千種 浩司 院長、千種 美好 副院長の独自取材記事
ちぐさ眼科医院
(横浜市鶴見区/京急鶴見駅)
最終更新日:2025/08/25

京急鶴見駅近くで、地域住民の目の健康を支えてきた「ちぐさ眼科医院」の千種浩司院長と千種美好副院長。「患者さんとして関わった方に責任を持つ」ことを重視しており、浩司院長は、基盤となるクリニックの診療と運営に加え、高齢などで通院が困難になった患者の往診にも対応。美好副院長は福祉など地域資源との連携強化にも注力し、地域全体とのつながりを広げている。また最近では、若い世代にも目立つ緑内障の早期発見や、オルソケラトロジーや近視抑制を図る点眼薬処方といった子どもの近視診療にも力を入れる。地域のニーズを反映して多様な診療、多方面にわたる取り組みをあうんの呼吸で分担して行い、地域に貢献する2人に同院の特徴や眼科医療への思いを聞いた。
(取材日2025年7月29日)
緑内障の早期発見や小児の近視抑制など幅広く対応
まず、先生方のプロフィールを教えてください。

【浩司院長】祖父、父とも眼科の医師で、父がこのクリニックを開業しました。ですから、医師を志したというよりも、最初から眼科医をめざし大学に入りましたので、眼科以外の診療科は考えたことがありませんでした。父が早くに他界したこともあり、このクリニックを継続させることを一心に考えて邁進してきました。
【美好副院長】私は、医学部時代、研究がしたかったので最初は病理学教室に入局し、形態学を専門に学び、大学院ではがんの遺伝子治療なども研究しました。その後、眼科は画像診断の部分が多いので形態学と親和性が良いこと、また眼科では画像や写真などを用いて患者さんに意思決定していただく場面が多いことにも興味を持ち、眼科に進みました。研究職という地域医療から一番遠いところから始めていますが、学問は人々の日常の中に入って初めて役に立つものという思いもあり、最終目標は「地域の医療」と考えてきました。
こちらの診療面にはどのような特徴がありますか?
【美好副院長】幅広く対応していますが、特に緑内障や加齢黄斑変性といった目の病気の早期発見を重視するほか、小児の近視診療に注力しています。特殊なハードコンタクトレンズを装着することで近視の屈折異常を矯正するオルソケラトロジー、近視抑制が期待できる点眼薬による治療などを行い、生活習慣の改善を含めて予防にも力を入れています。また、目の打撲や目に傷がついたなど、スポーツ外傷の患者さんも多いので、プロテクターなども積極的にお勧めしています。スポーツに関して目を最適な状態にしておくことがパフォーマンスの向上につながることもありますので、役立つ情報はお伝えしたいと思っています。
こちらは検査設備も充実していると聞きました。

【浩司院長】ガイドラインに沿った適切な治療ができるように、OCT(光干渉断層計)をはじめ、検査設備を積極的に導入しています。OCTは赤外線を利用して網膜を立体的に観察できる装置で、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などさまざまな病気が発見できるほか、特に緑内障の診断や経過観察に有用な検査機器です。また、待ち時間を短縮するために、二診制で診療を行い、時間のかかる検査は予約枠も設けています。検査をする意味や検査の結果、それらをしっかりと説明することも当院の特徴で、患者さんが検査を行うベネフィットを感じて納得していただけるようにと考えています。
【美好副院長】目が見えづらいロービジョンの方は眼鏡の調整に時間がかかり、特に屋外と屋内で見え方が大きく変わることもありますので、一緒に屋外に出て検査するなど適切なレンズを選んでいただけるように努めています。
ここへ来て良かったと思えるような付加価値を大切に
こちらの診療方針について教えてください。

【浩司院長】患者さんは気になる症状や悩みなど理由があって来院されるわけですから、それに対してお一人お一人が満足される結果を持って帰っていただきたいと思っています。私は、診療を単なる医療提供ではなく「サービス業」だと考えています。適切な治療を行うのは当然で、その上で「ここに来て良かった」と思っていただけるような付加価値を大切にしているのです。そのためにも、患者さんを尊重して、大人の方にも子どもさんにも丁寧語を使っています。そして、症状だけではなく生活背景なども含めてしっかりお話を聞くことを心がけています。
美好先生はいかがですか?
【美好副院長】患者さんに安心していただけるアットホームな雰囲気づくりも大切にしています。幸い長く勤めてくれているスタッフが多く、チームワークも良いんですよ。関わった方には最後まで責任を持ちたいと考えているので、紹介先の医療機関は実際に事前に見学をし、信頼できる医療機関につなぐことを大切にしています。当院で限界があることに関しては地域全体の医療を資源とし、そのために地域の医療について正確に把握する。地域連携にはそうした観点が大事だと考えています。
在宅医療にも対応されているそうですね。

【浩司院長】高齢化が進み、通院が難しくなった患者さんも増えていますので、ご自宅や施設にも伺っています。ただ昼休みや休診日を使って行っているのであまり遠方には行けません。あくまでもこの地域にお住まいの方へのアフターサービスとして考えていただければと思います。往診ではできることは限られていますが、患者さんにもご家族にも安心していただけるというのは意味があると思いますし、医療者として患者さんとつながることの大切さを感じています。往診に結びつかなくても、電話でのご相談にアドバイスするようなこともあります。
福祉制度や介護保険を適切に利用できるようにサポート
福祉分野との連携についても教えてください。

【美好副院長】視力が低下しても患者さんが希望を失わず、病気と折り合いをつけながら地域で暮らし続けていくための方法を一緒に考える立場でありたいと考えてケアマネジャーの資格を取得しました。ロービジョンの方が福祉制度や介護保険をうまく利用できるように、地域全体の資源とシームレスに連携が取れるハブ的な役割も果たしていきたいと考えています。また、八丁畷にある「川崎アイeyeセンター」の愛称を持つ「川崎市視覚障害者情報文化センター」とも連携しており、新しい補装具の情報などを患者さんに提供することにも努めています。医療だけにとどまらない立体的な支援を、当院を拠点として考えていきたいですね。
眼科の立場から気になることはありますか?
【美好副院長】内科や眼鏡店から勧められて受診されたケースで、緑内障や加齢黄斑変性、白内障といった病気の方が見つかることがかなり多いことですね。緑内障は高齢の方だけでなく、30代ぐらいの若い世代の方が発症することもありますし、自覚症状の乏しい病気なので、かなり視野が欠けていても気づかない方もいらっしゃいます。日本人に多いといわれる正常眼圧緑内障が多いことも実感します。特に、子どもの時や若い時に視力に問題のなかった方は眼科を受診することが少なく、病気の発見が遅れがちです。一方で、緑内障や加齢黄斑変性などの治療方法は進展し、早めに診断できれば治療する方法もあります。気づかないまま悪くなってしまうのは本当にもったいないと思いますので、ぜひ定期検診を受けていただきたいですね。
今後に向けての展望を聞かせてください。

【浩司院長】目標は継続していくことですね。院長の私は拠点であるこのクリニックの診療に全力を注ぎたいと思います。そして、副院長は地域医療や福祉関連との連携も深め、地域全体の活動にも注力し、地域の方々との関わりをより広げていってほしいと考えています。院長と副院長、2人で役割分担をして患者さんの悩みやニーズに寄り添い、なんでも安心してご相談いただける、これからも地域の方々に頼っていただける存在でありたいと思います。
【美好副院長】治療内容に関しては最新の情報を見逃さず、患者さんに正確にご案内できるように常にアップデートしていきたいと考えています。また、医療にとどまらず、医療・福祉制度なども含めて地域資源と関わりを強化し、その知見も蓄積していきたいと考えています。院内勉強会も開催してスタッフとも情報を共有していますので、お困り事があれば気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/1万5730円~、点眼薬による近視抑制/1年:5万2560円~ ※詳細はクリニックへお問い合わせください