成長タイミングで適切に行う
マウスピース型装置を用いた矯正
尾村歯科医院
(神戸市灘区/大石駅)
最終更新日:2024/03/12
- 自由診療
気になる子どもの将来の歯並び。「まだ永久歯も生えていないから」「生えそろって歯並びが悪かったら考えよう」と様子見をしている家庭も少なくないだろう。歯並びは顎がしっかりと成長し歯が並び切るスペースができるかどうかで決まるが、実は上顎の成長は10歳前後まで。それまでに対策しなければ歯が並ぶスペースの確保が難しくなるだけでなく、舌が下がって気道が塞がったり口呼吸になったりと全身への悪影響が懸念されるという。そこで「尾村歯科医院」では、側方・前方へと顎の成長をサポートするためのマウスピース型装置を用いた矯正を提案。そのメリットや開始タイミングなどを含め、マウスピース型装置を用いた矯正について尾村育史院長に聞いた。
(取材日2023年11月24日)
目次
マウスピース型装置と顎の成長を組み合わせて、歯と体の土台をつくり上げることをめざす
- Q小児矯正がめざすもの、目的について教えてください。
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A
最も大切なのは機能的な矯正で、MFT(口腔筋機能療法)と呼ばれるトレーニングを行い、お口周りの筋肉を整えてお口の健やかな成長発育を促すのが理想です。健康な口腔機能を獲得するために必要なのは「土台づくり」。口腔機能が正常であれば、乳歯が埋まっている顎の骨が広がり、永久歯が並びきるスペースを確保することが望めます。しかし保護者の方も忙しく、毎日トレーニングを見守ることは難しいでしょう。そこで私たちからのサポート手段として、小児矯正という選択肢があります。顎を広げることをめざす矯正には床矯正装置や拡大装置などがありますが、当院ではより負担の少ないマウスピース型装置を用いた矯正をお勧めしています。
- Qなぜマウスピース型装置を用いた矯正を推奨しているのですか?
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A
私は小学校の歯科の校医を務め、多くのお子さんを診てきた経験から、口腔機能も含めすべて整っているお口を見つけるのはとても困難だと考えています。口腔機能の正常な発達を促すためMFTはほとんどのお子さんにとって必要だといえますが、毎日継続することは親子双方に負担がかかってしまいます。マウスピース型装置を用いた矯正は、装着時のお子さんの負担が少なく取り外しできるのが特徴です。お子さんにとって装着が苦でなければ、保護者の方が「つけなさい」と言う機会も減るでしょう。また長時間外すことは避けなければなりませんが、取り外せるので歯磨きがしやすい点も親子双方にメリットがあると思います。
- Qマウスピース型装置でどのようにアプローチするのでしょう。
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A
マウスピース型装置を用いた矯正は、床矯正装置や拡大装置と同様に、乳歯の根っこを動かしながら顎の骨を広げることを目的としています。また床矯正装置や拡大装置は、側方・前方への拡大についてそれぞれ装置が必要ですが、マウスピース型装置の場合は側方・前方への拡大も一つの装置で行います。小児矯正でメインになるのが、10歳前後で成長が止まる上顎の発育サポートです。上顎が拡大すると舌が上・前に出やすくなり、気道が広がって鼻呼吸の獲得へとつながります。鼻呼吸は脳の温度を冷やす機能も兼ねており、40.5度超で機能が障害される脳を正常に働かせるために必要です。矯正による歯の土台づくりは、体の土台づくりともいえます。
- Qいつ頃から始めるのが良いのでしょうか。
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A
理想を言えば、保護者の方にはお子さんが生まれる前から知識を得ていただきたいと考えています。舌の動かし方の習得や上顎の成長は、授乳の仕方によっても大きく変わってくるからです。ただ現実的には難しいことですから、歯科検診のある3歳児健診を終えて以降は、定期的に歯科医院に通ってお口の成長を見守っていくのが良いでしょう。先ほども申し上げたとおり、小児矯正は上顎の成長が止まる10歳前後までにスタートしてほしいと思います。乳幼児のうちから定期通院していれば、矯正の必要性や開始タイミングなども見極めやすくなりますので、「永久歯が生えてから」など様子見せず、まずは歯科医師に相談することから始めてください。
- Qこちらで行うマウスピース型装置を用いた矯正の特色は?
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A
マウスピース型装置を用いた矯正は、患者さんのデータをもとにメーカーから矯正計画が提案されます。それをそのまま採用するのではなく、お子さんごとにゴールを考えながらアレンジしていきます。例えば下顎は20歳くらいまで成長するため、上顎同様に矯正していくと大きくなり過ぎて、受け口など不正咬合の原因にもなりかねません。そのバランスを取りつつ、場合によっては当初の計画を変更し進めます。当院では口腔機能を正すためのトレーニングも指導しますので、1日3分程度取り組んでいただき、その他口が開いていたら注意をする、前歯を使って食事するために食材を大きく切るなど、ご自宅でできるケアも合わせて実践していただきます。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/44万円~、マウスピース型の装置を用いた矯正/88万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。