合わせの治療に力を入れていますが、単に歯や歯茎だけを診るのではなく、その方の生活や全身の状態まで含めて考えることを大切にしています。現在は大学病院や地域の歯科医院からご紹介いただく難症例も多く、歯周病や顎関節症、噛み合わせなど複数の問題が重なった患者さんを診る機会も少なくありません。一方で、長年通ってくださる地域の患者さんも多く、お子さんからご高齢の方まで幅広い世代の健康を支えています。当院には日本歯周病学会歯周病専門医や歯科衛生士が在籍しており、チームで長期的な口腔管理に取り組んでいます。
先生は「口を治療するのではなく、人を治療する」という診療理念を掲げていらっしゃいますね。
以前は、歯周病と先進の再生療法などに深く携わっていました。しかし、15年ほど前から、歯周病や噛み合わせと全身の健康との関係を深く学ぶ機会があり、考え方が大きく変わりました。同じ治療をしても改善が見込める人と、思うように改善が見込めない人がいます。その違いは口の中だけでは説明できません。姿勢や呼吸、生活習慣、服用している薬など、さまざまな要素が影響していることを数多く経験してきました。だからこそ、私は「口を診る」のではなく、「その人全体を見る」ことが歯科医療には欠かせないと考えています。症状だけを追うのではなく、なぜその状態になったのかという原因まで見極めることを大切にしています。
どのような患者さんが多くいらっしゃっていますか?

地域で長く通ってくださっている患者さんはもちろんですが、現在は大学病院や近隣の歯科医院からご紹介いただく患者さんも多くなりました。歯周病が進行してしまったケースや顎関節症、噛み合わせの問題、なかなか原因がわからない症状など、難しいケースを診る機会が多いですね。ただ、難しい症例だから特別ということではありません。私が大切にしているのは、どの患者さんでも共通して、「なぜこうなったのか」を一緒に考え、その先の健康まで見据えた治療を行うことです。歯だけを治療して終わりではなく、長くご自身の歯で食事を楽しみ、健康に暮らしていただくことが私たちの目標です。
10年後、20年後まで見据えた歯科診療を提供
歯周病や噛み合わせと全身疾患には、どのような関係があるのでしょうか?

以前は歯周病というと「細菌が原因の病気」という捉え方が一般的でした。もちろんそれは間違いではありませんが、実際の診療ではそれだけでは説明できないケースを数多く経験しています。例えば、同じように治療をしても改善が見込める方と、なかなか良くならない方がいます。また、歯周病だけでなく、歯が割れる、顎関節症を繰り返す、同じ場所ばかり痛むといった症状が見られることもあります。その背景には、噛み合わせや姿勢、口呼吸、睡眠時の状態、服用している薬、さらには全身の病気など、さまざまな要因が関わっていることがあります。私は歯科医師ですから全身の病気を診断する立場ではありません。しかし、お口の中の変化から全身の異変に気づき、必要であれば医科へつなぐことはできます。お口は体の一部ですから、口腔内だけを切り離して考えるのではなく、その方全体の健康状態を見ながら診療することが重要だと考えています。
先生がメンテナンスを重視されている理由を教えてください。
治療はゴールではなく、健康を維持するためのスタートだと思っています。歯周病は一度治療が終わっても、時間がたてば再発する可能性があります。また、年齢とともに噛み合わせや全身の状態、生活習慣は少しずつ変化していきます。その変化を早い段階で見つけ、必要に応じて調整することが、お口の健康を長く守ることにつながります。当院では歯周病治療後、原則として3ヵ月ごとのメンテナンスをご提案しています。これは歯周病の原因となる細菌が再び増え始める時期を踏まえたものです。診察では歯や歯茎だけを見るのではなく、服薬状況や生活の変化、お体の状態も確認しながら、その方に合った管理を続けています。こうした継続的な管理を支えているのが歯科衛生士です。患者さんと長く関わり、小さな変化を積み重ねて把握するために歯科衛生士と情報を共有しながらチームで診療することは欠かせませんね。
患者さんの10年後、20年後を見据えた診療を掲げられています。

治療が終わった後でも、その原因が残っていれば、数年後にまた同じことを繰り返してしまう可能性があります。だからこそ、「この方が10年後、20年後も自分の歯で食事を楽しめる状態を維持するためには何が必要か」を、常に考えながら診療しています。時には患者さんが望む治療よりも、時間がかかる方法をご提案することもあります。それは目先の結果ではなく、その方の将来にとって本当に良い選択を一緒に考えたいからです。私は、「患者さんにとって都合の良い歯科医師」ではなく、「患者さんの健康を本当に守れる歯科医師」でありたいと思っています。その積み重ねが、お口と全身の健康を長く維持することにつながると信じています。
次の世代へ、本当に役立つ歯科医療を伝えたい
子どもたちの健康には、特に力を入れているそうですね。

ええ、お子さんの口腔機能の発達は大切にしています。虫歯だけを診る時代ではなくなり、正しい呼吸や舌の使い方、噛み方、睡眠の質などが、その後の成長や全身の健康にも大きく関わることがわかってきました。例えば、口呼吸が続くことで歯並びや噛み合わせに影響したり、睡眠の質が低下したりすることがあります。小さい頃から正しい口の機能を身につけることは、大人になってからの健康にもつながります。もちろん、私たちだけで解決できることばかりではありません。耳鼻咽喉科や小児科などと連携が必要なケースもあります。しかし、歯科だからこそ気づけるサインも数多くあります。早い段階で異変に気づき、適切な医療へつなげることも、これからの歯科医院の大切な役割だと考えています。
医療人の育成や啓発活動にも力を注がれている理由を教えてください。
私一人が診られる患者さんには限りがあります。しかし、正しい知識や診療の考え方を持った歯科医師や歯科衛生士が増えれば、その先には何倍、何十倍もの患者さんの健康があります。当院はこれまでも多くの歯科医師や歯科衛生士の育成に携わってきました。診療だけでなく、論文の作成や発表にも取り組んでもらい、自ら考え、根拠を持って診療できる医療人になってほしいと願っています。また、全国で講演活動を続けているのも同じ理由です。歯科医療は日々進歩しています。私自身も学び続けながら、その知見を広く共有し、歯科医療全体のレベルアップにつなげていきたいと思っています。
さまざまな経験を重ねられた今も、診療や教育活動を続ける原動力は何でしょうか?

歯科医療は技術だけでは成り立ちません。患者さんを長い目で見守り、本当に必要なことを考える姿勢が大切です。その考え方を次の世代へ伝えていくことも、私に与えられた役割だと思っています。私自身も長年診療を続ける中で、多くの患者さんから学ばせていただきました。新しい知見にもふれ続け、診療を重ねるたびに「まだ学ぶことがある」と感じ、その積み重ねが今も私の大きな原動力になっています。私たちは歯だけを診るのではなく、その方の人生や生活まで見据えながら診療したいと考えています。皆さんにも、ご自身のお口を全身の健康の入り口として考えていただきたいと思います。

