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松葉 育郎 院長の独自取材記事

松葉医院

(川崎市幸区/矢向駅)

最終更新日:2020/02/14

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川崎市幸区の「松葉医院」を訪ねた。住宅街の一角にあり、水色の壁が目を引く北欧風の外観だ。院長の松葉育郎先生は、長年、糖尿病の研究と治療に取り組んできた糖尿病専門のドクター。糖尿病の研究のためデンマークに留学した経験があり、同院の建物は、当時下宿していたドクターの診療所をイメージしているそうだ。そんな松葉先生が大事にしているのは、食事と運動を中心とした生活指導。「生活習慣を是正しないまま、薬で血糖値を抑えるだけでは根本的な解決にはならない」と松葉先生。今回の取材では、同院における糖尿病治療の特徴や、松葉先生が大事にしていることなどを聞いた。
(取材日2018年3月6日)

チーム医療で一人ひとりに合わせた指導を

松葉先生は糖尿病がご専門とのことですが、患者さんは糖尿病の方が中心ですか?

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8割くらいが糖尿病や、糖尿病予備軍といわれている患者さんです。ですから、まずは検尿をして血糖値を見て、その方に合った生活指導を主とした診療をしています。糖尿病の治療には薬も大事ですが、生活習慣病だといわれているように、まずは生活習慣の改善が先決。食べ過ぎや運動不足を是正しないまま、強い薬で血糖値を抑えるだけでは根本的な解決にはならないからです。当院では、医師、看護師に加えて管理栄養士が3人、運動指導士が2人在籍し、チーム医療によって、患者さん一人ひとりに合わせた治療および指導を行っています。症状が初期の患者さんに対しては、最初の3ヵ月間は薬を処方せず、栄養指導と運動指導のみで様子を見ていきます。

具体的にはどんな指導をするのですか?

医院の2階のスペースで、定期的に個別指導をしています。例えば食事指導も、一般論を教えるのではなく、患者さんが普段食べているもの、飲んでいるものを詳しくお聞きして、改善できそうな部分を直してもらうのです。今の食習慣を少し変えるだけでもだいぶ違うんだ、ということを実感してもらえると思います。キッチンもあるので、調理実習のように糖尿病食を作ったり、おしょうゆをスプレーに入れて少し吹きかけることで、塩分をほとんど取らずにおしょうゆを味わうことができるといった、ちょっとした工夫をお伝えすることもしています。運動面では、最近ヨガ教室を始めたところ。とても好評ですよ。ただ運動するだけでは飽きてしまうと思いますので、患者さんが楽しめる内容を考えていきたいですね。

遠隔診療もスタートしたそうですね。

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2017年9月に導入しました。遠隔診療では、パソコンやスマートフォンの画面を介して診察を行います。糖尿病の方であれば、血糖値を自分で測定できる機器をお貸ししますので、その計測値を送ってもらい、問診の内容を踏まえて薬の量を調整し、処方箋をお送りします。現在の患者さんの中には、他県など遠方から通院している方もいますし、お仕事などで通院時間がなかなかとれない方も少なくありません。症状が安定しているときや、検査の結果を聞くだけのときなどに遠隔診療を利用していただいて、無理なく治療を継続していただければと考えています。

他に導入されたものはありますか?

2018年より患者さんのスマホのアプリを使って血糖値や食事、運動・血圧記録などのデータを連携し、診療時に閲覧できるシステムを導入しました。これにより、より生活に即した治療を継続していただけるようにしています。

客観的なデータをもとに治療方針を選択

糖尿病治療に関して、特徴的な部分を教えていただけますか?

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人工膵臓を使った検査です。人工膵臓とは、糖尿病の患者さんが外科的な手術をする時などに、血糖値をコントロールするために使われている人工臓器のことです。患者さんにこの機械をつけていただくことで、血糖値の正常化に必要なインスリンの分泌量を測定できます。 現在、糖尿病の治療薬は種類が増えていますし、インスリン注射という選択肢もありますので、検査データをもとに、より適したものを選ぶことができるんです。「これまでさまざまな病院に通っていたけれど、一向によくならない」という患者さんにも有用ですし、治療に抵抗があるという患者さんが、この検査によって現状を知り、納得して治療を受けるようになったケースもあります。

最近は30代、40代といった若い世代が、糖尿病になるケースも増えていると聞きます。

若い世代の場合、尿検査で糖が出ていると指摘されても、精密検査で「まだ糖尿病ではない」と言われ、放置してしまう人もいるようです。しかし、後になって病院に来たとき、かなり症状が進んでいたというケースが少なくありません。とても残念なことですね。糖尿病には「境界型」といって、血糖値が糖尿病型ではないために糖尿病とは診断されないものの、正常とも言えない状態があります。この段階で受診してもらえれば、食事や運動で改善に向かう可能性が高いですし、進行を食い止めることが期待できます。心筋梗塞などの原因となる動脈硬化は、境界型の段階から進行していますので、血糖値が高い傾向があるなら、生活習慣の改善が必要です。

「糖尿病食を楽しむ会」というイベントも開かれているそうですね。

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年に2回、市の施設を借りて開催しています。糖尿病だからと食事が楽しめなくなるのではなく、簡単に調理できて、おいしく食べて、最後に運動するという体験型のイベントを開催しています。運動も組み込んでいるのは、食べた後に血糖値を測定し、その後運動をすると血糖値が下がる、ということを実際に経験してもらうためです。人によって変動に差がありますが、数値が下がらない人はいません。このことを知ると、皆さんもだいぶ意識が変わりますね。なぜ医師が「運動しなさい」と言うのかが、理解できるようになるんです。長年の生活習慣を変えることは難しいです。だからこそ、患者さんが納得して治療や生活習慣の改善を継続していただけたらうれしいですね。正直なところ、クリニックで月一回診察を受けるだけでは本当のところはわかりませんから、患者さんご自身の自己管理はとても大事です。

傾聴を大切に、患者の気持ちに寄り添った医療を

診療において、大切にしていることは何ですか?

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傾聴です。患者さんのおっしゃることを丁寧にお伺いしたいと考えています。例えば仕事の内容は生活のリズムに影響しますし、家族の介護などでご自身の生活リズムが崩れてしまうこともあります。すると、症状が悪化してしまうんですね。とはいえ、仕事や生活環境はなかなか変えられないですから、その人が無理なくできることの中から、改善の糸口を見つけることを大事にしています。また、医師は人の生死に関わっているぶん、つらい気持ちになることもあるのですが、逆に、寄与できることもあると感じています。糖尿病の患者さんは悪性腫瘍を合併しやすいことが知られていますが、患者さんの話から早期に発見することができ、治療することができた時はとても喜ばれました。そういうときは心から良かったと思いますし、やりがいを感じます。

プライベートでの趣味や健康法を教えてください。

医療関係の仲間とフットサルチームをつくり、試合にも出ています。学生時代はラグビーをしていたので、体を動かすことは好きですね。日頃から、患者さんに運動を勧めていることもあり、休日は私自身、2万歩くらい歩くこともありますよ。いつも車で通っている場所も、自分の足で歩くといろんな発見があるんです。最近は折りたたみ式の自転車を買ったので、それに乗って街巡りをするのも楽しいですね。患者さんにもお伝えしていますが、健康のためというよりは、楽しむことが大切です。

ありがとうございます。最後に、読者へのメッセージをいただけますか?

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生活習慣を見直してみましょう。おなかが空いたら食べる、食べたら体を動かすことが、人間の本来の在り方です。現代人は食べ過ぎているといいますが、昔の2倍も3倍も食べているわけではないでしょう。生活が便利になって、日常的に体を動かしていないから、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れて糖尿病になるのです。とはいえ、健康のために今の生活にないものを取り入れることは大変ですから、通勤時、一駅前で電車を降りて歩くとか、今の生活の中で改善点を見つけて、健康的なサイクルをつくっていきましょう。できれば体重計、血圧計、万歩計を用意して、自分の生活スタイルを観察してみてください。受診した際は、そういった日々の生活習慣の変化や工夫についても教えていただければと思います。

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