患者と家族に寄り添う
安心・安全に配慮し継続できる透析治療を
奥田クリニック
(枚方市/枚方市駅)
最終更新日:2024/11/08
- 保険診療
人工透析となると、週に3回程度の通院や、長期にわたる治療が必要となる。「治療を始めたら今までと同じような生活ができるのか」「透析後はつらいと聞く」「透析をしないとどうなるのか」と、透析治療開始前は不安や疑問を抱える人は多い。枚方市駅前にある「奥田クリニック」は、透析治療に注力しているクリニックだ。安心して治療を継続できるように、治療開始前の不安や疑問点を解消しつつ、患者とその家族に寄り添った透析治療を提供している。「透析をするために生きているわけではなく、生きるための透析です。そのために何でも話してください」と話す奥田信昭院長に、透析治療の内容や同院の取り組みなど、話を聞かせてもらった。
(取材日2024年10月16日)
目次
長く続く治療だからこそ、とことん話し合う。納得した上で患者と家族に寄り添った治療を提供
- Q透析治療が必要となる疾患は何ですか?
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A
人工透析になる原因としてこれまで多かったのは慢性腎炎ですが、最近多いのは糖尿病です。また腎臓の機能は20歳がピークで、その後は年齢とともに落ちていきます。そのためいわゆる老化が原因で腎臓が硬くなる腎硬化症や、尿酸が高くて腎臓が悪くなる痛風腎も増えていますね。腎臓は余分な水分を排出したり、血を作るホルモンや血圧を調節するホルモンなどをつくったりする機能があります。さまざまな疾患が原因で腎臓本来の働きが悪くなると尿が出なくなり、体の中に溜まってしまうのです。そして下痢や便秘、吐き気、食欲不振などの消化器症状や、思考力の低下、睡眠障害、呼吸困難感、胸に水がたまるといった尿毒症症状を引き起こします。
- Q 透析治療をしないとどうなるのでしょうか?
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A
腎臓の機能が著しく低下している腎不全になり、そのまま治療をしなければ生命に関わる深刻な事態となります。どのタイミングで透析治療が必要となるかは、疾患によって異なります。例えば糖尿病が原因の人は、数値より早めに透析治療を受ける必要がありますね。一概にはいえませんが水分の排出機能が悪化することで、肺に水が溜まってくるため息ができず命に関わることも。またカリウム濃度が高い場合は、突然の心停止のリスク軽減のために透析を勧めます。他にも食べ物を見たら吐き気がして痩せていくなど、何かしら腎不全に伴う症状が日常生活に差し支えるような症状が出てきて、薬物療法では対処できない場合は透析治療を提案しています。
- Q患者さんが透析治療を安心して受けられるための取り組みは?
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A
私は医師ですがその前に一人の人間として、患者さんと対話をすることを大事にしています。「透析治療が必要になります」と患者さんにお伝えすると、「透析をしたくない」「私はしません」と言う方もいらっしゃいます。その時には、とことんお話させていただきます。自分の意思で、自分の考えで、自分が生きてきた何十年間の集大成として透析治療をしないという選択が自分にとって正しいのかどうかを、ご自身で考えてもらいたいと思い時間をかけてしっかりとお話ししています。そうした上で、死生観から透析治療をしないという選択をするなら、その意思を尊重して私もできる範囲でサポートしていきます。
- Qご家族はどのような心構えが必要でしょうか?
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A
基本的に構える必要は何もありません。当院へトイレをしに来ているだけと思ってくれたらいいですね。例えば透析治療を始めたら、仕事や趣味などに制限がかかると考えている人も少なくありません。しかし例えば仕事があるなら仕事が終わってから夜に透析ができますし、旅行に行くときは旅先の医療機関と連携を図り、透析治療を受けることができます。私が患者さんにいつもお伝えしていることは、「透析をするために生きているわけではなく、生きるために透析をしている」ということ。だから始めるまでにすごく身構える必要は何もないです。しっかり食べて、しっかり運動して体力をつけて、元気に長生きしましょうというのが私の考えですね。
- Q透析治療の種類や費用について教えてください。
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A
透析治療は大きく分けて、血液透析と腹膜透析という2種類があります。血液透析は、血液の中からダイレクトに毒素を抜いていく方法で、週3回クリニックに通い、1回3時間から5時間かけて治療を行います。一方腹膜透析は、腹膜の粘膜を介して毒素を除去していくという方法です。家でできるため患者さんの生活リズムに合わせてできるのがメリットですね。ただ毎日する必要があること、医療関係者がいない中でするので腹膜炎の感染リスクが高いこと、血液透析に比べて水分や毒素排出に限界があることなどのデメリットがあります。腹膜が硬化していくのでずっと続けられる治療ではなく、いずれ血液透析に移行する必要もありますね。