原因・症状が多岐にわたる顎関節症
早めの受診が改善への第一歩
せいの歯科クリニック
(清須市/須ヶ口駅)
最終更新日:2024/11/18


- 保険診療
過度の歯ぎしりや食いしばりをはじめ、さまざまな原因によって引き起こされる顎関節症。顎の関節部分の動きがスムーズにいかなくなり、周辺の筋肉に痛みや凝りが起こる病気で、症状が進むと口をわずかしか開けられなくなることもあるという。思春期の中学生・高校生から、仕事や家事などに多忙な生活を送る世代まで、患者の年齢層は幅広く、痛みや違和感をやり過ごしているうちに悪化させてしまうケースも少なくない。「顎関節症にはストレスが大きく関わっており、軽度なものを含め多くの方が症状を抱えている」と「せいの歯科クリニック」の清野裕三院長は語る。症状の原因を見極め、不安を和らげながら一人ひとりに合った治療を提供している清野院長に、顎関節症の特徴や原因、同院での検査や治療の流れについて聞いた。
(取材日2021年8月26日/更新日2023年5月16日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q顎関節症とはどのような病気なのでしょうか?
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A
何らかの原因で顎回りの筋肉が張り、耳の前の顎の関節周辺、側頭部、首回りなどの痛みや、顎を動かしにくくなるなどの症状が現れる病気です。患者さんの多くは、口を大きく開けた時の痛み、口の開閉時に音が鳴ることに違和感を覚えて受診されます。悪化すると顎の軟骨がずれたり、すり減ってしまったりすることも。さらに重症化すると、口を指数本分くらいの幅しか開けなくなることもあり、そうなると改善が難しくなります。全身の不調につながったり、食事や会話に支障を来したりする可能性もあるため、気になる症状があれば放置せず早めに歯科医師に相談してください。早期に適切な治療を開始することが症状改善への第一歩です。
- Q顎関節症の原因や、体への影響について教えてください。
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A
歯ぎしりや食いしばりの繰り返しが顎関節症の一番の原因ですが、いつも同じ方向を向いて寝たり、頬づえをついたり、同じ足を組んだりする癖による体のゆがみが原因になることもあります。首回りの筋肉の緊張を伴うため、頭痛や肩凝りを併発するケースも珍しくありません。歯ぎしりや食いしばりはストレスと関係が深く、季節の変わり目や生活環境が変化したとき、また学校、職場、家庭などで悩みがあるときなどに生じやすくなります。また近年は、新型コロナウイルス感染症拡大による自粛生活のストレスから、顎関節症を発症する方が増えているようです。ご自身を取り巻く環境に応じて生活スタイルを見直し、不安を和らげる工夫も必要でしょう。
- Q診察を受ける前の注意点や知っておくべきことはありますか?
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A
顎関節症は急性のものと慢性のものがあり、急性の場合は比較的早期の改善が期待できます。当院ではレーザーを当ててじんわり温め血行を促すことで、痛みの緩和を図っています。一方、長年にわたり違和感がありながら、受診せず放置してきた方は慢性化している可能性が高く、治療に数ヵ月かかることもあります。また、顎関節症の大きな原因である過度の食いしばりは、知覚過敏や歯周病の悪化といった口腔内トラブルの原因にもなり得ます。若い世代では、親知らずが生えてくることで噛み合わせや顎の使い方が変化し、痛みにつながるケースもあります。虫歯などがないにもかかわらずお口や顎に違和感がある方は、迷わず歯科医院を受診してください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・ カウンセリングで発症経過や既往歴をチェック
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痛みや違和感がいつ頃からあるのか、以前にも同じような症状が出たことがあるかといった質問を受けるため、受診に至った経緯を事前に整理しておくとスムーズに進む。虫歯や親知らずの治療で受診した際に顎関節症と診断されるケースもあるという。適切な治療を開始するには、顎関節症と似た症状を伴うほかの病気との見極めも重要だ。
- 2口の開き具合などを確認。エックス線検査を受ける
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口がどのくらい開くのか、また、左右同時に真っすぐ開くかどうかを確認。顎関節症が慢性化していると、片側の顎が不自然な開き方になるという。さらに、エックス線撮影により顎関節の形状を観察。噛み合わせに影響を与えている親知らずの有無なども調べる。問診・カウンセリングと併せて、適切な治療法を見出す上で大切なプロセスだ。
- 3痛みのある部位にレーザーを照射
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歯科医師が症状が出ている部位にレーザーを照射する。血行不良が痛みを増幅させる原因の一つだと考えられるため、同院では患部にレーザーを当てて血行を促すことにより、痛みの緩和を図っている。症状が軽度であれば、この治療により早期の改善が期待できるという。
- 4睡眠時のマウスピース型器具装着で歯を守る
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睡眠時にマウスピース型器具を装着し、食いしばりや歯ぎしりによる歯や顎への負担の軽減を図る。同院では院内でマウスピース型器具を作製し、患者の歯並びの細かい部分にまで対応したものを提供しているそうだ。また入浴時には顎のマッサージを行い、症状の緩和をめざす。日中知らず知らずのうちに歯を食いしばっていることもあるため、自分自身の噛み癖を意識することも重要だという。
- 5急性の場合の投薬治療と定期的な経過観察
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治療中は1週間に1度、経過観察のため通院。急性の顎関節症で我慢できない痛みが続く場合には、鎮痛薬が処方されるなど、症状に応じた治療が行われる。また、治療終了後は定期的なマウスピース型器具の点検修理などのメンテナンスを受ける。日々の生活においては、不安やストレスをため込まない工夫も大切だ。