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宮下 裕子 院長の独自取材記事

宮下クリニック

(横浜市鶴見区/鶴見駅)

最終更新日:2024/03/25

宮下裕子院長 宮下クリニック  main

鶴見駅西口から徒歩3分、道沿いのビル4階にある「宮下クリニック」は内科、呼吸器内科、アレルギー科、皮膚科の診療を中心に、広くさまざまな病気を診るクリニック。優しい笑顔と元気な語り口で親しみやすい宮下裕子院長は、長年勤務した東芝鶴見病院の閉院を機に、地域住民の医療を維持する目的で同院を開院した。「地域に根差した医療をめざし、がんの早期発見や高齢者のフレイル予防にも精力的に取り組んでいます」と話す宮下院長。血液内科の医師として骨髄移植を行った経験から現在も骨髄バンクの業務にも携わるほか、患者が主役の医療に地域全体で実現するため「患者の希望する生き方をチームでサポートする、チーム鶴見区としての医療連携」の強化をめざすと話す宮下院長に、地域医療への熱い思いなどを聞いた。

(取材日2023年12月21日)

クリニックでも地域全体でも「患者が主役」の医療を

このクリニックを開院された経緯を伺えますか?

宮下裕子院長 宮下クリニック 1

横浜市立大学医学部を卒業後、母校の大学病院や三浦市立病院、神奈川県立がんセンターなどを経て、1989年からは鶴見区にあった東芝鶴見病院に勤務しました。そこで私は主に血液内科を専門に診療していましたが、2005年で閉院することになったのです。一つの病院が地域からなくなってしまうのは、患者さんにも勤務する医師にとっても本当に大変なこと。そこで、私を含め当時同院に勤務していた医師3人が、患者さんたちの受け入れ先になることも考え、同じ鶴見区でそれぞれ開業する形を取りました。ですから積極的に検討した上でというより、必要に迫られての決断でした。今までは開業してからのほうが長くなり、地域のために働ける喜びを感じています。

診療の際に心がけていることを教えてください。

病気だけを診るのではなく、患者さんを一人の人として全体を診るよう心がけています。たとえ皮膚の病気で受診された方でも、大腸がんのリスクが高まる年齢なら検査を積極的に呼びかけ、女性の患者さんには女性医師の視点で乳がんや子宮頸がんの検診も勧めたりもします。また、私自身が胃がんになった経験をもとに、相手としっかり目線を合わせて話すなど、患者さんの不安な気持ちに配慮した診療もめざしています。当院のスタッフはベテランぞろいで、ちょっとした会話からその方の状況を把握してくれますから、患者さんにとっても安心感があると思いますよ。さらに、血液の病気の患者さんは私にご紹介いただき、当院ではできない専門的な検査は他の医療機関にお願いするなど、患者さんに適切な医療を受けていただけるよう地域連携も大切にしています。在宅医療では専門の医療機関に患者さんをご紹介し、鶴見区の在宅医療の支援体制とも連携を図っています。

鶴見区はそうした地域連携に強みがあると聞きました。

宮下裕子院長 宮下クリニック 2

ええ、鶴見区には医療、介護、行政などが連携して在宅医療をサポートしていく「チーム鶴見区」といえる体制ができていて、患者さんやご家族の話も伺いながら、「ご本人がどう暮らしたいか」という希望を実現するために協力して動くんですね。例えば、がん末期の患者さんが親戚の結婚式への出席を希望された場合、看護や介護のスタッフと相談してサポートチームを作り、実現に向けて動く、というようなこともあります。また、私は2023年5月に鶴見区医師会長に就任し、より地域医療に力を入れる立場になりました。鶴見区にお住まいの皆さんの健康増進をめざした健康診断の受診率の向上、災害医療への備えなどに力を入れたいと考えています。

血液内科の経験をもとに診療。骨髄バンク業務にも注力

どのような専門性をお持ちでしょうか。

宮下裕子院長 宮下クリニック 3

私は血液内科が専門ですので大学病院や神奈川県立がんセンターでは血液内科の診療が中心で、三浦市立病院などの一般病院では内科全般を診てきました。私が卒業した横浜市立大学医学部では幅広い能力を備えた医師の育成に力を入れており、志望する診療科だけを2年間研修するストレート方式の卒後研修が主流だった中、数ヵ月単位でさまざまな診療科をローテートする研修を行っていたのも幸いでしたね。内科、外科、循環器内科、皮膚科で6ヵ月ずつ研修し、虫垂炎の手術も術者として経験したおかげで、内科全般の診療にも対応できたのだと思います。そうした研修や実践での経験をもとに、当院では専門の血液の病気に加え、内科全般、皮膚の病気、呼吸器の病気、各種のアレルギー疾患まで幅広く対応しています。

血液内科を希望されたきっかけは何でしたか?

親戚に血液の病気がある子どもがいたこと、また当時、その血液の病気に対して新しい治療を用いれば治癒の可能性が高いといわれていた点に注目したことがきっかけです。血液内科は症状の急変などもありとても忙しい科ですが、私が勤務医だった頃と比べると女性の後輩医師も増え、私が彼女たちのロールモデルの一つになれたらと思いますね。今も骨髄バンクの仕事を通じて病院の血液内科と連携しているため、私自身の結婚、出産、子育ての経験をもとに、後輩への助言なども行います。

骨髄バンクの事業との関わりを教えてください。

宮下裕子院長 宮下クリニック 4

白血病の患者さんに骨髄を提供するドナー候補者が選定されると、検査後に「最終同意」という手続きがあり、弁護士立ち会いのもと、医師と移植コーディネーターがドナー候補者とそのご家族に骨髄提供に伴うリスクなどをお話しして、最終的な意思確認をします。私はドナー候補者の検査と最終同意面談のお手伝いをしています。血液内科専門の医師として私自身も骨髄移植を行ってきましたから、ドナー候補者からの医学的な質問にも適切にお答えできるのではないかと考えています。診療の空き時間や土曜日の午後を利用して、月3~4人の検査や最終同意面談を当院で行っています。私がドナー候補者の都合のいい時に検査や面談をすることによって、移植を待っている患者さんに少しでも早く骨髄を届ける一助になりたい、という思いが大きいですね。

健康診断などで鶴見区住民の健康増進に力を入れる

改めて鶴見区医師会長としての目標などをお聞かせください。

宮下裕子院長 宮下クリニック 5

鶴見区は横浜市18区の中で3番目に人口が多いにもかかわらず、健康診断やがん検診などの受診率は市平均よりも低く、医師会としてその向上を図りたいと考えています。私自身も胃がんを経験し、がんの早期発見にそれまで以上に力を入れるようになりましたから、個人的にも健診は力を入れたいポイントです。高齢の方には病気につながりやすい心身の衰弱、つまりフレイルを予防する体操なども勧めたいですね。また、鶴見区は沿岸部にあるため津波の被害への備えが必要で、災害時の医療体制についても近隣の区と協力して検討を重ねています。さらに医療・介護・福祉の地域連携を「顔の見える密接な関係」へと進めるため、行政とも協力して取り組みたいと考えています。

お休みの日に楽しんでいる趣味などはありますか。

学生時代、テニス部でかなり本格的にやってきました。子育てや仕事で忙しくなって中断していましたが、一段落して少し前から再開したんです。ブランクが長いとなかなか現役時代の勘が戻らず、昔のような球が打てないのは残念ですが、今も続けていますよ。旅行も好きで、以前は娘とヨーロッパなどによく出かけていました。また、2019年には大学の同級生と一緒にウィンブルドン選手権の観戦旅行にも行けて、長年の夢もかないました。ただ、鶴見区医師会長の業務も増えてきて、今はプライベートの時間が減ってしまいましたね(笑)。

地域の皆さんにメッセージをお願いします。

宮下裕子院長 宮下クリニック 6

新型コロナウイルスは5類感染症にはなりましたが、感染症の流行に終わりはなく、毎年インフルエンザやSARSなど何かしらの感染症がはやります。これからもワクチン接種や手洗いなど基本的な感染症対策はしっかり行ってください。また、高齢の方は骨粗しょう症対策、骨折や寝たきり予防として、毎日10分間でも体を積極的に動かすようにしましょう。ご自宅でできるテレビ体操もいいですよ。ご家族も一緒にやられてはどうでしょうか。私は基本的に人に勧めたことは自分でも続けるようにして、毎日10分のテレビ体操も欠かすことなく行っています。今は風邪もひかず健康維持に役立っているようですから、やはり「継続は力なり」です。

自由診療費用の目安

自由診療とは

血液検査(腫瘍マーカー検査)/5000円~

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