川谷 温美 副院長の独自取材記事
かわたに歯科医院
(福岡市南区/井尻駅)
最終更新日:2025/04/15

西鉄天神大牟田線・井尻駅から車で約3分、横手中央通り沿いにある「かわたに歯科医院」。1998年の開業から25年以上がたつ今も、意欲的に新しい知見や技術を取り入れ、進化を続けている。「お口の中の健康は全身の健康につながります。噛む・飲み込む・話す・表情をつくるといった口腔機能に着目した取り組みを通して、高齢者のフレイル予防と子どもの健全な口腔育成に尽力したいです」と話すのは、副院長の川谷温美先生。適切な検査と治療、予防的なリハビリテーションにより、「最期まで噛めるお口づくり」をめざす。複数の歯科医師が在籍し、それぞれの専門性を発揮しながら、チームとしてトータルな診療を提供していることも大きな特徴だろう。気さくな笑顔が印象的な川谷副院長に、同院の診療スタイルについて詳しく聞いた。
(取材日2021年4月21日/再取材日2025年3月26日)
「噛めるお口づくり」で全身の健康維持に貢献したい
どのような診療方針にもとづいて、日々患者さんと向き合っていますか?

マイナス1歳、つまりお母さんのおなかの中にいるときから100歳まで、それぞれのライフステージに合った診療に力を尽くしています。一生お口の健康を守り、さらに「噛めるお口づくり」を通して、全身の健康維持に貢献する歯科医院でありたいと思っています。当院には、専門分野を持つ複数の歯科医師が在籍し、一人の患者さんに対して、チーム全体で診療の提供をめざしています。生まれてくる赤ちゃんに口腔内細菌が感染するのを防ぐために、妊婦の方の虫歯や歯周病の改善に努め、予防歯科や矯正で成長期の子どもの健全な発育をサポートします。高齢者なら、入れ歯やインプラント治療といった歯の欠損治療に取り組むなど、患者さんの状況を見ながら適切な診療に努めています。
一人ひとりのライフステージに合った診療を行うために、心がけていることは何ですか?
初診時の問診やカウンセリングでしっかりと話を聞いて、何を求めて受診されたのか、口の中をどういう状態にしたいのかなどの要望を十分に把握するよう心がけています。その上で診察や先進機器を使った検査で口の中全体の健康状態を見極め、患者さんの希望を踏まえたオーダーメイドの治療プランを熟考し、さらにすり合わせながら練り上げていきます。保険診療だけを求める方、審美面に配慮した治療やインプラント治療を目的とする方、メンテナンス希望の方などいろいろな方が来られるので、単に歯科医療の理想を追求するだけの診療をお勧めするのは現実的ではありません。患者さんと歯科医師の橋渡し役となるスタッフが状況に応じて介入し、複雑な治療が必要な方には丁寧な説明を行ったり、詳しく要望を聞いたりしながら、こまやかに対応しています。
患者さんの要望をしっかり聞くことから、治療は始まるのですね。

治療において何を重視しているか。耐久性なのか、審美性なのか、予算なのか。その優先順位を把握することはとても重要です。私たちはプロとして適切だと考える治療法を含めていくつかご提案しますが、その中で何を選択するかは患者さんの自由です。ただ、そこで終わらせるのではなく、将来的にお口の中で起こると予測できることまでお伝えし、善後策を一緒に考えることも必要だと思っています。患者さんと丁寧にコミュニケーションを取り、先を見据えた歯科診療を提供していきたいですね。
口腔機能に着目した取り組みに力を入れていきたい
口腔機能の維持・向上をめざす取り組みをされているとお聞きしました。

開業時より理念として掲げているのが、患者さんの生涯にわたってお口の中の健康を支え、皆さんが豊かな生活を送る地域社会の実現に貢献していくことです。さらに昨今では、お口の中の健康だけでなく、歯科医院として体の健康もサポートするために、口腔機能に着目した取り組みを進めています。口腔機能とは、噛む・飲み込む・話す・表情をつくるといったお口の機能のことです。これらの機能が加齢とともに虚弱になってきた状態を「オーラルフレイル」といいます。オーラルフレイルは、歩けなくなったり骨折したりQOL(生活の質)が悪くなったりといった、全身状態のフレイルが起こる前に表れることが多いとされています。当院でも、口腔機能の低下に早めに気づいて適切な治療や予防的なリハビリテーションを行い、全身のフレイル予防につなげたいと考えています。
口腔機能の低下はどのようにして把握するのですか?
口の中の乾燥度や清潔度、唾液量、噛み合わせの力など7項目を調べる口腔機能検査を行い、3項目以上該当すると口腔機能低下症と診断されます。50歳以上の方は保険適用で検査が受けられます。診断がつかなくても、引っかかった項目へのアプローチができます。例えば噛む力を増すためにインプラント治療を検討したり、唾液量が少ないなら重症化予防のため唾液腺をマッサージしたりし、口腔機能の維持・回復をめざします。実際高齢の方に話を聞くと、あまり噛めないからと、お肉などのたんぱく質ではなく、やわらかい炭水化物ばかり食べていて栄養が偏っている方が多いと感じています。お口の状態は全身に大きく関わってくるので、医科との連携も密にしながら、患者さんの健康を守るお手伝いができればうれしいです。
子どもの口腔育成、メンテナンスにも力を入れているそうですね。

口腔機能の話は高齢者に限ったことではなく、子どもにとっても重要なテーマです。正しい噛み方、舌の使い方などを幼少期に獲得することが、整った歯並びや自然な鼻呼吸につながることもあります。こちらも保険適用で検査が可能なので、親御さんへの啓発を通じて、お子さんの良いお口の状態に育つようサポートしていきたいですね。また、院内には子ども用の予防室を設けていて、乳幼児から12歳くらいまでの小学生を受け入れ、歯科衛生士による口腔内チェックや歯磨き指導、フッ素の塗布、親御さんへのホームケア指導などを行っています。2階の専用ルームでは、首が据わる生後4ヵ月から3歳くらいまでのお子さんを対象に、保育士の資格を持つスタッフによる一時託児サービスを提供しています。1階にもキッズルームを設置し、親御さんが安心して治療を受けられるよう、環境を整えています。
「一歩先行く予防歯科」をめざして
診療体制について教えてください。

歯科医師4~5人、歯科衛生士約10人、受付や保育士なども加わると1日総勢約20人体制で診療を行っています。女性の歯科医師が3人在籍していることも大きな特徴ではないでしょうか。一般歯科や小児歯科、歯科口腔外科、矯正歯科、インプラント治療、審美面に配慮した治療など、幅広い要望に対応しています。歯科医師はそれぞれ専門分野を生かしながら、あくまでも一口腔単位で状態を捉え、口の中全体の健康をケアする診療の提供をめざしています。主訴だけにとらわれず、できる限り再治療の必要がなく健康を末永く保てるよう注力し、メンテナンスで適切に管理していくのが私たちの診療スタイルです。難しい症例や複雑な治療に関しては、検討会を開くなどして意見を出し合い、多面的な視点でより良い方法を見極めるよう心がけています。
開業から25年となりますが、患者さんとの関わり方で変わってきた部分はありますか?
当院の患者さんは赤ちゃんから高齢の方まで幅広く、開業当時から長く通っていただいている方も多いです。私は高齢者施設へ訪問診療に行くこともあって、人生100年時代を日々実感していますね。そんな中で、患者さんには90~100歳になっても「噛めるお口」を維持していただきたいという気持ちがより一層強くなったように思います。特に、長いお付き合いがある60~70代の患者さんには、「元気な今のうちに、あと20年持つお口に変えていきませんか」とご提案することが増えました。新規の患者さんにそんなことを言ったら驚かれるでしょうが、お互いに信頼関係ができているからこそ、ちょっと踏み込んだ話もできるようになってきました。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

これまでも予防歯科に注力してきましたが、今後は「一歩先行く予防歯科」をめざしています。先進のシステムを導入するなど予防につながるよう多様な取り組みを始めました。よく噛めて見た目がきれいなお口の環境を長く保つには、患者さんも努力が必要ですし、私たちも今できることを最大限サポートします。患者さんと私たちが出会った年齢とタイミング、そこからのスタートです。この先が明るい未来となるよう、お手伝いしていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/79万3800円~、審美歯科(セラミック)/14万8500円~、小児矯正22万円~、矯正/74万8000円~