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杉山 正子 院長の独自取材記事

すぎやまレディスクリニック

(名古屋市中区/栄町駅)

最終更新日:2019/08/28

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思わず悩みを打ち明けたくなるような、女性らしい温かさと包容力を持つ「すぎやまレディスクリニック」の杉山正子院長。中区・栄駅から徒歩1分のところにある、35のクリニックと3軒の調剤薬局が入る「エスエル医療グループ」のビルで、他のクリニックと連携を取りながら、婦人科一般や性同一性障害(GID)の治療に取り組んでいる。医療に注ぐ情熱は開業当時から変わらず、「一番良い医療を提供し満足していただきたい」と、外来終了後に患者と治療について話し合うこともしばしば。昨年から同グループの会長も務め、グループ全体の発展に尽力する杉山先生に、診療で心がけている点や女性特有の病気、性同一性障害の治療、グループ診療について語ってもらった。
(取材日2016年7月21日)

グループ診療の特性を生かし一人ひとりに最適な医療を

まずは、開業するまでの先生ご自身のことについて教えてください。

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長野県飯田市の出身で名古屋大学医学部に入学し、卒業後は名城病院や名古屋大学医学部産婦人科で、分娩や手術を行ってきました。しかし、40代後半に差し掛かったころ、乳児期に患った先天性股関節脱臼の影響で、変形性股関節症になり歩くのにも支障をきたすようになりました。本当は、ずっと勤務医でいたかったのですが、股関節の手術をした結果、手術や分娩などが体力的に難しくなると思っていたところ、エスエルグループの先生に声をかけていただき、2000年にここを開業しました。開業後1年ぐらいはずっと杖をついていましたね。

先生はどうして医師を志されたのですか?

私の中で、医師という仕事が非常にはっきりとしていたんです。自分が社会とつながっていく上で、青臭い言い方をすれば、人のためになる仕事で自分を生かせるかなと。先ほどもお話ししましたが、1歳の時に先天性股関節脱臼でギブス固定をして、1年ぐらい座った姿勢のまま動けなかった時期があったんです。私は覚えていないのですが、父からはその1年間で忍耐強さがついたと言われています。両親が小中学校の教師だったので、教師という職業も魅力的でしたが、病気のおかげで医師の道に進むきっかけができ、頑張れたのかなと思っています。

このビル、つまり「エスエル医療グループ」の特色と強みは何でしょうか?

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エスエル医療グループは、35のクリニックと3調剤薬局が独立した形で同じビルに入り、医療サービスを行っています。ほとんどの診療科目がそろっており、クリニック間の連携も優れています。内科だけで15診療所が入っているので、患者さん自身でクリニックを選べる点、複数のクリニックにかかった時の検査や処方箋の重複が避けられる点、病状に適した病院を素早く紹介できる点が大きな特徴です。ここの先生方はみなさんとても優秀で、互いに尊敬し合って仲も良いんです。患者さんのことできめ細かく連絡を取り合い、どうすれば一番良い治療ができるかを決めています。昨年30周年記念事業を行いましたが、この規模でオーナ―のいない合議制の集団で、これだけ長く続いている医療グループは他にないと思います。

婦人科一般から、性同一性障害、性生活の悩みにも対応

こちらで受けられる治療と患者層について教えてください。

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当院では婦人科一般に加えて、性同一性障害(以下、GID)やセックスカウンセリングなどにも取り組んでいます。分娩・手術は行っていないので、患者さんが希望される病院を紹介しています。患者層は10代から90代まで。あらゆる世代の女性がいらっしゃいます。その中でも多いのは50代60代の方ですね。症状としては、50代60代だと更年期障害やがん検診、10代から40代は月経困難症や月経不順、PMS(月経前症候群)、性感染症などでしょうか。最近は、ストレスによる疾患も増えています。仕事や対人関係のストレスで、月経が不順になったり情緒不安定になったり。女性の社会進出が進むと、どうしても増えてくる症状だと思います。

婦人科ならではのデリケートな悩みも多いと思います。診療で心がけていることはありますか?

話しやすい雰囲気を作ることですね。そのために、診察室の机を半円形のテーブルにしました。喫茶店でお茶を飲んでいるような雰囲気で、お互いに打ち解けてお話ができるようにと思って。ただ、実際に始めてみると、時間に追われてなかなかそうもいかない。どんどん待ち時間が長くなって、これは申し訳ないと思い予約制を取り入れました。今は、時間をかけてお話をする必要がある方には、外来が終わった午後5時以降に来ていただき、じっくりと話すスタイルをとっています。

GIDの治療について教えてください。

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開業して間もなく、心は女性、体は男性というGIDの患者さんがいらっしゃったんです。当時はGIDの認知度が低く、私もテレビで知った程度の知識しかありませんでした。それで慌てて専門の先生にお話しを伺い、GID学会や日本性科学会に入りGIDについて学びました。これがご縁でGIDの患者さんを大勢診るようになったんです。今は、一般外来が終わってから「ジェンダークリニック」という時間帯を作って診療しています。主な治療は、ホルモン療法や診断、相談など。もう始めて15年になりますが、これまでに300人強の患者さんを診てきました。治療が進んで、性別の戸籍変更も済んでも、結婚やお仕事で悩んでいらっしゃったりするんですね。できる範囲でお力になれればと続けています。

セックスカウンセリングを始めたきっかけは?

GIDの件で日本性科学会に入ったのですが、そこでセクソロジーという「性に関する問題を学問的に解決する」という学問に出合いました。私はそれまで産婦人科医として、子宮筋腫や子宮がんなどを診てきたのですが、性そのものである性機能を重視していませんでした。しかし、日本では性生活やセックスレスで悩むカップルや女性はたくさんいるのに、そういった窓口があまりないんですね。そこで、セックスカウンセラーの認定を受け、希望される方にはカップルで来ていただきカウンセリングを行っています。

子宮がんのピークは20~30代、若い頃から検診を

これまで婦人科の医療に携わってきて、心に残るエピソードはありますか?

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301年ほど前、名城病院の産婦人科で分娩に携わっていた時のことです。妊婦さんが感染すると赤ちゃんの命に係わる「B群溶血性連鎖球菌(GBS)」という感染症があり、生後数時間で赤ちゃんが発症したケースがありました。当時はGBSといっても「それは何?」と言われた時代だったのですが、なんとかGBSの母子感染をなくそうと、小児科医や細菌専門の検査室の技師などと一緒に、GBSの予防と研究に取り組んでいたんです。開業して研究からは遠ざかりましたが、数年前から妊婦のGBSの検査が愛知県でも公費で受けられるようになったのです。30年間を振り返ると感慨深いものがありますね。

女性読者にメッセ‐ジをお願いします。

まず、定期的に検診を受けましょう。これが一番大切です。子宮がんの一つのピークは20~30代にあるので、特に若い人は定期的に受けてほしいですね。そして、もう一つは女性の「仕事と家庭の両立」について。私自身が仕事と家庭を持ってやってきた経験から、「仕事か子育てか」ではなく、仕事を続けながら母親になっていただきたいと思います。20~30代はキャリアアップを図る大切な時期です。この時期に仕事の面白さを知らないまま、仕事を辞めて家庭に入ると再就職が難しくなります。ただ、妊娠もキャリアアップ真っ最中の35歳までが適齢期なんですね。35歳以降の出産は、自分も赤ちゃんも大変です。その後の育児もすごくエネルギーを要します。仕事も家庭も完璧でなくていいんです。50%ずつできたら良しとして両立してほしい。どんな仕事でも社会とつながること、評価されることはとても幸せなことですから。

今後の展望についてお聞かせください。

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昨年、エスエルグループの会長に選んでいただいたので、グループ全体の調和と発展を考えなければなりません。メンバーのみなさんの意見や要望をよく聞いて、マネージメントに努めていきたいですね。一番大事なことは、患者さんが良い医療が受けられて、満足してくださること。そのためには、私たちがグループ内で揉めていたり、医療の進歩を受け入れない状態だったり、経営に行き詰っていてはいけません。メンバーがやりたい医療を安心して行え、患者さんが満足してくださるよう、荷の重い役ですが頑張ろうと思っています。

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