西野 和義 院長の独自取材記事
さくら島村トータル・ケア・クリニック
(松戸市/秋山駅)
最終更新日:2024/11/18
2024年8月にリニューアルした「さくら島村トータル・ケア・クリニック」は、北総鉄道北総線・秋山駅からバスに乗り、陣ヶ前停留所で降車して徒歩5分の場所にある。院長の西野和義先生は、心と体双方の健康をめざすトータルケアを掲げる法人の理念のもと、糖尿病を中心とした生活習慣病の診療の充実に力を注いでいる。「糖尿病をはじめとする生活習慣病は、自覚症状がない分、危機感を感じづらい病気です。だからこそ、悪化しないためにも医師として働きかけることを大切にしています」と語る西野院長の言葉には、隠しきれない医療への熱い想いが込められている。そんな西野院長に、クリニックの強みや診療への想いなどについて話を聞いた。
(取材日2024年10月17日)
糖尿病・生活習慣病に注力するクリニックとして
2024年8月にリニューアルされたと伺いました。どんな経緯があったのでしょう?
当院は、「さくらクリニック・松戸」という整形外科中心のクリニックを、医療法人社団洗心が事業継承したことで、リニューアルしたかたちになります。前身となったクリニックから整形外科も引き継いでいますが、今後は糖尿病を中心とする生活習慣病などの内科診療や、甲状腺疾患に注力していく方針です。医療法人社団洗心は、当院以外にも幅広い医療・介護サービスを提供しています。クリニック名にもあるとおり、当院では心と体の両方を含む肉体的・精神的なケアを行うトータルケアをめざしています。法人が掲げる理念「幸せ人生街道のオアシスであり案内所」のもと、地域の皆さんの健康を支えるクリニックでありたいと考えています。
糖尿病などの生活習慣病を主軸とされているとのこと。こちらの診療方針についても教えてください。
患者さんに自分のこととして病気を受け止めていただくために医師として関わり続けることでしょうか。糖尿病をはじめとする生活習慣病は、自覚症状がない方が多いんです。長年高血糖になっている方は慣れてしまうので、あまり症状を感じにくくなってしまうという側面もあります。この自覚症状がないと危機感を感じづらいというところに、生活習慣病の治療の難しさがあると考えています。自覚症状がなく、生活に支障が生じていないと、なかなか通院のモチベーションが保てなかったり、そもそも必要だと感じなかったりするんです。ですので、通院しようと思ってくださるだけですでに行動を起こしてくださっているわけですから、適切なお声がけをして、検査と診療を通じてご自分の生活を振り返っていただくようにしています。自分の将来のために必要なことだと受け止めていただくことが、治療の第一歩だと考えていますね。
自覚症状が少ない生活習慣病ですが、受診の目安はありますか?
まずは、年1回健康診断を受けていただいて、要指導になったら速やかに受診することをお勧めします。会社勤めの方は会社で健康診断を受けますが、自営業の方はご自身できちんと健康診断を受けていただかないと、深刻化してから治療をしていくことになります。よく「生活習慣病予備軍」といったいい方をされますが、これは予備軍だから大丈夫というわけではないんです。予備軍になった時点で、医療が介入して食事管理や運動指導を行う必要があります。特に、ご家族に糖尿病患者が多い方や、肥満傾向にある方は、「何もないから大丈夫」と思わずに、一度医師の診断・検査を受けていただきたいと思います。
患者に寄り添う姿勢が伝わるような診療を
生活を変えるのはなかなか難しいことですが、どんな指導をされるのでしょうか?
最初から理想的な食生活や運動ができればいいのですが、そうすると自分にはできないと諦めてしまう方もいます。ですので、まずは小さなことでもいいからやってみましょうとお声がけをしています。例えば、朝食を取らない人に、いきなりしっかり食べましょうと言っても難しいものです。まずは牛乳1杯だけ飲んでみて、まったくの空腹状態にならないようにしましょうというところからスタートしていきます。それができたら、野菜を食べてみましょうというように、段階的にできることを増やしていく。1つクリアできると達成感も湧きますし、いきなりゴールをめざすようなハードルの高さもありません。長い目で見た時に患者さんが健康に過ごせるように、お一人お一人に合わせて丁寧にサポートしています。
患者さんと接するときに心がけていることはありますか?
やはり、堅苦しいことばかり患者さんに言うのではよろしくないですね。医師として診療をするのは当たり前のことですが、患者さんのことをよく考えて、大切にしていることが伝わらないと、信頼にはつながりません。ですので、小さなことですが「よく来てくださいましたね」とお声がけをしたり、患者さんのお話をしっかり伺ったりすることで、患者さんに寄り添う姿勢が伝わるよう心がけています。医師と患者であるのはもちろんですが、その前に人と人ですからね。患者さんは皆さん緊張されていたり、不安を抱えていたりしますから、親身でいることを示せば、自然と心を開いてくださると考えています。医師には打ち明けづらいという方には、看護師や管理栄養士の力も借りて、クリニック全体で寄り添っています。
リハビリテーション科や診療以外にもデイケア施設を併設されていますね。
デイケア施設では、理学療法士による個別リハビリテーションを行っています。退院後にリハビリテーションを続けたい方はもちろん、楽しみながら健康づくりをしたい方にも通っていただけます。糖尿病など、リハビリテーション科や整形外科の領域ではないお悩みが出てきた場合は、クリニックで診療を行っています。理想とするのは、地元に密着した身近な相談窓口として、患者さんの人生と向き合い、長い将来にわたって健康を支える場所ですね。リニューアルしたばかりで当院の情報が十分に周知されていないと思います。今後どんどん情報を発信していき、地域の皆さんにとってより身近な場所となれるよう頑張りたいと思います。
一人ひとりの患者の人生に向き合う重責とやりがい
先生が医師をめざしたきっかけについて教えてください。
幼少期に、近所で評判だった医師に往診に来ていただいた時の経験がきっかけかもしれません。母が体調を崩して往診を頼んだのですが、その時に祖母のことも診てくれたんですね。頼んでもなかった上に、祖母のほうが重症だと見抜いてくださって。その時に医師という職業はすごいなと感じ、志すようになりました。大学での研修医の時は循環器内科を志望していたのですが、その後関連病院を回るうち、検査をしてしっかり診断をつけて治療を行うところに内科医としてのやりがいや使命があるのではないかと考えるようになり、最終的には内分泌疾患を専門にしようと決意しました。40年以上にわたり大中さまざまな病院で勤務してきた後、今年4月に初めてクリニック勤務に変わったわけなので、今はまだ正直なところ戸惑うことも多いのですが(笑)、クリニックはより患者さんに近い存在なので、一人ひとりの患者さんに向き合う重責とやりがいを感じているところです。
今後の展望について教えてください。
先日から、糖尿病について知っていただくためのイベントを始めました。一種の講演会ですが、音楽会と食事や運動量の話や、集団体操を組み合わせています。10分ほどの体操と、医師や管理栄養士、看護師が毎回持ち回りでテーマを決めて話す勉強会は定期的に開催予定で、ゆくゆくは実際に食事を体験してもらう機会も設けたいと検討しているところです。ただ話を聞くだけではなく、地域の方が食事療法を自分事として受け入れやすいように、できれば一緒に料理を作って盛りつけるところからやってみたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
患者さんの中には、遠い総合病院に出かけて、毎回長く待つことに疲れている方もいます。その点、当院は皆さんにとって身近な場所で、内科・糖尿病内科・内分泌内科・リハビリテーション科・脳神経外科・整形外科の広い領域についてのご相談に乗ることが可能です。糖尿病はそのまま放置しているとリスクのある病気ですが、適切な指導と生活習慣の見直しをすれば健康を維持するのみならず増進も期待できる病気です。生活の質を保ちながら健康寿命を保つことにつながるので、まずはお気軽にご相談ください。私は内分泌疾患を専門としており、糖尿病をはじめとする生活習慣病のほかにも、甲状腺疾患にも力を入れていますので、安心してご相談いただければと思います。