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河野 裕一郎 院長の独自取材記事

こうの歯科医院

(神戸市垂水区/朝霧駅)

最終更新日:2020/09/30

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JR神戸線の朝霧駅が最寄りの「こうの歯科医院」は、先代である河野崇先生の後を継いだ河野裕一郎先生が1999年より院長を務める。「医療はサービス業」と捉え、患者を不安にさせぬよう言葉選びにも細部にまでこだわる河野院長は、多様化するニーズも細かくくみ取り、患者一人ひとりに合わせた歯科医療を提供しているという。病気やケガの人から、そうでない人まで、すべての人の日常生活に役立つ身近な存在であることが歯科医師としてのやりがいの一つという河野院長に、文系大学から歯科医師をめざしたきっかけ、患者に接する際に心がけていること、2015年にリニューアルした同院について、そして今後の展望など幅広く話を聞いた。
(取材日2019年7月25日)

「患者さんを不安にさせない」と、言葉の細部まで注意

歯科医師を志した理由をお聞かせください。

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もともと歯科医師になるとはまったく考えていなくて、明治大学商学部に在籍していました。先代の出身校がすぐそばの東京医科歯科大学でしたから、その縁で私も治療してもらっているうちに「こういう世界も“あり”なのかな」と考え始めたんです。当時はバブル絶頂期でしたから名だたる企業から声がかかる売り手市場で、当然、就職も視野に入れていました。しかし理系がもともと好きだった上、親族からの強い勧め、何より「目の前の患者さんの悩みを解決してあげられる歯科医師って素敵だな」と思ったことがきっかけで歯科医師をめざすことにしたんです。それでも大学は卒業しないといけないということで中退はせず、大学卒業年に歯学部を受験して合格し、2年次に学士入学しました。

実際に歯学部に通ってみていかがでしたか。

私は現役生と4歳違うのでどうかなと思っていたのですが、実は学年150人中20人ほどが私より年上でした。50代の方も複数いて、やはり特殊な学部で、文系とはまったく違う世界なんだなと思いましたね。いざ実習に入ったら最初のうちは「絶対こんなことできない」と思いましたよ。例えば上の奥歯の根っこの治療をするといっても、よく見えないような場所に穴を開けて神経管の治療をするって想像がつかないでしょう? 学んでいくうちに「本当にこんなことできるのか」と不安でしたけど、そればかり毎日やればできるようになるものですね(笑)。

患者さんに接する際に心がけていることはありますか。

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私は歯学部に入った時から「医療はサービス業だ」と教えられてきました。例えば大学病院の先生が治療を終え、患者さんに「お疲れさまでございました」と頭を下げるのはごく普通のことだったんです。ですから特に話し方には注意していますね。丁寧な話し方はもちろんですが、「削ります」「熱いものが入ります」「チクッとします」などわかりやすくても恐怖心を与えるような言葉は、スタッフも含めて当クリニックでは一切禁止です。「少し押される感じがします」などソフトな言葉に言い換えて伝えるよう十分に注意しています。言葉の細部までこだわるのはやはり根が文系だからでしょうか。文章や言葉は、普通の先生よりもこだわりが強いかもしれませんね。

誰もが頼れる、日常生活に役立つ身近な存在に

心に残っている患者さんとのエピソードはありますか。

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「先生や衛生士さんを信じて通っています」というようなことを言っていただけることがあり、それはとてもうれしく思います。しかし、例えば入れ歯を作って最上級のお褒めの言葉をいただくと、壊れたり合わなくなったりして作り直す時にどうしよう、と。同じように感じてもらえる物はおそらく作れないので、少しプレッシャーに感じますね(笑)。それは良いことだけでなく、悪いことも想定しながら治療にあたることが大事だと思っているからかもしれません。今はニーズも多様化してきていますので、患者さんが何を望んでいるのかというのをよく考えた上で、歯科医療を提供するのが第一だと考えています。

先生が考える「歯科医師」とは、どういった存在でしょうか。

最近、一番感じているのが「身近」であるということです。例えば世界的に有名な外科医がいらっしゃったとして、その医師にかかる人はどれくらいいるでしょうか。命にかかわる疾患を抱えた、ごく一部の方だけですよね。しかし歯科医院、歯科医師というのは、子どもから大人まで、みんながかかるところだと思います。ちょうど昨日、医師である義母が荷物を持って倒れてしまい「歯を打ってしまったけれどどうしたらいいか」と診察に来ました。起こりがちなトラブルを相談できたり、予防や教育の面で手助けができたり、病気やケガの人からそうでない人まで日常生活の役に立つ身近な存在ではないかと思います。実際、居酒屋にいるときに私が歯科医師だと知ったお客さんにその場で歯を見てほしいと言われ、アドバイスさせていただくこともあるんです(笑)。命にかかわらないところでも人助けができるという部分にも、やりがいはありますね。

新技術や新機材の導入など、新しいお取り組みにも積極的なのですか。

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歯科医療もどんどん進化していますが、それが実際に臨床で使えるものかどうかはまた別の問題です。これまで何十年もやってきたことが、考え方の部分で180度変わることはあっても、基本的な技術がまったく違う方向に変化することはありません。新しい治療法、新しい技術も大切ではあるけれど、結局は基礎、基本に忠実であることが一番大事なのかなと思います。しかしそれは、新しいことに対応しなくていい、ということではありません。新しいことを取り入れるには勇気もいることですが、基礎の部分をしっかり持って、その上で自分の感覚で取捨選択していきたいと考えています。

より豊かで健康な生活を。予防への意識改革を後押し

2015年に全面改装したと伺いました。

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開業して10年を超えると徐々に施設が古くなってきますし、このまま従来通り続けていくのもどうかなと感じたので、「今まで以上に患者さんに喜んでもらおう」と思って全面改装に踏み切りました。自分で勉強したり、友人の診療所も見学させてもらったり、いろんなところを見て回って、構想期間は2年ほど。その間、何人ものデザイナーさんにお会いして作品を見て、「この人だ!」と確信した方に院内デザインをお願いしました。実は私は動線や作業場など機能的に必要な部分には口を出しましたが、それ以外はすべてお任せ。私の考え方やスタッフのイメージ、患者層などのヒアリングから、デザイナーさんの思うとおりにデザインしていただいて、隅々まで気に入っています。リニューアル前はデッドスペースだった場所も、キッズスペースになりました。

今後の展望をお聞かせください。

当クリニックの周辺はお年寄りがたいへん多い街で、ご来院くださる患者さんの中には「もう少したって動けなくなったら来られないわ」とおっしゃる方もいます。これまで訪問歯科診療はしたことがなく、現時点で人員などの問題もあり時間が取れないのですが、ずっと通ってくださっている患者さんを中心に、将来的に訪問歯科診療もご提供できればいいなと考えています。また訪問歯科診療に限らず、先ほどもお話ししたとおりこれからも基本に忠実に、その中で自分が良いと思ったことには積極的にチャレンジしていきたいと思っています。

読者へのメッセージをお願いいたします。

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現在の歯科医療は予防へ舵を切っていて、口腔内に疾患のない状態から、より豊かで健康な人生を歩めるようなサポートをしますというのが基本スタンスです。将来、虫歯や歯周病など疾患のない健康的な人生を歩むためには必要なことだと認識していただき、歯のメンテナンスを「やらないと気持ち悪い」と思っていただけるような意識改革を後押しできればと思います。歯科医院を“病院”だからと抵抗感を持たず、例えば、髪を切りに美容室に行くような日常の感覚で来てもらいたいのです。そんな、気軽にお越しいただけるような空間をつくっていきたいと思っています。

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