AI搭載MRIで
膵臓がんの早期発見に貢献
さくら島村トータル・ケア・クリニック
(松戸市/秋山駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
2023年6月、「さくらクリニック・松戸」から事業承継してリニューアルした「さくら島村トータル・ケア・クリニック」。有床診療所や介護老人保健施設、通所リハビリテーション、グループホーム、訪問看護ステーションなどを擁する島村医療・介護・食グループの一員として、内科、糖尿病内科、脳神経外科、整形外科など幅広い分野で地域医療に貢献している。2025年2月、同院ではAIを搭載したMRIを導入。検査時間は従来のMRIに比べ、検査時間が著しく短縮し、かつ高精細となって、騒音レベルも減少しており、患者の負担を大幅に軽減することにつながっている。これにより、これまで難しいとされてきた膵臓がんの早期発見が可能になる。導入に至った経緯と今後期待される役割について、島村善行理事長に聞いた。
(取材日2025年6月13日)
目次
膵がんの発見に有用なMRCPを5分で負担を軽減し撮影
- Q導入された新鋭型のMRIには、どのような特徴があるのですか?
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A
▲先進のAI搭載のMRIの活用により膵臓がんの早期発見をめざす
2024年に発売されたAI搭載のMRIです。高性能なAIにより高画質な画像を短時間で撮影可能です。従来のMRIに比べて圧倒的に患者さんの負担が少ない点が特徴です。この撮影には膵臓を含めて撮るMRIと膵管、胆管を撮影するMRCPとがあります。従来のMRIでは狭い空間で動かずに体制を保ち、撮影の際は呼吸を止めていただく必要があるため、患者さんに非常に大きな負担がかかっていました。今回導入したMRIでは合計時間は約20分ですが、MRCPは5分以下で寝ているだけで撮れ、負担のかかる内視鏡によるERCPに遜色ない高精細な像が得られます。短時間で検査できるため、より多くの患者さんの検査が可能になりました。
- QMRI検査ではどのような病気を発見することができるのですか?
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A
▲地域の患者の健康をサポート
頭頚部、腹部、血管、脊椎・四肢関節など、全身の検査に適用できます。意外に思われるかもしれませんが、実は認知症の早期発見にも役立つんですよ。認知症は、特定の細胞が徐々に障害を受けることで発症する変性疾患の一つです。自覚症状はなくても「なんとなく物忘れが多くなった」という方が、MRIで画像診断すると40代から変化が現れているケースもあります。脳細胞や血流の変異をMRIで発見することで、早期からの対応することができるのです。
- Q膵臓がんの早期発見に注力されているのはなぜですか?
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A
▲院内には読み物も多く待ち時間に医療知識を得られる工夫も
日本では、毎年4万人以上の方が膵臓がんで亡くなっています。発見された時にはステージ4まで進行しているというケースが多く、その場合の5年生存率は約1%と極めて低いです。早期発見できた場合でも生存率は高くはありません。大腸がんや肺がんでは、早期発見で完治をめざせることもありますから、死亡率が高いがんといえます。その理由は膵臓は体の背面側にあるため非常に発見しづらく臓器が小さいため外側に浸潤して転移しやすいからです。大腸がんなら内視鏡、肺がんならCTと、他のがんには定型的な検査法がありますが、膵臓がんにはこれまでそれがありませんでした。そのため膵臓がんの早期発見システムの確立は長年の悲願でした。
- QどのようなときにMRI検査を受けるべきでしょうか?
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A
▲定期的な受診が早期発見につながる
症状がある方はもちろん、膵臓がんのリスクが高い方にはぜひ受けていただきたいです。実際に、40代以上で膵がんにかかりやすい方々はなんらかの症状があります。糖尿病の方、肥満の方、お酒をよく飲む方、喫煙者や膵炎にかかった方、身内に膵臓がんの患者さんがいる方など、いわゆるハイリスクの方は定期的な受診をお勧めしています。
- Q検査の流れと受診の際の注意点を教えてください。
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A
▲穏やかな語り口で丁寧な説明を行う理事長
従来のMRIと同様に磁場を使っていますので、金属製のアクセサリーや腕時計は外していただきます。ステントや人工関節などの医療機器はMRIに反応しない素材が使われているため問題ありませんが、マグネット製の入れ歯はNGです。また、短時間とはいえ閉所恐怖症の方検査を受けるのが難しいと思います。検査は準備を含めて20分ほどで終了し、撮影した画像は瞬時に本院である「島村トータル・ケア・クリニック」と、画像診断を専門に行うセンターに電送されます。早ければ翌日には診断結果をお伝えすることができます。