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塗木裕也 院長の独自取材記事

あいホームケアクリニック

(川崎市幸区/川崎駅)

最終更新日:2019/08/28

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「とにかく患者さんやご家族とじっくり話すことを何よりも大切にしています」と語る「あいホームケアクリニック」院長の塗木裕也先生。大学病院を経て、川崎市の市中病院循環器科で急性期診療に携わっていたが、医療の原点ともいうべき訪問診療に関心を持つようになり、医師として育ててくれた川崎で恩返しがしたいと、2010年に同クリニックを開設した。当初は、在籍医師は塗木院長一人だったため、24時間携帯電話を握りしめて、患者の急変に対応していたという。患者の増加に伴い、医師やスタッフも増え、地域の在宅医療を担う存在となった。超高齢化社会の中で、通院が困難な患者に安心して療養生活を送ってもらうために、患者や家族の要望に添った医療を提供し、住み慣れた場所での生活をサポートしたいと穏やかに、しかし力強く語る。優しい笑顔の中に、医師としての信念と、訪問診療にかける熱意が伝わってくる頼もしいドクターだ。
(取材日2015年4月30日)

「川崎に恩返しがしたい」訪問診療専門クリニックを開業した循環器科医

医師を志されたきっかけや、開業までの経緯を教えてください。

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私は鹿児島出身で、父が開業医でした。父は、家では「巨人の星」の星一徹のように厳しかったのですが(笑)、患者さんに対してはとても優しく、患者さんの話を何時間でも聞くような医者で、地域の方々からとても信頼されていました。そんな父の後ろ姿を見ながら、自然に医師になりたいと考えるようになり、医学部に進んだのです。そして、医師になったからには「全身管理をしたい」「倒れている人がいたら率先して助けられるようになりたい」と考えて、循環器科に進み、大学病院を経て、川崎幸病院で勤務していました。川崎幸病院勤務当初は、自分自身まだまだ半人前でしたが、5年の間でかなり成長できたのかなと思っています。

訪問診療に携わることになったきっかけは?

医師になって2年目ぐらいの時、バイトの形で訪問診療を経験したことがありましたが、その時はまだ医師として未熟で、充分に対応できませんでした。数年後、再び訪問診療を手伝うことになり、当初はあまり気が進まなかったのですが、やってみると以前とはまったく違う印象で余裕をもって診療を行えるようになっていました。そして続けるうちにだんだん楽しくなり、もっと本格的に訪問診療に携わりたいと考えるようになりました。ゆくゆくは鹿児島に帰るつもりでいたのですが、その前にまず、一人前の医師に育ててもらった、川崎の患者さんたちに恩返しをしなければと考え、このクリニックを開業しました。

では、こちらのクリニックの特徴を教えてください。

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24時間365日医師が対応できることと、私を含めて常勤医師が4人、非常勤医師が7人いて、私が循環器、副院長が呼吸器科、その他、消化器内科、泌尿器科、皮膚科、精神科などさまざまな分野のドクターが在籍しており、専門的な診療を行える点が大きな特徴です。例えば認知症の方には精神科医、皮膚トラブルの多い寝たきりの患者さんには皮膚科医の診療が必要といったように、患者さんによって必要な医師は違ってきますからね。活動については、地域のケアマネジャーや、訪問看護ステーションや、病院と連携しており、エリアは川崎区、幸区が中心で、施設より個人宅の方が多いです。患者さんは、高齢の方がほとんどで、認知症や脳血管障害の後遺症で寝たきりの方、がんの終末期の方が多いですね。

患者や家族とじっくり話し、信頼関係を構築することをモットーに

診療される上で大切にされていることを教えてください。

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やはり患者さんとご家族の話をじっくり聞くこと、そして介護されているご家族のことも含めて診ることですね。多くの方は今まで主治医の診療を受けられていて、通院ができなくなって訪問診療に切り替わることになったわけですから、私たちはそもそも“アウェイ”な立場。まず信頼関係をつくることを心がけています。開業当初はまだ私は30代で、「もっと年配の先生だと思っていた」と落胆されることもありましたので、早く信頼してもらえるようにと努力してきました。外来とはちがって、ゆっくりと向き合ってお話をする時間がありますし、スタッフにもとにかくよく話をするようにしようと言っています。

他に開業当初に苦労されたことなどがありますか。

最初の3年間は、ドクターは私一人でしたので、夜間を含めて、ずっと24時間365日の待機を一人で続けていました。もともと急性期の病院で当直もしていましたので、それほど苦にはならなかったのですが、だんだん患者さんが増えてきて、気力だけでは対応することが難しくなってちょっと大変な時期はありましたね。今は医師も増え、待機も交代制になりましたので、スムーズに診療ができるようになりました。

印象に残っている患者さんとのエピソードなどはありますか。

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川崎幸病院での勤務医時代、私が当直の時に心筋梗塞で運ばれてきて、カテーテル治療で救命した患者さんがいらっしゃいました。その後、大腸がんが見つかり、計3回の開腹手術を行いながらも約8年間外来に通っていただきましたが、いよいよ通院が難しくなり「最期は、先生に看取って欲しい」と懇願され訪問診療へ切り替えることになったのです。約半年間、ご自宅でご家族と過ごされ、患者さんの希望通り最期をお看取りすることができたことが印象深いですね。週半日だけ川崎幸病院の外来診療を継続していることもあり、顔見知りの患者さんも少なくありません。家で看取ってほしいといってくださる方も多く、それだけ私たちのことを信頼していただいている、必要とされているということだと思いますので、実際に診療の現場で大変なことがあっても訪問診療が続けていけるのでしょうね。

介護との連携も視野に、ニーズの高まる訪問診療に取り組む

ところでお忙しい毎日ですが、プライベートな時間はどのように過ごされていますか。

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7歳の息子、4歳の娘がいますので、当番でない週末は子どもと過ごすようにしています。開院して3年間はずっと待機状態で、どこにも行けずに家族にはかなり我慢をさせていたのでその分も含めて家族サービスをしています(笑)。今も当番の日は自宅で待機になりますが、勤務医時代、けっこう大変な当直を経験してきましたので、家族と過ごしながら待機できるのは楽かなと感じています。子どももまだ小さくて可愛い盛りですから、ともに過ごす時間を大切にしたいですしね。厳しいだけではなく、ちゃんと優しいところもある父親でありたいと思っています (笑) 。

今後の展望についてお聞かせください。

団塊の世代が75歳を迎える「2025年問題」がやはり気になります。川崎市もますます高齢者が増えていくことが予想され、しかも独居の高齢者の方が多いことが地域の特徴となっています。在宅で診療し、看取っていかなければならない患者さんがますます増えていくのに、24時間体制で対応できるドクターはまだ少ないのです。当院から独立したドクターが近隣で訪問診療クリニックを開業していますが、もっと後進の育成にも力を入れ、病診連携だけでなく、診診連携もうまくとりながら地域の中でスムーズに医療が提供できるようにしていきたいと思います。またクリニックとしては、将来的には、医療だけでなくて介護サービスも一括して患者さんに提供できるようにしていきたいと考えています。患者さんにとっては、医療と介護の連携がとれていることが必要ですし、高齢の患者さんの状態は刻々と変化してさまざまな対応が必要になってきますので、介護を含めてカバーできる総合的なクリニックをめざしたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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まだ訪問診療を知らない方も多く、高齢の患者さんを抱えて困られているご家庭も少なくないと思います。多くの方にぜひ、訪問診療をもっと知っていただいて活用していただきたいと考えています。訪問診療に伺うと、薬を飲み忘れるなど、服用できていない患者さんがとても多いことに気づきます。患者さんの通院が難しくなり、診断を受けない間にどんどん状態が悪くなっているケースも目立ちます。当クリニックでは、高齢の方にも服用しやすいように、薬はできるだけ簡素化して負担にならないようにするなど、きめ細かい配慮を心がけています。訪問診療は決して敷居が高いものではありません。訪問診療を上手に活用して、ご自宅で必要な医療をきちんと受け、患者さんもご家族も安心して過ごしていただきたいと願っています。

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