小林 伸也 院長の独自取材記事
高松中央インタークリニック
(高松市/元山駅)
最終更新日:2025/09/26
2023年11月。高松市木太町で、およそ20年にわたり愛された「きゅうか内科クリニック」が事業継承を行い、リニューアル開業した。その名も「高松中央インタークリニック」。高松中央ICから車で1分という好立地で、久加晴茂前院長からバトンを託されたのは、消化器内科の医師として研究・臨床の両場面で活躍を続ける小林伸也新院長。天性の明るさと軽快なトークで、人を笑顔にする才能の持ち主だ。新設した内視鏡検査室では、香川大学医学部附属病院で鍛えた内視鏡の手技を惜しみなく披露。さらに久加前院長の専門領域だった漢方治療にも対応し、現在は西洋医学と東洋医学の両輪で、総合的な医療を志す。拳を握りながら、「患者さんの最良の選択をサポートしたい」と語る熱血ドクターに、生まれ変わったクリニックの魅力を聞いた。
(取材日2024年1月4日/情報更新日2025年9月23日)
医師としてのやりがいを見出し、内視鏡の手技を追求
継承開業を経て、ご感想はいかがですか?

「やりがいがある」。それ以外の言葉が見つかりません。香川大学医学部附属病院では、先進の医療に携わっているという自負があり、当初は少しだけ未練もありました。けれども今は、開業医として一人ひとりの患者さんと向き合うことが楽しくてしょうがないです。いただいたご縁に感謝しています。この道を選んで良かったです。
医師を志した理由から教えていただきたいです。
憧れの職業という位置づけで、初めて医師を夢見たのは中学生の頃だったと思います。祖父母が立て続けに亡くなり、病院を出入りするうちに、「人の生死に深く関わることができるのは医師だけだ」「それはとてもやりがいがある仕事だろう」と考えるようになったんです。医師になりたいという一心で、生まれ育った鳥取県の米子市を出て、香川医科大学(現・香川大学医学部)へ進学しました。これも一つのご縁ですよね。2010年に大学を卒業した後は、より生死の局面に立ち会うことが多い内科を志望し、キャリアのほとんどを大学病院で過ごしています。大学への感謝の気持ちから、香川県への永住は早い段階で心に決めていました。
消化器内科を専門領域に選ばれた理由は?

学生の頃は外科にも興味があったのですが、内視鏡の魅力に惹かれ、消化器内科を選びました。最初はとても下手だったんですよ。選択を間違えたかと悩んだ時期もありました。でも、好きなことだから努力ができたんでしょうね。大学では消化器内科の中でも消化管(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸)を専門領域として、徹底的に内視鏡の手技を追求しました。自分の手で、早期がんの切除にあたることができる。僕にとって、これほどやりがいのある行為は他にありません。大学病院では、内視鏡を使って体内の異物や巨大切除標本を回収する専用デバイスの開発に携わるなど、研究にも精力的に取り組みました。さらに今でも次世代内視鏡の新たな展開を見据えて、機器開発や新たな術式の創造に取り組んでいます。開業医で、こうした経歴を持つ人間は珍しいかもしれません。僕はこれからも多方面の皆さんとの連携を図りながら、内視鏡診療の無限の可能性に挑んでいきます。
内視鏡検査、そして漢方治療も診療軸に
継承にあたって、内視鏡検査室を新設されたと聞きました。

約2ヵ月間の工事を経て、内視鏡検査室を完成させました。上部消化管の内視鏡検査用に導入したのは、約10mm径の拡大内視鏡と、約5mm径の細径内視鏡の2種類です。拡大内視鏡を持つクリニックは多くありませんが、僕は大学病院レベルの医療を、この地域に還元したいと思っています。大学病院と同等の内視鏡検査を、病院よりも敷居の低いクリニックで受けることができたら、素晴らしいと思いませんか? 拡大内視鏡は病変の診断能力に優れ、いざという時の処置も可能です。対する細径内視鏡は太さがない分、嘔吐反射を誘発しにくい点が魅力。ただし鼻の痛みが出る可能性はありますので、当院では口からの挿入にも対応しています。下部消化管についても拡大機能を備えた内視鏡を導入し、がんの芽となる大腸ポリープが見つかれば、その場で切除します。今後はこの検査室で積極的に内視鏡検査にあたり、消化器がんの早期発見・早期治療をめざします。
その他では、どんな点を変更されましたか?
作業効率の追求を目的として、紙カルテを電子カルテに変更しましたね。僕自身が、勤務医時代に電子カルテの効率性を実感していましたので、「慣れたら絶対に楽だから!」と宣言して、スタッフの皆さんには頑張って覚えていただきました(笑)。電子カルテ以外の変更点を挙げると、胸部エックス線撮影装置に人工知能(AI)技術を搭載しています。検査における、「見落とし」を防ぐためです。僕はこの技術によって、専門外となる胸部エックス線検査においても、的確な診断を実現したいと考えています。
漢方治療についても、引き続き対応されていますね。

学生時代から興味はあったんですが、継承を機に勉強を始めてみると、漢方も楽しくて。東洋医学では、問診から明らかになった症状に対して、舌診や脈診、腹診といった診断を重ねていきます。その次はいよいよ治療ですが、西洋医学のように、診断と治療は直結しません。同じ症状であっても、患者さんお一人お一人の体質や状態に合わせた漢方薬を選ぶ必要があります。つまりは、オーダーメイドなんです。自然界にある植物や鉱物などを「生薬」として組み合わせる漢方薬は種類も膨大ですが、その中から適切な漢方薬を見つけ出していく。そのためには患者さんとコミュニケーションを取って、信頼関係を築くことも重要ですから、総じて僕の性格に合っている診療だと思います(笑)。症状によっては西洋薬も併用し、2つの医学を融合させながら、患者さんと伴走していきたいです。
患者と信頼関係を築き、適切な選択をサポート
最近の患者さんに多いお悩みは?

新規の患者さんに関しては、圧倒的に発熱と咳が多いです。消化器内科を標榜したことで、最近は便秘でお悩みの方も来られています。もともと当院へ通われている患者さんは、生活習慣病の方がほとんどです。高血圧症、高脂血症、糖尿病が主ですね。今後は内視鏡検査を目的とする患者さんが、離島や県外からもお越しいただけたらと願っています。僕のモットーは、「患者さんと信頼関係を築きながら、お一人お一人の状態やニーズに合わせた診断と治療を行い、最良の選択をサポートすること」。患者さんの生活背景も含めて、一緒により良い選択肢を考えていく時間が好きです。僕の本気が患者さんに伝わり、患者さんが心を開いてくださったら、こんなにうれしいことはありません。
患者さんが知らないような、先生の情報も伺いたいです。
小・中・高・大と、サッカーキャリアは長いです。高校時代には、インターハイや選手権に出場するような学校でもまれていました。それから、ピアノも特技です。実はピアニストになろうとしていた時期もあります(笑)。あとは、数年前からゴルフを始めました。滅多に行けないですし、とても下手なんですが、それでもとても楽しいです。内視鏡と同じように好きという気持ちがありますから、ゴルフもこれから上達していくはずです。
最後に、地域の患者さんたちへメッセージをお願いします。

僕の家族は、消化器疾患で亡くなりました。内視鏡検査によって早期に発見できれば、救えた命だったかもしれません。消化器がんで亡くなる方を一人でも減らせるように、まずは僕にとって最強の武器である内視鏡の技術を駆使して、大学病院と同等の検査を、同等のレベルで提供することをめざします。大学病院でできることが、クリニックでできないとは言いたくありませんから。さらに漢方治療を通じて、患者さんの体質改善にも取り組みます。時間をかけて、人が本来持つ自然治癒力の向上を促すこと、全身のバランスを整えることは患者さんのためにもなるはずなんです。僕は心から地域の皆さんの健康を願い、全身全霊で診断、そして治療に臨みます。

