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福智 寿彦 院長、櫻井 高太郎 先生の独自取材記事

すずかけクリニック

(名古屋市千種区/今池駅)

最終更新日:2024/02/14

福智寿彦院長、櫻井高太郎先生 すずかけクリニック main

名古屋市内の繁華街・今池の喧噪から少し離れた静かなエリアに立つ7階建ての「すずかけクリニック」。精神科医師4人が在籍する、てんかん治療を主として一般的な精神科疾患にも対応したクリニックだ。特徴は外来診療だけではなく、てんかんや精神疾患の患者をケアする通所施設、訪問看護の拠点、就労支援を兼ねた飲食店、グループホームなども提供し患者をサポートする多機能型の診療所であること。「発作や症状を抑えるだけでなく、社会に参加するまでを支援して初めて治療といえるんです」と語る福智寿彦(としひこ)院長。発作や精神的な障害があっても、患者がハッピーに暮らせるよう日々サポートしている福智院長と、精神科診療とてんかんの研究に長年携わってきた櫻井高太郎先生の両氏に、話を聞いた。

(取材日2023年12月28日)

精神科診療から社会参加まで支える多機能の診療所

クリニックの特徴について教えてください。

福智寿彦院長、櫻井高太郎先生 すずかけクリニック1

【福智院長】私を含めて4人の精神科医が在籍し、てんかん治療を主に精神科・心療内科を幅広く診療しているところです。医師は、てんかんの専門家、てんかんの研究を続けてきた元准教授、いわゆる町の開業医として患者のリカバリーに力を注いできた私と、非常勤の女性医師がいて、難病治療から患者さんの生活サポートまで、異なったフィールドから多角的に診療や支援をできる体制になっています。また毎月、大学病院や国立病院から医師を招いて症例検討会を行っていますが、看護師・臨床心理士・脳波検査技師も患者さんごとの担当者として参加し、精神分野の専門的な知識や症例などを共有しながら、責任とやりがいを持って仕事をしてくれています。

クリニックとしてどのような理念をお持ちでしょうか?

【福智院長】私は病院の精神科医として経験を積む中で、患者さんが普通に結婚や就職ができるようにQOL(生活の質)の改善が大事だと考えてきました。そこで長期入院していた統合失調症やうつ病の方たちを退院後にサポートできるよう「福智クリニック」を1998年に開設し、2008年にはてんかんの方を中心に診るこの「すずかけクリニック」を開業しました。てんかんは、まず発作をコントールし、症状を抑えるための薬物治療を行います。しかし、それだけでは不十分で、発作を抑えた後に患者さんが社会でハッピーに生きていくことが大切です。そこまで考えて支援して、初めて「治療」といえるのではないかと思います。

具体的にどのようなサポートをされるのですか?

福智寿彦院長、櫻井高太郎先生 すずかけクリニック2

【福智院長】この建物内に患者さんの通所リハビリテーションの施設と訪問看護ステーションがあります。病気や発作があるからと家に引きこもるのではなく、社会に参加して人と関わり、規則正しい生活をしたほうが発作の回数軽減につながり、楽しく暮らせると思うのです。そのため、他にも、就労のトレーニングができるよう飲食店や精神疾患や発達障害、てんかんの発作をお持ちの方が暮らせるようグループホームと単身用のアパートも用意してサポートしています。24時間体制でソーシャルワーカーも常駐しています。病気を診断して治療するだけではなく、年代も家庭環境もさまざまな患者さんを多方面からサポートできる多機能型の診療所をめざしています。

扉を開けた瞬間に安心できる雰囲気づくりを

櫻井先生は2023年4月からこちらに常勤されているそうですね。

福智寿彦院長、櫻井高太郎先生 すずかけクリニック3

【櫻井先生】はい。私は札幌にある北海道大学病院に2004年から2021年まで在籍し、主にてんかんの診療を担当していました。また、脳の磁場活動を測定する脳磁図を用いたてんかんの研究や、工学部と共同でてんかん発作を減少させるゲームの研究をしていました。その後、大学の仕事が一段落したため、故郷の松本市に戻ろうと考えていたのですが、てんかんを通じてかねてより知己であった福智先生からすずかけクリニックにお誘いいただき、今年から常勤医として働いています。こちらに来て感じるのは、やはり大学病院と違って患者さんとの距離が近いということですね。私はもともと研究志向ではありませんし、臨床家として患者さんと話すのが大好きですので、診療に専念できる現在の環境にとても満足しています。

どのような患者さんがいらっしゃいますか?

【櫻井先生】てんかんの方と、その他、抑うつや不安などの一般的な精神症状で来られる方が半々といったところです。てんかんは子どもの病気と思われている方もいるかもしれませんが、実際は中高年以降の発症も多いため、新たにてんかんを発症された方や、他の診療所から診断に迷うケースや、発作がなかなか止まらない難治性てんかんの方をご紹介いただくことが多いです。また、てんかんに精神症状を合併された患者さんも来られますが、そこはてんかんの専門家かつ日本精神神経学会精神科専門医でもある私たちの最も得意とするところだと思います。

診療する上で大切にされていることは何ですか?

福智寿彦院長、櫻井高太郎先生 すずかけクリニック4

【櫻井先生】初めて精神科を受診される方は不安でいっぱいだと思うので、扉を開けた瞬間に安心できるというか、相談しやすい優しい雰囲気をつくるように心がけています。これは精神科の醍醐味でもあるんですが、病気だけを見ずに本人の人柄や生活の様子をしっかり捉えて、良好な信頼関係を築いて治療したいと思っています……なんて真面目なことを言うと自分でもなんだか気恥ずかしいんですが(笑)、患者さんが嫌な思いをしないように気をつけています。そして、患者さんの話を真剣に聞くというのはかなり体力を使いますので、睡眠をしっかり取るなど心身のコンディションを整えて、余裕を持って患者さんに接するようにしています。

正しい診断と病気を理解してもらう啓発活動にまい進

精神科の受診をためらっている方へのアドバイスなどありますか?

福智寿彦院長、櫻井高太郎先生 すずかけクリニック5

【櫻井先生】悩みや不安は、人に話したり、相談したりすると、それだけで薄れるし、解決策が見つかることもあります。身近に相談する人や手助けをしてくれる人がいない場合は、ぜひ私たちに気軽にご相談いただきたいですね。きっとお役に立てると思います。また、てんかんについていうと、正確な診断や治療がされていないケースや、反対にてんかんではないのにてんかんと診断されているケースが時々見られます。発作のコントロールを図り、適切に治療を行うには正確な診療が何より重要となります。当クリニックの医師は、てんかんの発作の症例や治療経過をたくさん診てきていて、その分診断の精度も高いと思いますので、発作が治まらずに悩んでいる方はぜひご相談ください。もちろん精神科・心療内科全般のお悩みについても力になります。

これからの取り組みについてお聞かせください。

【福智院長】もっとクリニックの取り組みについて広く知ってもらいたいですね。てんかんの発作が出るから、精神的な障害があるから「家から出ちゃいけない」「結婚・出産・就職ができない」と思い込んでいる患者さんや家族がとても多いのですが、そんなことはありません。発作や症状を抑えるために薬を服用しながら、仕事や生活のトレーニングをすれば、就職や出産だけでなく、将来親亡き後一人暮らしをすることだって大いに期待できます。発作や障害があってもハッピーに生きることができます。私たちは、てんかんについて正しく知ってもらうための「パープルデー」という啓発活動を行っています。乳がんの正しい知識を広めるピンク・リボン活動のようなものですが、紫色をシンボルカラーに毎年3月下旬、名古屋でイベントも開催しますので、ぜひお寄りください。

読者へのメッセージをお願いします。

福智寿彦院長、櫻井高太郎先生 すずかけクリニック6

【櫻井先生】クリニックには、てんかんのスペシャリストがそろっていますので、適切な診断に努め、適切な医療を提供していきたいと思います。そして、私たちは精神科医でもあるので、てんかん以外の心の悩みを抱えた方にもぜひ来ていただければと思います。
【福智院長】てんかんは100人に1人の病気といわれていますが、患者さんが病名を言いにくいのは、まだまだ一般の人たちの間に偏見があるからだと思います。しかし、てんかんを持ちながらプロのスポーツ選手になっている人もいますし、結婚・出産をして、大手企業の障害者採用枠で仕事をしている人たちも世の中に大勢います。てんかんに限らず、精神的な障害を抱えた方が健常者と一緒に生活している事例はたくさんありますし、そのサポートをさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談いただきたいですね。

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